概要
ネタバレ注意
体内炉心の暴走と、帰巣本能の異常によって、いつ核爆発を起こしてもおかしくない状態となったゴジラのこと。全身が暴走する核エネルギーで真っ赤になっていることからこの呼び名がついた。
住処であったバース島が、熱水の噴射によるウラン鉱脈の爆発によって消失し、その際に噴出した膨大な放射能を浴びて、体内の核分裂が制御不能なレベルにまで活性化している状態である。
火器攻撃などをきっかけとして大規模な核爆発を起こす危険性を持っており、その際の破壊力は周囲の壊滅どころか、「大気に火がついて」地球全体を焼き尽くしてしまう可能性さえあるレベル(大気に火がつくというのがどんな現象なのかは突っ込んではいけない)。
幸いにも作品中盤で過剰な核分裂は制御されたものの、その体が正常な状態に戻るには既に手遅れであり、核分裂を完全に停止しない限りはその熱を通常通りに制御できないままメルトダウン=炉心溶融を起こすことが判明する。ゴジラがメルトダウンを起こすと周りを焼き尽くしながら地球に穴が開いてしまうほどのエネルギーが発生し、その穴は日本列島を丸々飲み込んでしまうほど。(2011年の東日本大震災をきっかけとした福島原発事故より前の1995年の時点で、この作品の誇張表現により「メルトダウン」という言葉を一躍有名にした。)
それらを阻止するため人類側は自衛隊開発のスーパーXⅢや冷凍メーサー車などの冷凍兵器を出撃させる。また過去に初代ゴジラを熱を用いず化学的に葬ったオキシジェンデストロイヤーを攻撃手段に用いる怪獣デストロイアをメルトダウン対策として利用するため、ゴジラと戦わせようと目論む。そのため同属のゴジラジュニア(ゴジラと仲が良かった前作・前々作のベビー・リトルが、上述のバース島の異変で急成長した姿)との再会を求めるゴジラを、デストロイアの暴れる場所まで誘き寄せるために、ジュニアが囮として巻き込まれてしまう。幸いジュニアは集合・飛翔体のデストロイアを撃破し互いに再会を果たして喜んだが、完全体となったデストロイアにジュニアが倒されてしまう。唯一の同族を失い、怒り狂ったゴジラはデストロイアに対し執拗な攻撃を繰り出す。
外見・能力
胸や背びれ、目など体の随所が炎のように赤く発光している。皮膚が発光しているのはゴジラの毛細管が体内の核分裂によりエネルギーが活性化し膨れ上がったため。
その姿は『ゴジラの最期』を表すようにすさまじい覇気が漂うとともに、熱で背びれが溶け、目は血走り、常にもうもうと蒸気をまとっているなど痛々しくもある。
またゴジラの必殺攻撃である放射熱線も青白色から赤へと変色している。
100万度のハイパーウラニウム熱線や90万度のバーンスパイラル熱線などの赤色熱線は平成ゴジラシリーズにおいてはクライマックスでのみ使用していたが、本作では序盤から建物を破壊する程度の事にも使用している。その際やゴジラジュニアの死に直面して感情が高ぶった時やメルトダウン寸前などにはゴジラ自身も制御できず吐血のように勝手に赤色熱線が出てしまっているかのような様子だった。
スーパーXⅢ(メカゴジラやMOGERAと同じく熱線を防御する人工ダイヤモンドをコーティング)は赤色熱線に二発耐えて一日足らずで整備を完了し再出撃しているが、一発でコクピット内に火花が散るほどでパイロット曰く「熱線が予想以上にパワーUPしている」。デストロイア戦の炉心温度レッドゾーン(1160度以上)後にはデストロイアの弱点である胸部のミクロオキシゲン圧縮器が開かれたのを狙い撃ちして、血を吹かせ吐血させた。
また、G細胞が通常時とは比べ物にならないほどに活性化しており、オキシジェン・デストロイアー・レイやヴァリアブル・スライサーなどの大技を受けても即座に回復する治癒力を見せていた。
インフィニット熱線
ジュニアを殺され、なおも戦おうとするデストロイアに対して、
怒り狂ったゴジラが放った熱線である。
この怒りにより、炉心温度が一気に1180度に急上昇し、上昇速度も急激に早くなった。
この熱線は平成ゴジラVSシリーズどころか歴代ゴジラの中でも最大級の破壊力を持ち、放射直前の時点で背ビレから凄まじい熱風を吹き起こしていた。同時に、その高熱によって背ビレが溶けていってしまった。
体からもデストロイアが怯むほどの熱気が放たれ、同時に放った体内放射は今までそれを放った怪獣の時より遠い距離にいたデストロイアにも届き、周囲を炎上させるほどに威力・攻撃範囲が上昇している。
熱線は着弾すると同時に凄まじい大爆発を引き起こし、高熱に強いはずのデストロイアの体表をボロボロに焼き尽くし、耳(?)を抉り、怯えて逃走させるほどに威力が上昇した。
熱線はゴジラがメルトダウンするまではその名の通り理論上無限に熱量が上昇し続けるため、
まさにゴジラ最期の技である。
最期
