900番台との関係
日本国有鉄道が1986年にVVVFインバータ制御試験のため試作し、常磐緩行線に投入した207系900番台とは、形式が同一なだけで何の関係もない。
概要
初の同社設計による通勤形電車。主に東海道・山陽本線の普通電車や福知山線・JR東西線・学研都市線(片町線)等で運用されている。量産先行車を除いて、3両+4両で分割運用できるようになっているが、これは学研都市線の東部が4両までしか入線できなかったため(現在は解消。ただし和田岬線の代走時の土日には3両で運用されることがある)。2005年のJR福知山線脱線事故の際の車両である。
なお、カラーリングは登場時はブルーの濃淡の帯であったが、尼崎脱線事故後、遺族の感情に配慮して大幅に変更して現在の濃紺とオレンジの帯となった。なお、321系も当初は207系の初期カラーと同じカラーで登場する予定であったが、同じ理由で濃紺とオレンジ帯となった。
この塗装変更の影響は実車ばかりでなく、鉄道模型(TOMIX)やゲーム(電車でGO!)にも及んだ。(鉄道模型では旧塗装の絶版、「電車でGO!FINAL」の東海道線パートのPSP移植で影響を及ぼした)
座席モケットも登場時は青色であったが、尼崎脱線事故後に緑色に変更された(321系も同様)。
編成・車両形式
主回路機器:0・1000・500・1500番台はVVVFインバータ・静止型インバータ、2000番台は車両制御装置
- クモハ207形
- 京都寄りの先頭に連結される制御電動車。パンタグラフと主回路機器を搭載。0番台は存在しない。2018年時点で、3両編成のクモハ207形は和田岬線での代走に使われる場合以外、営業運転で先頭に立つことはない。
- モハ207形
- 0・500番台:パンタグラフ・空気圧縮機・主回路機器を搭載する中間電動車。0番台は単独もしくはモハ206形とユニット組んで使用。0番台から改造の500番台は1500番台とユニットを組んで使用。
- 1000・2000番台:パンタグラフと主回路機器を搭載する中間電動車。単独で使用。女性専用車両。
- 1500番台:モハ207形500番台とユニットを組んで使用される中間電動車。1000番台からの改造車(改造時にパンタグラフを撤去)と当初から1500番台として製造された車両(登場時から乗降ドアに複層ガラス採用)がある。女性専用車両。
- モハ206形
- モハ207形0番台とユニットを組んで使用される中間電動車。モハ207形0番台からパンタグラフ・空気圧縮機・静止型インバータを省略。女性専用車両。
- クハ207形
- 京都寄りの先頭に連結される制御車。0番台のみ存在。当初から電気連結器を装備した編成は100番台と区別されたが、のちに試作編成以外の0番台にも電気連結器が装備された。1000・2000番台はクモハ207形がこの位置に連結されるため存在しない。
- クハ206形
- 西明石・新三田寄りの先頭に連結される制御車。0番台は試作編成のみで、すべてのZ編成・H編成は100番台が連結されている。2000番台は連結面の南側に車椅子スペースがある。2010年3月以降、4両編成のクハ106形は試運転を除き、営業運転で先頭に立つことはない。
- サハ207形
- 付随車。0番台は試作編成に2両のみ存在し、1000番台・2000番台はでは1編成につき1両連結されている。1000番台T1 - T14編成のサハ207形は、製造当初は6両編成に連結されていたため、空気圧縮機付きの1100番台。
編成
「#xxx」は「xxx番台」を示す。斜字は女性専用車両。
←京都・木津・奈良(学研都市線経由) / 西明石・新三田→
←奈良(おおさか東線経由。直通快速) / 新大阪→
0番台
編成 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
F1 | クハ207-1 | モハ207-1 | モハ206-1 | サハ207-1 | サハ207-2 | モハ207-2 | クハ206-1 |
Z1 - Z15 | クハ207-#0 | モハ207-#0 | モハ206-#0 | クハ206-#100 | |||
H1 - H16 | クハ207-#100 | モハ207-#500 | モハ206-#1500 | クハ206-#100 | |||
