「大和との戦さに敗れ、この地にひそんでから五百有余年。」
「今や大和の王の力は萎え、将軍どもの牙も折れたと聞く。」
「だが、我が一族の血もまた衰えた。」
「この時に、一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ。」
概要
おそらくは東北地方に存在するとされるとある蝦夷の部族が住んでいる村。
長老の発言から、この村だけでなく蝦夷全体が迫害と闘争の末により北方に追いやられたと思われる。
長老の他に、シャーマン(占い師)であるヒイさまが大きな影響力を持っている。神々だけでなく、自然や動物への崇拝と畏敬を忘れないアニミズムに近い信仰とそれに基づいた風習を持つ。
ジコ坊が古い文献で読んだ通りにアカシシを飼いならし、石(黒曜石、天然ガラスともいえる火山岩の一種)の鏃を使う。劇中では主食の雑穀類を栽培していると思われる畑が見られる。
アシタカヒコは部族の中でも王族または指導者の血縁にあるとされ、才覚・品格共に麗しい事からも、次期村長となる事が確実視されていた。
平均年齢の高齢化が問題になっており、アシタカの他にはごく僅かな若者(男性はアシタカを含めて数人、女性もカヤを含めて数人が劇中に見られた)しかおらず、コミュニティの衰退と消滅は時間の問題とされていた。高齢化で追い詰められているので、他の蝦夷の村々との交流も限られていることがうかがえる。
その状況で、タタリ神と化したナゴの守の襲撃を受け、結果としてアシタカが村を出ることになり、村の将来にさらなる打撃を与えることとなった。
なお、「タタリ神」の知識自体が存在していて見張り役も一目でナゴの守の状態を「タタリ神」だと判別できていることから、少なくとも年配者の一部は過去にタタリ神と遭遇していたことがうかがえる。
- この村の住民が(大和との関係もあり)遠征をしていたという描写もないため、なぜこの村の周辺または近隣の蝦夷のコミュニティーにタタリ神が少なくとも一度以上襲来してきたのか、その原因は一切が不明である。
- ナゴの守以外にも、エボシ御前や唐笠連や石火矢関連でタタリ神と化した動物神がいた余地があるのかもしれないが、大和民族よりははるかに自然を敬う蝦夷が、土蜘蛛を彷彿させるタタリ神による被害を被るのも悲劇的である。