完全体となったデストロイアとの死闘の末(デストロイアはインフィニット熱線のダメージで瀕死のところを、自衛隊に止めをさされた)、ついに体内融合炉が臨界点を突破するも、自衛隊によって冷凍兵器を次々と撃ち込まれ、メルトダウンによる最悪の被害は阻止された。
しかし肉体の溶融は止まらず、大量の放射能を東京に撒き散らしながら骨さえ残さずに溶解していった。
だが、ゴジラの塵と放射能はデストロイア戦で死んだはずのゴジラジュニアに吸収され、新たなるゴジラとして復活させたのである。
[http://www.nicovideo.jp/watch/sm1551740]
商品展開など
当然ながら人気は非常に高く、フィギュアなどの歴代ゴジラ作品を扱う玩具シリーズにおいては同シリーズのゴジラと同時にほぼ確実に発売が期待できるほど。リアルタイム時にはバーニングゴジラのソフビの流用で、数々の限定商品も製造・発売され、現在も価値が高い。
ソフビやガレキなどでは尻尾や両脇の小さな背ビレは劇中どおりの白(暗い灰色)ではなく、この記事のトップ画像のようにメインの背ビレと同じ赤で統一することも多い。S.H.MonsterArtsのゴジラ(1995)はその背ビレに白を採用しているが、製品はサンプル画像と違い大量生産の都合で、劇中よりも明るい白の塗装が目立っている。またその型を黒く塗って流用し、ノーマル状態のVSゴジラ(&復活したジュニア)に仕立てあげた新商品も発売され、今後のpixivでのデジラマによる活躍が期待される。
TVゲームのゴジラUnleashedではVSゴジラだけではなく、他シリーズのゴジラや他の怪獣さえも条件を満たすことによってバーニング化できるというバーニング怪獣のバーゲンセールな仕様になっている。VSゴジラ、初代ゴジラ、ゴジラ2000によってバーニングの模様もそれぞれ違っている。
以後のシリーズにおける類似形態
GODZILLA(アニメ映画)
2018年公開のアニメ映画版『GODZILLA』第二章「決戦機動増殖都市」にてゴジラ・アースがこれに近い状態になっている。
第2章特製ブックレットでのインタビューでは赤熱ゴジラと呼ばれる。
本家と異なり熱線の色は青いままである。
メカゴジラシティに誘き寄せられたゴジラ・アースがゴジラ・フィリウスが倒された時と同じくシールドを無力化されてEMPハープーンを撃ち込まれ、体内電磁波エネルギーを暴走させられるが、分子制御によって自身ごと周囲の空間を加熱するという新たな攻撃手段を発動。熱源となる体内のコアからの光が体表から漏れ出る事で全身が赤く染まり、5000度を超える高温によって撃ち込まれたEMPハープーンを融かして無力化してしまった。
あまりの高熱で空中から近寄ることすらできず、人類側が手をこまねいているうちにシールドの復旧が完了し、ゴジラ・アースは反撃を開始。熱線の連射によってメカゴジラシティを焼き尽くした。
映画内では自身とその周囲にある分子を電磁波で振動させて加熱する能力とされていたが、実際は電磁波ではなく遮蔽困難な重力波による加熱であり、遮蔽物は意味を為さない。
また第三章「星を喰う者」において、物理攻撃が通用しないギドラを高熱で攻撃するべくこの形態になったが、こちらは物理法則そのものを歪めるギドラによって無効化されてしまった。
GODZILLA King of the monsters
さらに2019年公開の『キング・オブ・モンスターズ』でも終盤にゴジラがこれを彷彿とさせる形態へと変化している。
海外での名称はゴジラ・ヒートウォーク。
見た目そのものや背鰭の演出はアニメ映画版に近い。
ギドラと三度目の戦いを迎えていたゴジラだったが、この時のゴジラは芹沢猪四郎が眼前で起爆させた核爆弾のエネルギーを大量に取り込んだ結果、体内の炉心が臨界に達しており、あと十数分で身体が大爆発を起こすという危険な状態に陥っていた。
ギドラに追い詰められたゴジラを守ろうとしたモスラはギドラの光線攻撃によって四散してしまうが、彼女の身体は無数の光る粉と化してゴジラの体に降り注ぎ、その力によって余剰エネルギーの制御に成功。
立ち上がったゴジラは全身を真っ赤に染め上げ、ギドラに突撃。体内放射を放ち、一撃でギドラの翼を焼き落とし、さらに連続で体内放射を放ってギドラの真ん中の首を残して焼却。残った首も断面から熱戦を放射し消滅させ、永きに渡って王位簒奪を狙ってきた宿敵に引導を渡したのだった。
関連イラスト
余談
唯でさえ重く、呼吸もしづらいことで有名なゴジラの着ぐるみ(暴れると3分ぐらいで酸欠起こすレベル)に、電飾や蒸気を出すギミックを組み込んだせいで、空気穴が蒸気で詰まったり、電飾が漏電して感電したりと、何時にも増して危険な撮影となり、スーツアクターの薩摩剣八郎氏は冗談抜きで何度も死にかけたとの事。