概要
2012年に公開されたアメリカ映画。映画の原案はアルゼンチンの雑誌から発表されたボードゲームの『Battleship』としている。
ユニバーサル・ピクチャーズ100周年記念として製作され、日本では同年4月13日に公開された。ハリウッド映画を、海外でDVDが出る頃に劇場公開をすることも少なくない日本だが、本作に限っては全世界最速の公開となった。
ハワイ近海で合同演習していた米日海軍が宇宙から襲撃してきた異星人の軍勢と洋上で激しい戦いを繰り広げるというストーリー。主人公のアメリカ海軍将校と海上自衛隊の艦長が最初は反目しながらも最後には良きライバルとして昇格するという王道のフラグも立っている。
なお、主人公のアレックス・ホッパー役のテイラー・キッチュは同時期に公開されたディズニー映画『ジョン・カーター』でも主役を演じている。
成績
実写TFの成功から映画化した本作だが、アメリカでの興行収入は製作費20900万ドルに対してわずか6500万ドルとなっており、2010~2015年間のハリウッド映画において赤字ランキングの2位(1位は上記のジョン・カーター、3位は47Ronin)となっており、本作の失敗が影響でハスブロ社からの映画3本が白紙化している(後に1本が低予算で製作された)。
(テイラー・キッチュはとんだ貧乏クジを引いてしまったのだろうか…。)
日本では浅野忠信が出演していたこともあって好評であり、14億円を超えるヒットを記録。これは2012年の日本国内で公開された洋画としては第7位の成績となる。
余談
「潜水艦ゲームを実写化」というぶっ飛んだ発想や、高クオリティの派手なアクションシーンを活かす為にあえて細かいストーリーのつながりを無視した脚本、チキンブリトーなどが大受けし、日本ではカルト映画的人気を博している。本作の熱狂的ファンは(「信者 (worshipper)」にも掛けたのか)「バトルシッパー」と呼ばれている。
海上に配置していた波を観測するソナーを利用した戦法でのモニターのグリッド表示と敵艦から放たれる遅延型爆雷の形状がボードゲームのバトルシップの盤(グリッド表示)と攻撃・ダメージ表示のピン(遅延型爆雷)が元ネタである。
しかし、日本での好評ぶりとは裏腹にアメリカでは酷評されており、『トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part.2』とラジー賞を激しく争った。
(基本的に娯楽映画に徹した作品は、こういったアカデミックな基準で審査される場合は大体酷評されるので、アメリカ市民の評価というわけではないが、確かに評判が良くないのも事実である。)
(結局のところ、日本での好評価の背景にあるものは「日本人/日本が活躍するハリウッド映画」ということが大きいのかもしれない。)
その後、2015年に日本の地上波で初放映されるも、映画公開当時と状況が異なっていたために本作は(ネタ的な意味で)公開当時以上の人気を博すこととなる。港湾労働者組合にウケたというのも大きい。
2017年に再び地上波放送予定……であったが、イージス艦の衝突事故を受けて放送が自粛されてしまった。しかしバトルシップがプライムビデオの見放題ラインナップに入っていたことを発見したバトルシッパー達はプライムビデオや手持ちBDなどを利用して勝手に実況を開始。出演俳優の浅野忠信氏も参加し、謎の盛り上がりを見せた。その後、延期という形ではあったが9月8日に放送された。
しかし、同日のグラチャンバレー女子の中継が長引きバトルシッパー達は用意していたチキンブリトーを消費させながらやきもきさせた。
なおこの作品、冒頭のシーンのみではあるが、現役の海上自衛隊隊員が出演(たまたま撮影場所の真珠湾に寄港していた護衛艦きりしまの乗員が協力)しており、護衛艦あたごが劇中で異星人の兵器と交戦する護衛艦みょうこうに扮して登場している。
原作(?)となった『Battleship』は運が左右せず、索敵と推理を駆使する頭脳ゲームである。
関連作品
艦隊これくしょん:バトルシップ劇中の台詞「でも今の駆逐艦はすごいぞ。最高だ。」が「まったく、小学生は最高だぜ!!」とほぼ同じ用法となっている。
仮面ライダーエグゼイド:登場アイテム「ガシャットギアデュアルβ」にインストールされたゲーム『バンバンシミュレーションズ』は同じく海戦シミュレーションゲームで、ボードゲームとしての側面も持つ。
レーダーミッション : 任天堂のゲームボーイでリリースされたバトルシップと同系統の海戦ゲーム。