概要
コナミデジタルエンタテインメントから2018年2月21日発売。
オンライン専用タイトルで、MGオンラインと異なり資材や装備をオンラインとシングルで共用するため、シングルプレイのみの場合でもオンライン接続は必須となる。
メタルギアシリーズを制作してきた小島プロダクションは『メタルギアソリッドV』をもって解散、シリーズの生みの親である小島秀夫は2015年12月5日をもってコナミを退社した。
同年3月より、新「METAL GEAR」制作メンバー募集がされていたが、この募集は小島氏退社後も継続され、新体制のもとでの開発が行われる。
本作は旧小島プロダクションスタッフを含む新しい開発チームによる最初のメタルギア作品となる。
XboxOne、PS4、WindowsPC(Steam)に対応するが、パッケージ版はXboxOne及びPS4のみで、三機種ともにダウンロード販売が行われている。
国内ではパッケージ版の販売が行われるのはPS4のみで、Xboxはダウンロード販売のみとなる。
作品解説
2016年8月、トレーラー映像と共に公式発表が行われた(公式動画の節を参照)。
小島監督による旧シリーズとは大きく異なる世界観に、ファンからは否定的な反応が多くあがった。
時間軸上はMGSV:GZの半年後で、技術レベルではワームホール・フルトンがデフォルトとなっている。
また、フェンスや土嚢ブロックなどの持ち運べないような巨大な資材はワームホール転送でベースから転送して展開するようになっている、後に条件付きではあるが大型の資材の転送による除去が可能となるなど、DDの持つワームホール技術より優れている。
一方で回収ヘリが存在しないので通常のフルトン回収装置は対象を吊り下げることしかできないなどTPPやオンラインとはまた違う使い方となる。
装備は作成方法が失われており、データの回収により失われた情報を復旧させるかコンテナ等の開封によるレシピの回収、現地回収した壊れたものを修理する等により使用可能としていくこととなる。
ゲームシステム
システム周りも基本はTPPを踏襲しているが、サバイバルを主眼化しているためにより資源回収とその加工、完成品の使用に重きが置かれている等今までのメタルギアシリーズとは大きく異なる部分も存在する。
装備は使用していくと消耗していき、最終的には壊れてしまうので修理が必要となる。
体力とスタミナのゲージの復活に加えて空腹と渇きのパラメータが追加されており、空腹に応じて体力の上限が決まり、渇きの割合に応じてスタミナの上限が決まる。体力もスタミナも対応したパラーメータの割合の減少によって上限が下がっても上昇したゲージは下がらずに上限越えのままとなるが、負傷や行動によって消費すると上限以上の回復はしなくなる。渇きも空腹も放置していると死亡に繋がる為、各パラメータの管理は重要となる。
また、途中でエアタンクを入手する事でそのままでは侵入できないエリアへと入ることが出来るが、酸素の続く範囲でしか行動できず、酸素量もベースキャンプに戻らない限りは回復せず、資源とタンクの耐久度を消費して多少回復できる程度である。(ワームホールポータルの開放や、酸素補給用の装備を開発することで行動可能範囲は広がってゆく)
殆どの食料はMGS3同様にリアルタイムの時間経過で腐ってしまうが、調理するなどにより腐るまでの時間を延ばす、腐らなくすることが出来る。
腐った食べ物や汚れた水を使用した場合、一定の確率で治療が必要な症状となるが、症状が出てしまうと症状を無視して食べ続けても回復しない為、治療が必要となる。
MGS3であった怪我や治療も復活、ダメージを受ける事て対応した怪我が発生し、治療しないと体力の上限が減少する。
アイテムを作らないと補充されないのでMGSVと異なり出撃装備にコストがかからないものの、重量制限があり、資源を回収する、装備を大量に持つことで制限重量を超えてしまうとダッシュが不可能になる等、行動に制限が生じるてしまう。
マザーベース開発の代わりとしてベースキャンプの開発・発展が可能となっており、装備の作成に必要な作業台、畑や檻などの食糧確保の設備、バリケード等の障害物、等を自由に設置することが出来る。これはただ単に設備の発展や自分だけのベースキャンプを作るだけでなく、ベースキャンプへ侵攻する敵から防衛するための重要な設備となっている。
