概要
山田悠介が2001年に自費出版した小説。または、それを原作とした漫画作品や映画のこと。
西暦3000年の未来の日本を舞台に、理不尽な殺人ゲームに巻き込まれた青年のサバイバルを描いた物語だが、発表時にはその奇抜な発想と、奇怪な文法により大ブームを巻き起こした。
あらすじ
西暦3000年の日本は、「佐藤家」という一族に支配されていた。しかしその150代目当主(作中では『王様』と表記)は、王族以外の「佐藤」氏が500万人もいるということに憤りを覚え、自分以外の「佐藤」姓の人物を皆殺しにしようと思い付き、「リアル鬼ごっこ」計画を指導する。
主人公の翼も、佐藤姓を持つ者の一人。「鬼」の殺戮から逃れるべく、翼は日本列島を駆け回る。はたして翼は、生き別れとなった妹に再会できるのか…。
「リアル鬼ごっこ」ルール
原作のルール
- この鬼ごっこにおいてターゲットとなるのは全国500万人の佐藤さんで、王国の兵士扮する100万人の「鬼」から逃げなければならない。
- 鬼ごっこは一日のうちの23時から24時までの一時間のみ行われ、それ以外は何をしても構わない。開催期間は12月18日から24日の1週間。
- 鬼ごっこ時には電車・バス・船舶・航空機などといった乗り物は全てストップし、もし鬼ごっこの時間内に車などに乗って運転している者がいれば、その人物は佐藤以外の姓でも殺害していいことになっている。
- 鬼から逃げのびて生き残った佐藤さんは何でも願いがかなえられる。
漫画版追加ルール
- ゲーム期間中に改姓、海外渡航などの「鬼ごっこを終わらせる行為」を禁止する。原作小説では、海外渡航はもとより改姓は禁止されていなかった。
- 佐藤姓以外の人は佐藤さんの手助けをしてはならず、手助けした者も殺される。
- 3日目と6日目に鬼がパワーアップされ、重機や巨大飛行兵器が投入される。
映画版のルール
- 開催期間及び実施時間は不明。乗り物に乗って逃げてはいけないのも原作と同じだが、特に交通規制はされていないようだ。
- 新たに武器を使って鬼に抵抗してはならないというルールが追加されており、作中のニュースでは鬼に発砲したヤクザや、バリケードを構築して抵抗したグループが処罰されている。また、ルール違反者は見せしめとして公開処刑され、その様子が全国に放映される。
鬼
このゲームにおいて佐藤さんの敵となる存在。
原作小説・漫画版
王国の兵士が鬼役を担う。鬼は迷彩服と帽子を着用し、激しく抵抗する者を殺害するための拳銃と、視界に捉えた人物の姓を瞬時に識別する「佐藤探知機ゴーグル」を装備している。鬼は1日に最低1人佐藤さんを捕まえなければ厳罰に処される。
映画版
全国の囚人から選ばれており、佐藤を捕獲した数によって、減刑や釈放などの恩赦が与えられる。
鬼は佐藤さんの体内に埋め込まれているIDチップに反応するGPSを装備した仮面をつけており、これにより佐藤さんの位置特定が原作よりも容易になっている。
佐藤さんを捕獲すると鋭利なナイフを仕込んだワイヤーで逃亡を阻止した上で護送用車両に連行するが、無理に逃げようとした場合はその場で殺害する。
登場人物
- 佐藤翼
- 佐藤愛
- 佐藤輝彦
翼と愛の父親。アル中で翼が幼い頃から暴力を振るう、典型的なダメ人間だったが…?
- 佐藤洋
- 王様
21歳。愚鈍で贅沢好きな暴君。このゲームの発案者。
- 鬼
『佐藤探知機ゴーグル』を付けているため、全国の佐藤さんを瞬時に見分け襲い掛かってくる。
突っ込み所
これが1000年後の文法だ!
