概要
その名の通り、ギャグ要素を取り入れた漫画。ストーリー性よりもシチュエーションで読者を笑わせる漫画のこと。ストーリーから生じる笑いを重視した作品は「コメディ漫画」となるが両者に明確な区別はない。
歴史
初期の漫画はギャグ漫画とそうでない漫画に区別はなかった。手塚治虫が漫画に悲劇性・ストーリー性を持ち込んでから、漫画というジャンルに多様性が生まれ、結果としてギャグ漫画は「マンガの一ジャンル」となる。
しかし、初期の漫画は手塚作品も含めて、落語のようなオチや、愉快な言葉、絵遊び等で笑いを取る方式が多かった。シリアスな漫画とギャグ漫画が完全に分化するのは1960年代に劇画が一般化したことによる。
ギャグの神様赤塚不二夫が人気を呼んだのはこの時期で、赤塚作品ではキャラクターが現実には不可能なことを平然と行い、いわゆる漫画的表現を効果的に使うことが非常に多くなった。
この潮流を更に過激に突き詰めたのが永井豪であり、下ネタの多用、エログロ要素を笑いと化し、もとより漫画は何でもありの表現ではあったが、特にギャグ漫画に於いてはあらゆる要素が肯定され始める。(説明なしに死んだキャラが生き返る、前回の話が無かった事になる、バナナチンコ等々)
また、表現以外にも設定の矛盾、ご都合主義などが多用されるが、ギャグ漫画では突っ込むのは野暮である(サザエさん時空など)。
ストーリー漫画でも『北斗の拳』や『彼岸島』など、ギャグ要素(超展開、設定矛盾、シリアスな笑い)を盛り込んだ漫画も少なくない。
ギャグ漫画の特徴
まぁ、ぶっちゃけ、なんでもアリなのがギャグ漫画の良さではある。
学校や日常が舞台
4コマ作品もコマ割り作品もある。
最近は主に萌えキャラ(萌え絵の中高生など)が主人公の漫画が多い。
(それ故、公式や二次創作では百合ネタ、BLネタに発展しやすいのも特徴)。
連載の都合上、サザエさん時空である作品が多い。
しかし一部の漫画は、コミックの途中の巻までサザエさん時空で、4月の区切りの良い時にキャラクターを進級させる種類もある。(ex.「らき☆すた」)
日常系も参照。
日常系から始まったはずなのに、全然非日常的になってしまった作品(ex.「となりの関くん」)や
そもそもの日常の前提がおかしい作品(ex.「超能力者斉木楠雄のΨ難」)もある。
有名作品を題材としたパロディ作品
- 商業作品では「北斗の拳イチゴ味」や「機動戦士ガンダムさん」がこれに該当する。
命や環境といった重い題材を取り上げた作品に多い。
作品の舞台裏を描いたり(メタ)、感動の名シーンを台無しにしたり、パロディの手法は多岐にわたる。
パロディに際して、原作とは異なる形式をとる作品も多い。(原作はコマ割り、パロディは4コマ形式など)
ネタとしてパロディを用いるのは、ちょっと意味合いが異なる。
超回復
ありえない出血量であっても、街が破壊されても、1コマ変われば回復する。
普通のバトル漫画ではこうはいかない。
その他
- ギャグ漫画に4コマ形式をとる作品は多い。
- 起承転結により成り立つ形式であるため、結果として「結」でオチをつけることが可能なギャグ漫画に多く採用されている。
詳しくは4コマを参照。
多様化するギャグ漫画
一部がギャグシーンの漫画、番外編だけギャグになる漫画、「笑い」よりも「日常風景」を重視したギャグ漫画もあり、笑いの種類が細分化している。
ギャグの種類も不条理、オサレ、ドタバタ、ほのぼの、社会風刺、シリアスな笑い、意味不明と多様になっている。
話を読みやすくする為に一部にギャグ表現、デフォルメ表現を入れ、ギャグを潤滑油代わりに使う手法もあるとか…?
「必ずしも笑えなくていい」「笑えるのか笑えないのか分からないのが面白い」という図式もできつつあり、ギャグが抽象化しつつある。
他ジャンルとの境界線が曖昧になってきた点は、恋愛漫画、バトル漫画、萌え漫画etcによく似ているかもしれない。