サバイバル要素を重視したためか非常に空腹と渇きは減少しやすく、ベースキャンプ近くの資源はある程度進行するまではセーブ&ロードで復活するようになっているとはいえ、初期段階は資源の入手方法が限られている事から水と食料不足に悩まされてしまい、旧作感覚で資源入手は容易であろうと判断してしまうと最初の段階であっという間に資源が尽きて躓きやすくなってしまっている。
基本的にはヴァージルより提示されたミッションをクリアしていく形になるが、ベースキャンプにいる他のキャラクターからサイドミッションが提示されたり、物語の進行とは関係のないサイドミッションがマップ上に提示される事もある。どちらも時間制限があり、しばらく放置すると消えてしまう。(動物の場合はサイドミッションが消えても動物そのものはデスポーンせずにそのまま残っている事が多い)
しかし、複数のサイドミッションのエリアが重なるほど近くになってしまうと、同時進行による積み防止の為か片方しか開始できず、片方を終わらせてもサイドミッションが開始できず、場合によっては時間切れによりサイドミッションが消えてしまう事があるという問題がある。
ミッションのクリアにはアイテムを回収する等の旧作同様のものだけでなく、一定時間内に救助対象を塵の海から救う救助ミッション、一定時間防衛するタワーディフェンス的なミッションもある。
死亡した場合はセーブ時点に巻き戻しての再開か、回収した資源などのアイテムをその場に残して帰還が選べるが、防衛などの一部のミッション中の死亡はセーブ時点への巻き戻しのみとなる。帰還を選ぶと回収した資源は段ボールに入れられて死亡地点に落ちているが、回収時にはワームホール転送するので再び出向いた際に重量を圧迫することはなく、安心して回収可能ではあるが、何度も死亡するなどすると失われてしまう。
ストーリが進むと車両やウォーカーギアが登場し、回収こそできないが探索の際に利用できるが、破損状態でディーテへと流れ着いているのでMGSVと異なり移動でもダメージが蓄積されていき、クリーチャーやオブジェクトに接触しなくとも破壊されてしまうが、一定時間後にリポップするので再度利用が可能。
シングルプレイとオンラインCO-OPプレイの2つのモードがある。
資源や装備などは共通で、片方で入手したものをもう片方へと持ち込むことが出来る。
CO-OPプレイはシングルの協力プレイはできず、防衛を行うタワーディフェンス風のミッションのみとなっている。
アップデートによりレスキューミッションが追加、防衛しつつクリーチャーに襲われる人員を救助するミッションとなっている。
アイテム課金もあるが、現在の所は時間短縮や別キャラクターを製作可能にする、等の基本的になくても問題ないものばかりで、無課金(各機種のCO-OPに必要なオンラインサービス料は除く)でも最後まで遊べる仕様となっている。
ストーリー
MSFマザーベースのXOF襲撃から数日、崩壊を逃れたプラットフォームでは行方不明者の捜索と葬儀が行われていた。
その最中、ある一人の男がMSFを訪れ、棺に収まった遺体の顔を確認してある兵士を探していた。
半年後、ある研究施設からディーテ(地獄)と名付けられた世界へと名もなき兵士が送り込まれた。
登場人物
- キャプテン
国境なき軍隊=MSFのスタッフで今作のプレイヤーキャラクター。
XOF襲撃時にはマザーベースで警備をしており、ボスの撤退をサポート後に崩壊するマザーベースの上空に発生した巨大ワームホールに巻き込まれる。
ワームホール閉鎖時に相棒と共に左腕を失い、マザーベースの崩壊により仮死状態となったが寄生された未知の生命体に適応して人間の手として再生し、仮死状態からの蘇生にも成功する。
寄生生物の除去方法を見つけるべく、ウォーデンクリフ・セクションによりディーテへと送り込まれる。
外見及びボイスは任意で変更可能。
- グッドラック
CV:石塚運昇
アメリカの秘密研究組織「ウォーデンクリフ・セクション」の主任研究者。
MSFマザーベースを訪れて水葬にされる遺体の中からキャプテンを見つけ、水葬後に棺を回収して蘇生させた。