酷いの一言に尽きる。文庫化された際にはかなりの部分が修正されたが、それでもあまりに言い回しがくどく、冗語法が多用され、誤字脱字が山のようにある。
例えば、この記事の「概要」の欄を『リアル鬼ごっこ』風に書くとこの様になる。
>概要
>日本の小説家の山田悠介が2001年に自らの財産を削って自費出版した小説。または、それを原作としてその原作を少々作り直しリメイクして作られた漫画作品や映画作品のこと。
>西暦30000年の未来の日本を舞台に、理不尽に人の命を奪う殺人ゲームに巻き込まれた若い青年の命を懸けた生き残り戦術を描いたサバイバルを描いた物語だが、発表された時にはその不思議で奇抜な発想と、不思議な奇怪な文法により盛大な大ブームを巻き起こした。
これは誇張ではない。発表当時の山田氏はマジで読書の経験がほとんどと言っていいほど無かったらしく、主語と述語の不一致、ことわざや慣用句のミス、貧困な形容詞などと、小説初心者がやっちゃいけないミスをことごとく網羅しているという有様だった。
最後までこれらの文章を読み解いても、初版では物語を根底から覆す誤記がラストシーンにあったというのだから呆れるほかない。
ルールと記録は破るためにあるのでは
まず、500万人もの一般人がいきなり「捕まれば死刑」というルールのゲームへの参加を強要されるという状況を考えてほしい。その500万人がほぼ全員律儀にルールを守ってゲームに参加し、捕まるという事がありうるだろうか。むしろゲームから抜け出したりルールを破ることを考える者が出るとしたほうが自然ではないだろうか。
その前提で見ると、リアル鬼ごっこのルールはあまりに粗雑である。一日のうち1/24がリアル鬼ごっこに当てられるなら、それ以外の時間に市役所に改名届を出しに行けば容易に「佐藤以外の姓」となってゲームから抜け出せてしまう(尤も、このゲームが始まった理由を考えると「王様以外の佐藤姓が居なくなれば良い」ので、それでかまわないのかもしれないが。何せ国民から「馬鹿王」と呼ばれているわけだし)。また、日本国籍を持つ「佐藤さん」の中には海外に出ている者もいるであろうが、だからといってこのような人権を無視したゲームに他国を巻き込めば間違いなく国際問題に発展する。また、それを狙って海外渡航する者が出る事も考えられるだろう。
そのような問題を度外視したとしても、(明確な描写は無いが)作中における日本の地理的な条件が現代日本と同じであると仮定すれば、地の利は最悪である。日本は幾千もの島が連なる島国である上に、国土の3/4は山岳地帯である。食糧その他の装備を買い込んで山奥や無人島に籠るなりすれば100万人、すなわちゲーム開始時の人数で言えば追跡対象の5分の1しかいない鬼だけで7日間の合計7時間というわずかなタイムリミットの間に全員を発見・捕縛するのは至難の業だろう。我が国は、明らかにリアル鬼ごっこに向いていない国なのである。
もちろんこれらのルール違反は漫画版にて全面禁止となり、違反者にはルールを無視した対処が行われる事が示唆されているのだが、それに全く気が付かなかった山田氏と編集部、および登場する全国の佐藤さんのマ・・・純粋っぷりには呆れるばかりである。
そもそも、1000年後の日本が舞台である必要がない
本作は現代から1000年後の未来の日本が舞台であるとされており、登場する地名は全て実在の地名である。しかし、この「1000年」という時間についてよく考えてほしい。今から1000年前といえば平安時代である。その頃の地名がそのまま現代でも使われているかといえば、むしろそのような土地は殆ど存在しないと言っていいくらいだろう。
それだけならまだしも、作中の生活水準は現在と一切変わっておらず、驚いたことに武器を始めとした小道具が一切進化していない。比較対象として銃火器を例にとれば火縄銃が発明されたのですら今から600年近く前の話である。
要するに「1000年」という数字に全くリアリティがないどころか、リアリティを持たせようとした様子さえも見られない。
そのためか、映画版では「パラレルワールドの日本」という無難な設定になっていた。
関連項目
殺せんせー - 映画版第1作に登場する鬼と何となく似ている。