概要
主人公の弁護士を操作して、無実の罪に問われた依頼人を救い出す、法廷を舞台としたミステリーADVゲーム『逆転裁判』。
その生みの親・巧舟がディレクターとなって新たに生み出した、『逆転裁判』シリーズスピンオフ2作目。
『逆転』シリーズでおなじみの成歩堂龍一の先祖《成歩堂龍ノ介》の大法廷活劇に、小説『シャーロック・ホームズ』シリーズの要素を取り入れた、19世紀末が舞台のクラシックミステリーを謳う作品となっている。
シリーズ1作目『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』は、2015年7月9日、ニンテンドー3DS系列にて発売。CERO:B。ジャンル:大法廷バトル。
後に、スマートフォン対応アプリ版も配信。
2021年7月29日には『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』がニンテンドースイッチ、プレイステーション4、Steamで発売。
以下、シリーズ全体及び1作目を中心に解説する。
2作目『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』については当該記事を参照。
ゲームシステム
基本的な部分はナンバリング系列と同様。
本作では、独自の世界観によって、新たに追加されたシステムも存在する。
探偵パート
裁判に備えて、関係者から話を聞いたり、事件現場を捜査するパート。
- 共同推理
捜査に行き詰まると、颯爽とホームズが現場に現れ、鋭く“本質”を突いた《観察力》による“超推理”を披露していくのだが、その推理は《着眼点》と《論理》のズレによって、いま一度検討する必要のある問題作となっている。
推理のカギとなる重要な《ヒトコト》を“入れ替えて”いくことで、真相へ迫ることができる。
法廷パート
無罪判決を勝ち取るべく、裁判に挑むパート。
今回は1〜4人ほどの証人を相手に尋問を行うこととなる。
- といつめる
証人から話を聞いているときに、横で話を聞く別の証人に用いることで、さらなる情報を得られることがある。
- 陪審バトル
審理を続行させるには、《最終弁論》という制度を用いて陪審員を説得する必要があり、最終的に過半数の評決を《無罪》に逆転させれば勝利。裁判は新たな局面に突入する。
陪審員の被告人を《有罪》とする“根拠”や“意見”に対して、ムジュンをつきつけるという点など、証人への尋問と共通する部分もあるが、今回は2つのムジュンする主張同士に対して、《ぶつける》という専用のコマンドを用いることが重要となってくる。
エピソード
今作のエピソードタイトルは、小説『シャーロック・ホームズ』シリーズ作品の各タイトルになぞらえるかのように設定されている。特にシリーズ一作目は、『シャーロック・ホームズの冒険』のように、全てのエピソードタイトルが『〜の冒險』となっている。
ゲーム中のナレーションは菅生隆之が担当。小説を朗読するかのようなナレーションの語りが、エピソードの出だしとして構成されている。
物語を進めるごとにいくつもの謎が提示されていくが、その中で、主人公・成歩堂龍ノ介の成長がテーマの一つとして描かれている。
ただし注意点として、その提示される謎はほとんどがこのゲーム内では解決されない。本作だけでははっきり言ってストーリーが中途半端なところで終わってしまうため、続編の大逆転裁判2までプレイすることを強く推奨する。
- 第1話 大いなる旅立ちの冒險
- 第2話 友とまだらの紐の冒險
- 第3話 疾走する密室の冒險
- 第4話 吾輩と霧の夜の冒險
- 第5話 語られない物語の冒險
登場キャラクター
本作の主人公。成歩堂龍一の先祖。
大日本帝国の留学生として大英帝国へ渡り、《弁護士》として数々の怪事件に挑む。
《弁護士》の資格を持つ成歩堂の親友。
成歩堂に《弁護士》という道を示し、成歩堂とともに《大英帝国》へ渡る。
世界で最も有名な大探偵。圧倒的なスイリで成歩堂とともに真相へ迫る。
ホームズと同居している天才少女。
小説『シャーロック・ホームズの冒険』を連載している。
ライバル検事。かつて“死神”の異名で恐れられ、大英帝国の法曹界ではその名を知らぬ者は居ない、伝説の検事。
他登場人物は逆転裁判・逆転検事シリーズキャラクター一覧を参照。
世界観
本シリーズでは、小説『シャーロック・ホームズ』シリーズから逆算して、19世紀末の《大日本帝国》と《大英帝国》を舞台として構成されている。
大日本帝国
本作における物語の始まりの地。
歴史的な“開国”から数十年という年月が流れて、明治30年前後を時代設定とした極東の島国。
- 法廷事情
《大審院》では、日本の“正義”のためとして、最高峰に位置する法の庭にふさわしい審理が求められている。
- 大英帝国との関係
長きにわたる高度に政治的な交渉のすえ、新たなる条約《日英和親航海条約》が締結されたとして、二国間は微妙な関係にあることが語られている。
二国間の《領事裁判権》‥‥国内で罪を犯した外国人が外国の法律に基づいて裁判を受ける権利。その失効についても、先の条約の影響を受けている。
大英帝国
科学、医学、工業、文化、犯罪学において、全世界の頂点に君臨しており、世界の中心、偉大な国として語られている。
本作では、その英国の帝都・倫敦を物語の舞台としている。
- 中央刑事裁判所(オールドベイリー)
陪審員は裁判長の席の下から、《大天秤》の皿に《炎弾》を撃ちこんで、有罪無罪の評決を示す。
- 倫敦警視庁(スコットランドヤード)
法廷パートでは、トバイアス・グレグソンが担当刑事として証言台に立ち、事件の説明を行うことが多い。
- ベーカー街221ーB
屋根裏には、倫敦における成歩堂龍ノ介の事務所《成歩堂法律相談所》が構えられ、下の階の《ホームズの部屋》と合わせて、成歩堂の活動拠点となる。
その他
- DLC《ランドストマガジン》
3DSにおける、シリーズ1作目の有料DLC。
『大逆転裁判』の世界をより深く楽しむためのコンテンツとして、第1号から第8号まで販売・配信された。
巧舟D書き下ろしの短編エピソード《ショート・ショート》の他、ここでしか見れない図録・楽曲・音声・映像などが収録されている。
作中の登場人物たちがなんとも可愛い動物モチーフキャラとしてデザインされ、作中にてアクセサリーやお守りとして登場する。その他、キャラクターグッズも製作され、ゲームの関連グッズとして、販売もなされている。
『大逆転裁判』の動物化ネタの一種で、2015年のエイプリルフール企画。
公式サイトにて、犬化した作中の登場人物たちによるイラストやPVが公開され、後に反響を受けて特製待受の配信も行われた。
関連イラスト