概要
登場カードセットは「時のらせんブロック」の「未来予知」。
このセットは、MTGの未来を表現するというコンセプトであり、未来に採用予定のシステムや、採用するかどうかもわからない実験的なシステムを持ったカードセットが目白押しだった。
そんなカードセットの中にあっても、こいつのぶっ飛びっぷりは半端ではなかった。
Steamflogger Boss / 蒸気打ちの親分
マナコスト | (3)(赤) |
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カードタイプ | クリーチャー — ゴブリン(Goblin) 装具工(Rigger) |
パワー/タフネス | 3/3 |
能力 | 他の装具工(Rigger)クリーチャーは、+1/+0の修整を受けるとともに速攻を持つ。 |
あなたがコントロールする装具工がからくり(Contraption)を組み立てる場合、それは代わりに2個のからくりを組み立てる。 |
1番目の能力は、同族をパワーアップさせる能力であり、(当時装具工がこいつしかいなかったのを除けば)特に問題はない。
問題は2番目の能力である。「からくり」はアーティファクト・タイプと発表されているが、現在これを持つアーティファクトは1枚も存在しない。「組み立てる」にいたってはルールに何も定義されていない。すなわち、これは登場時点ではまったく無意味な能力である。
未来のルールが記されたカードは未来予知にも複数あるし、前例もあった。しかし、発売から5年経ってもいまだに登場しない能力をもったカードは、これだけである。
「からくり」がなんなのかは不明だが、装具工さえ並べば本来の倍組み立てられるのだから、実装されれば大化けするカードになりうる。
また、未来予知には「未来に採用予定のないメカニズムも入れている」と公式発表があるが、無意味なままで終わる能力を公式テキストに入れているとも考えにくい。
そのため、第二のタルモゴイフを夢見て、今日もせっせと親分を集めるコレクターがいるとかいないとか。
実際、念願の再録と「からくり」が登場した銀枠のアンステーブルでは装具工の強化と組み立ての加速はなかなか侮れない性能である。
おやびん栄光の歴史
時のらせんブロック
最終エキスパンション・未来予知に満を持して登場。非公式スポイラーが発表されるやいなや、このセットのぶっ飛びっぷりを象徴するカードとして耳目を集める。
未来のルールを記した同輩・タルモゴイフは彼をおいて大出世してしまった。
ローウィン・ブロック
裏切り者・タルモゴイフに記されたカードタイプ・プレインズウォーカーは、このセットで早々と登場した。しかしこのブロックは牧歌的でメルヘンチックな世界観であり、機械まみれのゴブリンに居場所などなかった。
シャドウムーア・ブロック
ローウィン・ブロックの反転世界。ローウィンとは打って変わってダークな世界観になったが、ケルティックホラー寄りであり、ロボに乗ったゴブリンなどお呼びでなかった。
アラーラの断片ブロック
3色しかない5つの断片に分かれた次元が舞台であり、断片の一つ・エスパーのテーマがアーティファクトだった。
しかしエスパーで扱っている魔法金属エーテリウムは、同じく未来予知出身のメカニズム・色つきアーティファクトだったため、無色のアーティファクトしか作れなかった親分は多元宇宙をさまようことになった。
ゼンディカー・ブロック
土地をテーマとしたブロックで、ダンジョン探検を舞台とした世界観。
しかし、からくりを探検アイテムに使おうという冒険者は一人も現れなかった。
覚醒したエルドラージへの対抗手段に使うものもいなかった。
土地テーマなのに、土地に装備するアーティファクト・城砦の出番もなかった。合掌。
ミラディンの傷跡ブロック
満を持して帰ってきたアーティファクト・ブロック。
ここは当然からくりの出番かとおもいきや、そこはファイレクシアの油に侵食され、かつての面影はなかった。
ファイレクシア人になりたくなかった親分は、清純なるミラディンを取り戻すという希望をつなぐため、惜しまれながらも勇退を余儀なくされた。
ダークスティールの駐屯地も汚染されてしまったらしく、ミラディンの金属の名を冠していながら登場することはなかった。
イニストラード・ブロック
両面表のカードなんていう銀枠もびっくりなメカニズムまで登場したが、そこは狼男と吸血鬼とゾンビと幽霊がヒャッハーしている万年ハロウィンでゴシックホラーなワンダーランド。そのうえ、天使と悪魔がガチンコ勝負しあうようなトンデモ世界だった。おまけに出てくるアーティファクトは一般の農機具だったり吸血鬼の心臓にブッ刺す白木の杭だったりして、からくりなどというギミック満載で凝ったものはついに登場しなかった。
ラヴニカへの回帰ブロック
ラヴニカの10のギルドには、アーティファクトの扱いが得意なものは一つもない。
そのため、いきなりからくりの出る可能性は薄くなってしまった。
それでもイゼットなら… イゼットならなんとかしてくれる!