Z17 - Z23 | クハ207-#100 | モハ207-#0 | モハ206-#0 | クハ206-#100 |
1000番台
編成 | ||||
---|---|---|---|---|
T1 - T14 | クモハ207-#1000 | サハ207-#1100 | モハ207-#1000 | クハ206-#1000 |
| クモハ207-#1000 | サハ207-#1000 | モハ207-#1000 | クハ206-#1000 |
S1 - S55・T18 | クモハ207-#1000 | サハ207-#1000 | クハ206-#1000 |
2000番台
編成 | ||||
---|---|---|---|---|
T20 - T30 | クモハ207-#2000 | サハ207-#2000 | モハ207-#2000 | クハ206-#2000 |
S56 - S57 | クモハ207-#2000 | サハ207-#2000 | クハ206-#2000 |
事故廃車された0番台Z16編成はZ1 - Z15と同じ編成だった。1000番台S18編成は事故後休車中。
体質改善工事
2014年より、リニューアル工事が始まっている。
- 221系同様に前照灯がHIDランプに変更。
- 前面カラーデザイン変更。
- 行先表示器のフルカラーLED化(種別幕はそのまま)。
- 車内デザインの変更。
- 座席のバケットシート化、袖仕切りの大型化。
- 座席定員を利用実態に合わせ7人がけから6人がけへ。
- スタンションポールの設置。
- 室内灯を蛍光灯カバーつきの物からコイト工業製の反射式LED灯へ交換。
- 制御装置の電子機器更新。
など、改造内容は多岐に渡る。
福知山線脱線事故
2005年4月25日9時18分ごろ、福知山線(JR宝塚線)塚口→尼崎間で宝塚発同志社前行き上り快速5418Mが、右カーブで脱線し、先頭2両が進行方向左側にあるマンションに衝突した。事故に遭ったのはZ16編成(4両)+S18編成(3両)の7両。この7両はZ16編成先頭に学研都市線の京田辺駅まで併結した後、京田辺駅でS18編成を切り離し、Z16編成のみの4両が同志社前駅まで向かう予定だった。Z16編成の先頭車両がマンション1階の駐車場に横転して衝突し、前から2両目がマンションの側壁に衝突、3両目、4両目も脱線し、S18編成も最後尾と2両目の後ろの台車を除きすべて脱線した。
Z16編成の4両は事故当日に車籍を抹消され、復旧の際に現場で解体された。S18編成は人力で塚口駅へ回送、DD51の牽引で宮原総合運転所(現・網干総合車両所宮原支所)に搬入された。その後3両が兵庫県警に押収され、前4両の台車とともに保管された。2011年2月1日付で神戸地方検察庁が保管していた編成をJR西日本に返還した。2018年11月17日、JR西日本は解体されたZ16編成を含め保存する意向を発表した。
所属・運用
すべての車両が網干総合車両所に所属し、明石支所に配置されている。
- 東海道・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線):野洲 - 加古川
- 日中は京都 - 西明石間で運用。草津・加古川乗り入れは平日朝ラッシュ、野洲乗り入れは毎日最終電車のみ。普通電車として運転される。
- 福知山線(JR宝塚線):尼崎 - 篠山口
- 日中は尼崎 - 新三田間で運用。篠山口乗り入れは朝晩のみ。基本的に大阪で折り返すか、JR京都線およびJR東西線・学研都市線と直通。普通電車・快速として運転される。
- JR東西線・片町線(学研都市線)・関西本線(大和路線):尼崎 - 京橋 - 木津 - 奈良
- JR神戸線・JR宝塚線と直通運転するほか、学研都市線内のみの運用もあり。普通電車・区間快速・快速として運転される。早朝・深夜に限り木津 - 奈良間も走る。
- おおさか東線・関西本線(大和路線):新大阪 - 放出 - 久宝寺 - 奈良
- 毎日上下4本ずつ直通快速として運転。
関連タグ
東海道本線 山陽本線 JR京都線 JR神戸線 福知山線(JR宝塚線) JR東西線 片町線(学研都市線)
321系 207系の後継車両。分割運用には対応していない。