注意
動物としての「オオヤマネコ」を意図する場合、タグ「大山猫」を参照。
概要
オオヤマネコは、ネコ科オオヤマネコ属に属する中型獣の総称で、リンクスとも呼ぶ。
狭義の「オオヤマネコ」は、オオヤマネコ属の種であるヨーロッパオオヤマネコを指す。
身体的特徴
体長85~115センチ、体重に関しては12~22キロ。
四肢はがっちりとしており、雪上の活動に適応して足裏が大きい。耳の先端に長い毛があり、尾が短い。
生態
シカ、ウサギ、イノシシの仔、鳥、キツネなどを捕食し、220キロのアカシカを殺した例もある。
オオヤマネコ属の種
ボブキャットは260万年前に北米に渡ったヨーロッパオオヤマネコの子孫であり、カナダオオヤマネコは2万年前に再流入した同種の子孫だとされる。
文化的側面
オオヤマネコの眼がかすかな光でもよく見えることから、観察眼の鋭さを「オオヤマネコの眼」と表現し、たとえば英語では、lynx-eyed という表現で「眼の鋭い」ことを表す。
中世キリスト教ではキリストの全知を表し、貴族の紋章に明敏や明智を意図して用いたものもある。
また、上記の事例から発展して、嘗て中世ヨーロッパではオオヤマネコは「透視」のメタファーともされた。
分布
北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部に生息し、行動範囲が広く一夜で40km移動することもある。生息地域によって体色が異なり、黄色~褐色の個体もあれば、ホワイトタイガーのように白い個体もいる。
かつては日本にも、北海道から南九州まで広範囲に分布していた。イリオモテヤマネコやツシマヤマネコに近い種類のヤマネコ(ベンガルヤマネコの系統)が縄文人や弥生人との接触前後に絶滅したのかは不明だが、オオヤマネコはしばらく生き残っていたと思われる。
- 絶滅の経緯は不明だが、オオヤマネコは人間による狩猟の対象であったことは判明しているが、ニホンオオカミなどの例に漏れず、人間や付属してきた家畜等からの感染症があったのかもしれない。
- どちらにしろ、オオヤマネコは、ホラアナライオンの近縁種やトラ、ヒョウが絶滅した以降、日本における最後の中・大型猫科動物であった。本州などでの「巨大な山の猫」や「和歌山のライオン」、ウンピョウが西表島にいるかもしれないという話(ヤマピカリャー、イリオモテオオヤマネコ)や対馬に小型のピューマまたはアジアゴールデンキャットに似た未知の中型の野生ネコがいるという話もあるし、その道の著名な方々も目撃しているが、存在が立証されていない以上はUMAやEMAの範疇を出ない。