してくれなかった…。奇魔なんて作ってねえでからくり作ってくださいニヴ様……
テーロス・ブロック
親分が次に希望を託したのは神々の住まう次元・テーロス
だがそこはいまだに青銅器が主流という科学的に遅れた次元だった。
おまけにゴブリンも居ないこの次元、はたしてからくりと親分の運命は…
ヘリオッド「おめーの席ねーから!」
からくりに寛容を示す神がいなかったことから、
おやびんはここでも静観を決め込むほかなかった。
タルキール覇王譚ブロック
イクサ!ドラゴン!カンフー!なオリエンタル感溢れるタルキールで、からくりなどというハイセンスかつクレバーなシステムが登場するはずもなかった。
戦乱のゼンディカーブロック
久しぶりのゼンディカーは、あっちこっちでエルドラージが暴れまわるわくわく冒険ランドと化していた。
こんな死地においてはいくらおやびんと言えども呑気にからくりを組み立てる余裕などあるはずもなく。
その上ここでスポットライトが当てられたのはゲートウォッチの四人組であり、ただのゴブリンであるおやびんは彼らの後塵を拝するしかなかった。
イニストラードを覆う影ブロック
久しぶりのイニストラードは(ry
前でも熱いスープだの肉切り包丁といった機械要素の欠片もないアーティファクトしかなかったため、たぶんないだろうな…と思っていたら
やっぱりなかった
一応電気仕掛けのカカシとかはあったのだが、
ルーデヴィック「からくり?その辺のスピリット燃料にしたほうが効率よくね?」
そういうことである。
あとこっちもこっちでからくりとか組み立ててる場合じゃないのである。そう、「俺が、俺達が、エムラクールだ!」
カラデシュ・ブロック
久しぶりのアーティファクトがメインとなる次元であり、新しいギミックである機体も登場。
トレジャーという形で激レアアーティファクトが再録されていたり遊び心もたっぷりな次元であるカラデュならばと多くのプレインズウォーカーが期待を込めた結果、なんとおやびんのシングル価格が高騰。
まさに我が世の春が来たといったところだろう。
しかし現実は非情だった。カラデシュ及び続く霊気紛争にからくりは登場せず...。
そもそもカラデシュ次元における赤の主要種族がグレムリン及びドワーフの時点で...
アモンケットブロック
多くの民が素晴らしい来世を信じ、テーロスの神々とは比べ物にならないほど良識ある五柱の神々が民を守る古代エジプト的次元。
蓋世の英雄を目指し日々鍛練に明け暮れる民にも、民に与える試練を監修する神々にもからくりを組み立てる暇などなかった。
当然、肉体労働を担当しているミイラ達の中にもからくりを組み立てられるほど器用な者はいない。
おやびん「王神様、からくりに救いを・・・。」
ニコル・ボーラス「我はからくりより永遠衆のほうが可愛いと思うがの。」
スカラベの神「・・・(コクコク)。」
帰還した王神ことニコル・ボーラスがアモンケットを滅ぼす為に使ったのは、永遠衆と呼ばれるアンデッドの精鋭部隊と改造した三柱の神々(とおまけのデーモン)であり、からくりには見向きもしなかった。
・・・うん、知ってた。
そしてついに
初登場以降音沙汰がなかった蒸気打ちの親分だが、「未来予知」から約10年の時を経て、ついに再録が決定!
...まさかのジョークエキスパンション「アンステーブル」に。
「彼は再録を願ったが再録されるエキスパンションを願い損ねた。]
「未来予知」のタイムシフトの設定上「アンステーブル」から再録されたという扱いになるものの、ジョークカードとして扱われることとなった親分の心境は如何に。
ちなみにジョークエキスパンションの基本土地を除くカードは大会では使えないことを示すために枠が通常と違う(通称銀枠)のだが、「アンステーブル」では基本土地に加えてこのカードも特例で通常の枠となる模様。
トーナメントリーガルで刷られてるから銀枠で刷るわけにはいかなかったのだろう。
フレイバーテキスト
バツをブンと振れ! マルつまめ! 何作ってんだか、俺知らね!
こいつに活躍の日があるのか、俺知らね!
Unstable版
今やめるんじゃない、ほとんど終わってるんだ。これの次にもう1個組み立てるぜ!
職を得た途端に職人気質なおやびんであった。
からくり誕生!
……しかし天は親分を見捨てなかった。
(現時点では公式大会使用不能のジョークカードとしてとはいえ)ついに「からくり」のメカニズムが正式に制定されたのである!(『終わりなき銀枠物語 その2』、『『Unstable』のメカニズム』)(外部リンク参照)