カロン部隊の生き残りの捜索、データの回収をキャプテンに依頼する。
命令違反や独断専行を度々しており、セクションの他の研究者とは対立関係にある。
- ジョセフ・グルーエン
CV:茶風林
グッドラックと対立するセクションの研究者。
グッドラック更迭後のディーテ世界委調査計画の責任者となり、データや生存者の回収より帰還を優先する方針を提示するが、キャプテンの右腕の再生をセクションの技術による治療であると偽る等、不審な行動を見せる。
- ヴァージルAT-9
ウォーデンクリフ・セクションがカロン部隊のサポートの為にディーテへと送り込んだAIポッド。
男性と女性の二つの人格を持つ作戦支援AIだが、もともとは女性の人格のみであったがなんらかの理由により男性の人格が生まれている。
また、多くのデータが失われており、各地にあるサーバーからデータを回収することで機能や記憶が回復していく。
外見や性能はピースウォーカー計画のAIポッドと同一で、飛行能力を持つ。
元々核報復兵器に搭載されるAIポッドの為か、シェルター並みの強度を持つ。
- リーヴ
CV:中西伶郎
キャプテンがディーテで最初に出会った生存者でXOFの兵士。
ワンダラーと化した味方を撃って生き延びたために帰還への強い意思を持っており、冷静に合理的な判断を優先し、ディーテからの帰還の為にキャプテンに協力する。
- セス
CV:間宮康弘
MSFのスタッフでキャプテンの相棒。
ベースでは新兵教育を行っていた。
XOFの襲撃時にはキャプテンと共にボスの撤退を支援したが、キャプテンの左腕と共にワームホールへと飲み込まれた。
- ミランダ
CV:Lynn
キプロスの病院にて紛争地帯で兵士の救援を行っていた看護師。
病院がXOFの襲撃を受けた際には医師と共に外出していたが、炎上する病院へと戻る際にXOFのヘリと共にワームホールに飲み込まれ、塵の海の中で気を失っていたところをキャプテンに救助される。
- ダン
CV:間宮康弘
キャプテンより先にディーテへと送り込まれたカロン部隊の生き残り。
- クリス
CV:朝井彩加
1980年から転移してきた少年。
脚が悪く、車椅子を使用している。
MSF総司令官。
キューバ南端の米軍租借地「キャンプ・オメガ」に捕らえられ尋問を受けているパスとチコを救出するため単身潜入。無事に二人を救出し帰還したボスが見たものは、謎の武装勢力に襲撃され炎上、崩壊するマザーベースだった。
その後の経緯はザ・ファントムペインの記事を参照。
MSF副司令。
ピースウォーカー事件やキャンプ・オメガ潜入中はスネーク=プレイヤーを無線で支援してくれていたが… XOFの襲撃はIAEA(国際原子力機関)の核査察団と偽っていたため、核搭載二足歩行戦車メタルギアZEKEを始めとした多くの兵力は手元に無く、XOFによる蹂躙を許すことになっていた。
その後の経緯はザ・ファントムペインの記事を参照。
- クリーチャー
ディーテの各地でみられる異形の存在で、人間に未知の生命体が寄生したが適応せずに変化した存在。
寄生された対象が倒されても未知の生命体の活動は停止しない。
ワンダラーと呼ばれる基本となるタイプはTPPにおけるスカルズと傀儡兵を足して3で割ったような行動パターンで、平たく表現すると「身軽なゾンビ」といった感じ。
非常に力が強く、序盤の装備では数発くらうと致命傷となってしまう。一方でフェンスやコンテナ、足場などによじ登ることはできないので壊れない足場へと登ってしまえば逃げるのは比較的容易。
また、ワームホールを開こうとするとおびき寄せられる性質があり、ワームホール装置の起動やワンダリングワームホール(突然ワームホールが開いてアイテムが落ちてくる現象)が開いた際にはおびき寄せられてくる。
未知の生命体の寄生により主に頭部から背中にかけて金属化したかのような変異を起こしており、頭部の上半分は失われて角のような結晶が突き出しており、背中は大きく盛り上がっている。
ワンダラー以外の個体もあり、それらは「視力が殆どない代わりに音と臭いに敏感」等、個体ごとに索敵能力に差があり、「自爆能力を持つ」などその個体特有の能力を持つものもいる。
資源にもなるため回収することも可能で、倒し方により回収時の資源量が異なり、暗殺で倒した方が装備の消耗もなく多くの資源が回収できる。
