コナン・ドイルの小説「シャーロック・ホームズ」シリーズの登場人物については、トバイアス・グレグスンまで。
概要
「いいか! ニッポンジンめ!
よーく、覚えておけッ!
英国紳士が誰でも、お天気の話題に
シッポを振って食いつくと思うなッ!」
第4話にて成歩堂龍ノ介と初対面。初登場時44歳。
夏目漱石の事件の担当刑事として登場。倫敦警視庁の刑事であり、コートに帽子とヒゲの英国紳士。
常にフィッシュ&チップスを持ち歩いており、度々ムシャムシャ食べている“アゲモノ好き”。
《ストランドマガジン》にて連載されている小説『シャーロック・ホームズの冒険』にホームズの“好敵手(ライヴァル)”として出演しているちょっとした有名人である。
しかし、勝手に名前を出されて、たいていは“ののしられる”だけの役回りに腹を立てており、その小説のことを『シャーロック・ホームズの暴言』と言い表している。
一方で、小説内でホームズが『彼は、警視庁きってのヤリ手さ』と言ったのをきっかけに給料が2倍にハネ上がったらしく、そのため執筆者であるアイリス・ワトソンには頭が上がらない。成歩堂達には不機嫌そうな態度をとることが多いグレグソンだが、彼女の前では途端に腰が低くなり、お嬢さまと呼んで丁重に接している。
活躍
刑事としてはいつも冷静でムダなことはせず、厳格で真面目に捜査をこなしているが、周囲からは頭が固いと言われることもある。
しかし、新たな手がかりを見つけた成歩堂に、刑事としてのスジを通すべく色々と重要な情報を与えてくれることもある。
彼曰く、弁護士に“借り”は作りたくないとのこと。
第5話
政府の国際通信から盗まれた《情報》の“現物”を極秘に回収している。
その過程である悪党と取引をして、偽証の手助けをしたとして停職処分を受けることとなる。
大逆転裁判2
第3話
前作の停職処分から復帰し、見習い刑事となったジーナ・レストレードの面倒を見ている。
ホームズの“脅し”によって全責任を負って彼女を一人前の刑事に育て上げることになったが、「見かけよりスナオでいい子だから、自身の刑事魂を継いでくれるかも」とのことで、かなり目に懸けている様子。ジーナからはボスと呼ばれて慕われている。
また、近いうちに倫敦を離れ、仏蘭西の《巴里警察》に転勤することになったらしく、《死神》の法廷で無罪となったジーナのことを心配して、彼女も連れていくつもりだという。
第4話
10年前の大事件、《プロフェッサー》事件を解決に導くキッカケを作ったことから、《警視庁》では“伝説の刑事”と呼ばれていたことが判明する。
彼は独自の捜査でなにかをつかんでいたらしく、事件の被害者であるクリムト・バンジークスの《検死解剖》を主張した。
当時、解剖が死者への“冒とく”という考えからほとんど行われなかったが、彼の信念によって奇跡的に実現し、その結果、犯人《プロフェッサー》の正体を暴く決定的な《証拠品》が発見されたという。
この大事件が解決した記念に《警視庁》から懐中時計が贈られている。イノチの次に大事にしている《時計》であり、彼の刑事としての誇りでもあることから、毎晩欠かすことなく、パブでゴハンを食べながら時計のゼンマイを巻いて、キレイに磨いているという。
また、《死神》と恐れられているバロック・バンジークス検事を尊敬しているらしく、彼の《仕事部屋》にはバンジークス兄弟とともに撮影された写真が飾られている。
関連タグ
逆転裁判シリーズの事件担当刑事
この先、重大なネタバレがあります。
第4話で、彼の銃殺死体がフレスノ街のはずれの“小さな貸し部屋”で発見される。
グレグソンに面倒を見てもらっていたジーナは感謝の言葉を伝えられなかったことを悔やんでいる。ホームズも、後述する理由からグレグソンが暗殺される可能性を知っておきながら、彼を守ることができなかったことを悔やんでいた。
被害者が伝説の刑事であること、さらに容疑者として倫敦で最も優秀な検事バロック・バンジークスが起訴されることから、大英帝国への影響が計り知れないとされ、裁判は極秘に行われることとなる。
そして捜査を進めていくと、彼のもう一つの顔が判明する。
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それはグレグソンがバロック・バンジークス検事の担当した法廷で非合法な手段を使って“罰”を逃れた被告人を暗殺し、彼を中央刑事裁判所の《死神》に仕立て上げる“組織”、通称《死神》の“手先”だったということである。
組織内では、“獲物”を極秘に調べて、《殺害計画》を立てる“頭脳”の役割を果たしており、先述の事件現場で殺人の《実行犯》アン・サッシャーと会って計画を練っていたという。
調査の際は、事情を知らないエブリデイ・ミテルモンに《身分証》を渡し、“自分”になりすましてもらうことで《不在証明工作》をさせていた。
彼が《死神》に身を落とすきっかけになったのは、10年前の《プロフェッサー》事件が関係している。
当時、グレグソン自身は亜双義玄真が犯人《プロフェッサー》であると確信していたのだが、決定的な“証拠”がなにひとつないことから、捜査は難航していた。
それに対して、ある人物によって証拠品の“ねつ造”によって玄真を逮捕するという許されざる計画に協力することを命じられる。クリムトの《検死解剖》の主張はその方法の一環であった。最初、グレグソンはその命令に断固反対していたが、大英帝国のために早急に解決することが大事だと言われ、苦悩の中で“指令”の通りに動くことに応じてしまった。
そして、以降はその事実を隠すために、指令を下した人物、後の《死神》の黒幕に協力を惜しまないようになってしまった。
第4話開始より前日は、10年前に《死神》の法廷で無罪となった慈獄政士郎の“暗殺”の“任務”を果たすために行動していた。
しかしその任務は、組織の黒幕の計画によって彼を死に至らしめるための罠であり、前作第5話の最後に登場した謎の“4つの名前”はその殺人計画の痕跡の一つである。ホームズはそこから暗殺の可能性を《スイリ》し、グレグソンに外国の警察へ移るよう説得したのだが、転勤するより前に、彼は“最期”を迎えてしまうこととなった。
事件解決後、グレグソンの懐中時計はジーナの手に渡り、彼の『刑事』としての“時”が止まらないように、彼女がゼンマイを巻くことになった。
刑事の身でありながら、黒幕の姦計により汚れ仕事に身を落としていた。
そして、結果的に尊敬するバンジークスに死神の汚名を着せる羽目となる。
また、自らの暗殺計画の情報と知らされず、それを守るため犯罪者とも取引。
最後は偽の暗殺計画を命じられ、自らの刑事魂を後進に伝えることも適わぬまま死亡。
彼の心中は推し量って余りあるが、まっすぐなジーナの存在が唯一の救いだったとEDで回想している。
きれいな身ではないことを自覚しながらも、慈獄の仕事を最後に死神の仕事から足を洗い、共にパリに行く決心だった。
慈獄にとどめを刺される寸前に意識を取り戻し、最後の抵抗を図ったとき、彼の脳裏には彼女の存在があったのではないかと推察される。
汚れ仕事のなかで命の危険に晒されることもあったが、保身や命乞いをする素振りは一切見せなかった。
漢の中の漢である。