概要
有井製作所の100%子会社。
鉄道模型とプラモデルの製造をしているが、プラモデルは現在は旧製品の再生産のみであり、新製品は手掛けていない。
歴史
マイクロエースの鉄道模型分野は、1980年に倒産した「しなのマイクロ」を傘下に収め、マイクロエースに改称してスタートしたことに始まる。
スタート直後から当時の最新型特急電車の185系やEF641000番台などのNゲージ製品を発表し、特に10系客車シリーズは当時の大手各社の各種製品を凌駕するほどの緻密かつ繊細なディティール再現で高く評価された。
しかし1980年代半ば以降、長らく新製品はおろか再生産もほとんどない休眠状態が続き、会社そのものも有井製作所に吸収。名称のみが有井のブランドとして残った。
その後1990年代半ばより、中国の工場に設計と製造を委託する形で、輸出を念頭に置いたと思われるアメリカ型の機関車製品を発売。
1996年にはD51を製品化して国内型Nゲージに再参入を果たす。
2006年にマイクロエース10周年記念商品が発売されたが、これは1996年の新製品の発売を再開した時から起算したものであり、実際には2006年時点で「マイクロエース」ブランドは25年以上の歴史を持っていた。
製品の特徴
大手二社(KATOとTOMIX)が「数が出ない=売れない」と判断して製品化しないようなマイナーな車両を旺盛に製品化している。
一編成しか存在しないジョイフルトレインや、失敗作と見なされ短期間で消滅したような列車、更には事故などの影響で急遽組成されたイレギュラーな編成などもあり、模型から実車の存在を知った人も多い。
逆にメジャーな新型車を製品化することは殆どない。
特に2000年頃は蒸気機関車を怒涛の如く製品化しており、国鉄の蒸気機関車は大抵ラインナップした実績がある。
中にはC63のような計画倒れに終わったものや、『銀河鉄道999』の999号のようなフィクション、果ては南満州鉄道のあじあ号までも製品化している。
余談だが、あじあ号も当然ながら中国で生産したため、現地からは顰蹙を買ったらしい。
電気機関車も同様で、マイクロエースが最初に製品化し、後から他社が追従した車両も多い(EF80、ED73など)。
価格は平均的に大手二社より高価でありながら、こうした「ネタモノ」系の商品戦略でファンを獲得し、鉄道模型メーカーとしての地位を不動のものとした。
この事実は、後に他社の商品戦略に影響を与えたとされる。
初期の製品はノウハウの不足から、写真だけ見て製品化したような造形が多く、製品の出来栄えに当たり外れが大きかった。
こうした外れ製品に2ちゃんねるで様々な蔑称が付けられたり(「は〇なす」「キハ乙乙」など)、店頭の不良在庫品は「蟻塚」とも呼ばれ、時にメーカー自体が「マイクソエース」とまで呼ばれたことすらあった。
また、動力車のダイキャストが経年劣化で変形することも有名。
現在はかなり品質が上がっており、出来栄えは大手二社と較べてもひけをとるものではない。
特に塗装や印刷技術は目を見張るものがあり、細かい表記の精密さは大手二社を凌ぐとまで評される。
この事から観光列車との相性が良く、ヒット製品を多数生み出している。
ただし、品質が上がったことや中国の人件費高騰の影響をまともに受けたらしく、価格も上昇傾向にある。
また近年は、大手二社がマイクロエースの独壇場だったマイナー車両に手を出すようになった影響か、完全新規の新製品は大幅に減少しており、既製品の仕様変更や再生産が多くなっている。
納期遅延も常態化しており、中には2年半も発売が延期された製品も存在する。
製品化発表後に撤回する事例もあることから、「経営難に陥っているのでは」と心配する声もある。
(マイクロエースは従業員15人程度の零細企業である)
その他
- Nゲージ車両の他にも、カプラーや室内灯も製造している。一時はレールやパワーパックも手掛けていたが、現在は撤退している。
- 2018年には車載式の超小型スピーカー「マイクロスピーカーシステム」を発売。これはオーディオやスマートフォンからBluetoothで送信した音を自由に鳴らせるもので、発売直後は悪ふざけで北側の名曲を流す人が多発した。
- HOゲージも稀に発売されるが、旧製品の焼き直しのみであり実質的にプラモデルと同じく再生産である。
- 2019年11月、鉄道模型販売店のポポンデッタが自社製Nゲージに参入し、処女作として305系を発売したが、台車や車内などの製品的構造がマイクロエースに酷似していると話題になった。恐らく同じ工場で設計・製造しているためと思われる。