概要
「祟り神」タグは「タタリ神」タグとは違う使われ方をしている。
もののけ姫
『もののけ姫』に登場する、赤黒い触手の塊のような巨大な怪物。
触れる者全てを死に至らしめる尋常ではない強さの瘴気を発し、自らを傷つける者には呪いをかける。端的に言えば、その名の通り「祟る」。
その姿は土蜘蛛そのものであるとも言われている(土蜘蛛という表現はアシタカ達にもあてはまるため、エミシの村を襲ったのはある意味皮肉である)。
その体は変幻自在で、触手を体の横から伸ばして脚を形成し、猛スピードで移動したり、邪魔者を薙ぎ払ったり捕縛することも可能。垂直に近い岸壁を這ったり、機械的に方向転換したりと、まるでクモの化け物の如く暴れ回る。しかし、この変幻自在ぶりの本領は物理攻撃よりも呪いの広範囲拡散にこそあり、直接的な戦闘力はオマケに過ぎない。
その正体は、古い山野の神が、怒りや悲しみ、憎しみといった負の感情を爆発させ、野山に満ちる邪気を取り込んだ結果変生した荒神そのもの。作中では2体が確認されているが、どちらも元は名のある獣の神だった。
だが、この「タタリ」の根源は、本来は生命を守護する神であるシシ神が、別の一面である破壊神や死神に変貌した際に見られた現象なのかもしれない。
呪いそのものであるだけに、その精神は憎しみと怒りによって塗りつぶされており、動くだけで足元の植物を枯らし、木々を瞬時に腐らせるなど、無差別に呪いと死をまき散らす厄災と化してしまっている。タタリ神になったナゴの守、なりかけた乙事主のどちらも瀕死の重傷を負っていたにもかかわらず凄まじい身体能力を見せているが、前述の通りタタリ神になった代償として理性を喪失し、もはや意思の疎通は不可能となってしまう。
(ちなみに、赤く光る目の部分は元の姿を考えるとおかしな位置に付いているのだが、アシタカが目を射た際には本体の黄色の目も潰れていたので、本体の視神経と直接つながっているのかもしれない。)
劇中で最初に登場したタタリ神は、かつてシシ神の森に住んでいたナゴの守という有力な猪神がエボシ御前との縄張り争いに敗れ、走り回る内に痛みと死への恐怖、そして人間への憎しみによって、山野に満ちる邪気を集めて変じたものである。
2体目は、鎮西(九州)の猪神の長・乙事主。こちらは完全に変生する前にシシ神によって生命力を吸い取られて息を引き取ったため、タタリ神化することはなかった。しかし、目の焦点は合わず、以前のような思慮深さは微塵も感じられないどころか言葉すら話せなくなった上、血反吐を吐きながら猛進する姿はまるで生ける屍である。乙事主自身、一族からタタリ神が出てしまった事を嘆いていたが、皮肉にも自分自身が、人間への恨みと死への恐怖によって道を踏み外しかけたのである。
完全にタタリ神化した個体は、死の間際には「タタリ」が抜け落ち、毛皮や肌肉が焼け付いた状態で元の姿に戻る。
その際、当然だが人間側の対処によっては憎悪が和らぐ事もある。例えば「塚を作って祀る」等、人間側が真摯な敬意や弔意を見せた場合、一瞬だが神としての風格を取り戻し、その後肉体が一瞬で溶け落ちて骨だけが遺る。
タタリの代償なのか、成仏したのかは不明だが、すでに肉体は限界を迎えていたものの、怨念のパワーだけで肉体を維持していた…という解釈もできる。
(事実、触手の間から時折見えていた本体は傷だらけでボロボロであり、石火矢のつぶてによって既に致命傷を負っていたことも示唆されている。)
タタリ神の呪い
アシタカは村を襲ったタタリ神から村を守る際に、タタリ神の触手に右腕をやられ、そこに呪いを焼き付けられている。
この呪いは黒いアザとして残り、受けた者の命を蝕んでいくと同時に、削った命と引き換えにその者の潜在能力を強制的に引き出す、まさに「神の毒」と呼べる代物である。アシタカの故郷の長老ヒィさまによれば、アザは時間とともに全身に広がり、それが死へのタイムリミットであるという。
このアザは劇中にて、アシタカが怒りや憎悪、戦意を表した際、彼に超人的な力をもたらしていたが、その威力はまさに人間が扱うには過ぎた代物であった。