特に大型の個体はカロン部隊により「ロード・オブ・ダスト(塵の王)」と呼ばれている。初めて登場したあとは塵の海を彷徨い歩いており、経路上のワンダラー等を踏みつぶしていく。
こちらの世界で初めて確認されたのはベトナム戦争末期のベトナムにて。
TPPで登場した「極限環境微生物(メタリック・アーキア)」との関連性は不明。
舞台
ディーテ(地獄)と名付けられた異世界で、ワームホールによりこちらの世界と時折繋がる事がある。
地球に似た惑星で、謎の生命体により荒廃している。
霧のような塵に覆われたエリア(塵の海)では酸素タンクなしでは長時間の活動は不可能で、塵の海により各地は分断されている。
ディーテ側に時間や場所を超えて人や物など様々なものが漂着するが、逆にディーテ側のものがこちら側へとたどり着くこともある。
ウォーデンクリフ・セクションはワームホール技術を持っており、エネルギーの問題で送り込める量は限られるものの、MSFマザーベース上空に開いた巨大ワームホールにより座標を特定、カロン部隊を派遣した。
公式動画
ANNOUNCE TRAILER
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ネタバレ
ディーテと呼ばれる異世界は未来の地球であり、ドレッドダストと呼ばれる暴走したナノマシンにより荒廃した世界へと変わっていた。
ナノマシンの産物であるドレッドダストには死の概念がなく、寄生先の肉体が滅んでも死ぬ事は無いので不死身の存在と思われていたが、適応したセスに寄生していたドレッドダストのように死の概念を共有してしまうとその個体の死と共に滅びてしまう事が判明する。
ロード・オブ・ダストはダイヤモンド・ドッグズマザーベース跡上空にワームホールを開き、過去のMSFマザーベースへと転移し、世界を崩壊へと導くループを作り上げている。
物語終盤でワームホールで帰還したクリスであったが、1980年の元の世界へと戻れず、1942年のフィラデルフィア計画のさなかのエルドリッジ上空へと転移した。
クリスは当初は貴重な成功例として実験動物として扱われていたが、リーヴより託されたiDROIDのデータやディーテでの体験を元に技術を再現し、技術者としてウォーデンクリフ・セクションでの地位を確立し、キャプテン達をディーテより救い出し、そして未来を変えて守り続けるるために活動していた。
そしてマザーベース崩壊後にはキャプテンを見つけてディーテへと送り込み、ループを成立させるとともにグッドラックとしてループを破壊する為の支援をしていた。
iDROIDはMSFのみで使われているものだが、iDROID登場前のピースウォーカー計画のAIポッドに接続可能など、利用できる理由はクリスが過去へと持ち込み再現したからだと思われる。
ワームホールを開き過去へ飛ぼうとするロード・オブ・ダストを撃破したことで歴史が改変、XOF襲撃時のMSFマザーベース上空にワームホールが開くことを阻止し、ループの解消には成功する。
なお、帰還エンドの場合はキャプテンは左腕部分を失っていない状態のMSF時代の服装に戻ってTPP頃と思われるアフガニスタンのラマーハーテ宮殿近くと思われる砂漠で目が覚め、惨劇の生存者となって彷徨う事となるが、体内のドレッドダストがどうなっているかは不明。
服の状態からワームホールの発生していない世界の同一人物へ意識のみが転送されたとも考えられるが、もしドレッドダストを体内に有したままであった場合、ドレッドダストを過去へと持ち込んだキャプテンを回収した事でDDがドレッドダストのグラウンドゼロと化して世界が荒廃するきっかけとなり、ループの最初となった可能性が考察されているが、詳細は不明である。
(帰還は仲間を見捨てたというのもあるがバッドエンドである事、ディーテにあるDDマザーベースの正面ロゴのDIAMOND DOGSの文字がDEAD DOGSへと書き換えられている、帰還によりDEAD DOGSのネームタグの入手ができる、といった事から推測されている)
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