曖昧さ回避
本項では1.について解説する。
概要
禍(わざわい)の神と書いて、「禍神(まがつがみ)」と読む。
「九十九の満月」の世界(以下、九十九世界)に登場する、人とも妖怪とも言えぬ厄介な存在。
それは強い強い思いを抱いて死んだ生き物が、死して直接妖怪へと変わったおぞましい生き物…。いや"死に物"と言える存在…。
故に全ての禍神はその「欲望=強い思い」に従い人々を、生き物を、世界を襲う。
その脅威から、どの禍神も陰陽省が介入するほどの厄ネタとなっている。そのためか、九十九世界の学校では禍神の存在や級数などが科目に組み込まれている模様。
誕生(誕死?)経緯
九十九世界では、動物や人といった命ある生物(いきもの)は死して魂は地へと還る。
だが稀に霊力の強い動物や人間が強い思いを抱いたまま死ぬと、その思いを成就せんと地へ還ることなく、その場で形をなして…
異形の化物(かいぶつ)となる事がある。
これが死してなお、この世にしがみつく未練の塊が、【禍神(まがつかみ)】
人であろうと動物であろうと、そこには情念であり復讐心であり、何かしらの強い思いがきっかけとなって誕生(誕死?)する。
生態(死態?)
概要でも述べたが、全ての禍神はその「欲望=強い思い」に従い人々を、生き物を、世界を襲う…。
例えば、"子供をたくさん襲いたい"という「欲望=強い思い」を持った禍神は、雪男(成長期を迎えたイケメン)と子どもの黄鬼を見つけても、子どもの方だけを狙って襲いかかってくる。
既に死んでいる存在であり、未練の塊で出来た【物(思い)=魂魄(こんぱく:汎用性の高いエネルギー)】で体が構成されている。そのため、無形妖(体をある程度自在に変形出来る妖怪)のように姿形を変形させる事が出来、狭い所でも容赦なく入り込み、本能のままに生物(いきもの)を襲う。主魂体(魂の宿る"核")はなく、全てが本体であり、打たれ強く、再生力も高い。
これに対峙した際は、「欲望=強い思い」の塊であるため、その願いが叶える事で存在意義をなくし、自己消滅を起こさせるしかない。また、体を構成する膨大な魂魄を削る事も対抗手段になるが、それには戦神(いくさかみ:最強の武人に付く称号)級か鬼の様に強者でないと敵わない(叶わない)。
級数
正式名称「禍神等級(まがつがみとうきゅう)」
禍神の脅威に対する基準であり、危険度を示す目安。これは人間(おそらく陰陽省)が作ったものなので、この事を知らない鬼や鬼子(おにご:妖怪と人間のハーフ)がいる。
危険度 | 禍神等級 |
---|---|
超怖いぞ | 神話級(しんわきゅう) |
とっても恐ろしいぞ | 民話級(みんわきゅう) |
それでも強いぞ | 怪談級(かいだんきゅう) |
そしてそれほどでもない | 雑談級(ざつだんきゅう) |
もっともこれは定義上だけで、ほとんど使われない。
また作中によく妖怪の強さを「怪談級」や「民話級」と呼ぶ時があるが、これはマナー違反!
級数は禍神に対して使う言葉なので、妖怪に使うのは大変失礼な事に当たる。だが力の強い妖怪に対しては、その限りではない。
作者が言うには、『超大型の台風級に強い、みたいな感じなんじゃない?』との事。
確認された禍神
岩喰み(いわばみ)
級数:民話級
八海山(はっかいさん)の山一つを、全て蛍石(ほたるいし)に変えた。
金色丸(こんじきまる)
級数:不明
長きに渡り虐待を受けて飼い殺された大きな鹿の禍神。飼い主だけでなく、村と山からすべての生き物を殺しきった。
泣き女
級数:民話級
虐げられた男に利用された娘が化けた禍神。8つの村の男達(全て)を、生きながらに腹の内から蛆に変え、その復讐を果たした。
ホメホメモロン
級数:民話級
島一つを枯らした菌妖であり、幻の禍神。島一つと引き換えに退治された。禍神が思いの化身であるならば、思うことすらない生き物が禍神になるのであろうか?九十九世界では長きに渡り疑問とされており、その派生(はせい)の秘密を探り当てた資料は途中で途切れ、その筆記者は今現在も消息不明。
ともさかろう
級数:怪談級
子どもを襲うのが好きな野盗が化けた禍神。打たれ強く、再生力も高い。
九頭龍
級数:神話級
まだこの世に、人と地と妖(あやかし)しかいなかった頃、天より落ちし九頭龍が禍神となりて、天地をこがした。
このあまねく厄災を止めるべく、アマテラスオオミカミより命を受けたニニギノミコトは、三種の神器を持ちて禍神に挑み、九十と九日の長い戦いの後に、禍神の九つの首を打ち落とした。
こうして世界は太平をとりもどし、討たれた龍の頭(かぶら)達は海に落ち重なって島となし、後に九頭龍が頭(かぶら)で産まれし国としてー
九州と呼ばれるようになった。
満月「あくまで、いいつたえだけどね。」
ネグサレ
級数:民話級
全長約10m~20m。色は漆黒。形不定の浮遊妖。知能は低いと見られ、物・妖怪問わずに動くものに呪いにかける。また、その鬼技(おにわざ:超能力)とも言える呪いは、触れた物と強制的に式契約を結び、契約主から魂魄(こんぱく:汎用性の高いエネルギー)を吸い上げると言うもの。その契約は根式(こんしき:式術(しきじゅつ:文字状の回路を介して様々な効果を発現させる技術)の根底部分)から書き換えられており、未だ式を解くすべは見つかっていない。赤鬼の娘など、多くの妖怪に呪いをかけ、多大な被害をもたらした。
等々。
余談
- 級数の強さについて、禍神と遭遇した子どもの黄鬼は、(痛いほど)よく分かっており…
子どもの黄鬼「怪談級:ともさかろう、怖い。民話級:違ネエ、超怖い」
用心棒の妖怪「ん?今ほめた?」
子どもの黄鬼「ほめた!!」
- 神話級禍神の九頭龍は、九十九世界に登場する龍達のご先祖様ともいえる存在。
龍の娘「でかいなー私のご先祖様。」
用心棒の妖怪「所有権主張して土地代(ショバだい)を…」
龍の娘「とりません。」
- 作中では、同名の泣き女という妖怪が登場している。作者・小雨大豆によれば…
小雨「ほんとだ!?(;@皿@)マアシンセキカナ・・」との事(作者のTwitterより)。