野武士との戦闘では矢を射る際に右腕の痣により突如腕の筋肉が波打つように肥大化し、ただの一射で首や腕を吹き飛ばすほどに強化され、それを見た別の野武士はたまらず「鬼だ…」と呟き戦慄している。
その後もタタラ場で大太刀の刀身を素手で握り、そのまま片手だけで藁のように捻じ曲げて見せ、10人掛かりで開閉する大門を片腕だけでこじ開けるなど、人智を超えた強大なパワーを見せている。
また、単純な腕力だけではなく、生命力も桁違いに増強されるようで、タタラ場を去る際に石火矢の直撃を生身の腹に受けているが、少し仰け反る程度の反応しか見せずそのまま平然とサンを担いだまま歩き、顔色ひとつ変えずに先の大門をこじ開けている。その際に弾痕から流れ出た血はかなりの量であり、不自然に黒ずんだ異様な色をしていた。その生物として完全に逸脱してしまった様子はまるで、自らの怨念に取り殺される以外の死を許すまいと、ナゴの守の呪いが独り歩きしているかのようでもある。
この時点で、アシタカはある程度自分の意志で呪いの力をコントロールできていたようで、呪いを受けた右腕からタタリ神の触手に似た幻影のようなものを浮かび上がらせ、それを「身の内に巣食う憎しみと恨みの姿」と呼んだ。呪いの力は無意識下で働くこともあれば、意識して制御することも可能のようである。
呪いの力は後半でも強まりつつあるような描写があり、堅牢な甲冑を身に纏い、薙刀や弓で武装した手練の侍4人を同時に相手取った際には、斬りかかってきた侍の腕を甲冑ごと切り落とし、別の侍が放った矢をほぼノールックかつ片手で受け止め、その矢を甲冑を貫いて即死させる威力で投擲している。
なお、作中では乙事主がサンを巻き込む形で一時的にタタリ神化したが、この世界の他の生物神や生物にも普遍的に「タタリ」を発する力が潜在しているのかは不明。もしあるとすれば、哺乳類だけに限定しても、山犬(犬神または大神)や猩々(猿神)、作中には登場しなかったが存在するであろうカモシカの神やヤックルと同じアカシシ、鹿、ヤマネコまたは大山猫、熊の神などもタタリ神化する可能性がある。
ただ、ヒィさまによれば、少なくともナゴの守クラスの獣神がタタリ神化することなど普通は有り得ないという。そのようなイレギュラーを何度も引き起こしてしまう人の業というものは、やはり如何ともしがたいものである。
その他およびタグ付けに関して
ただでさえヤバイ姿(特にクモ恐怖症には卒倒もの)をしているのに、まっくろくろすけが化けて出たような様相をしているため、まっくろくろすけファンには少々キツいかもしれない。アシタカが対処した際のシーンや成仏(?)シーン、某Gさんっぽい動き方なども含めて、SAN値をゴリゴリ削られるのは間違いない。
後の「千と千尋の神隠し」に登場した「オクサレ神」のうち、元は偉大な神だったケースに関しては、本来の神性が人間によって喪われたという点で共通する。オクサレ神の姿は、「三すくみ」である蛙と蛞蝓の働く油屋に蛙と蛞蝓を足したような姿で現れ、千尋達の尽力によって白蛇または白龍のような本来の姿に戻っている。
王蟲とは、殺さなくても鎮静化できる点が異なる。
イラスト
上記の「タタリ神」のように、邪神または荒神と化した動物を指すこともあるため、「もののけ姫」で見られたような姿やデイダラボッチを思わせる姿の他の生物種が描かれることもある。
既存のキャラクター(とくに神の類やジブリ関連、毒々しくてどろどろした奴ら、丸っこくて毛むくじゃらな物体)が荒ぶっている、またはそんな見た目(荒ぶりそうな、タタリそうな、見た目的にタタラれている)、良くわからんけど、なんだかガチでヤバそうなものまで同様のタグ付けがされることも。
以下のようにイラストそのものが荒ぶっている場合もあるが、こういう時はたいてい解説やコメントも荒ぶっているものである。
ごく稀にだが、かわいい作品も存在する。
関連イラスト
本質的には関係ないものも含まれるが気にされない事を願う。
関連タグ
メタグラードン(タタリ神とデイダラボッチがモデル)
┌(┌^o^)┐ - そういう勘違いもあるさ。