概要
世界最大級の同人誌即売会であるコミックマーケットでは、毎回少しでも早く会場入りしようとする者たち…俗にいう「始発組」によって、公共交通機関…とりわけりんかい線とゆりかもめは始発から凄まじいまでの混雑が発生する。
コミックマーケットの主催者サイドのルールにより「公共交通機関の始発以前の来場は深夜来場行為と見做される」ため(以前は「午前4:30以前」だったが、近年改定された)、「少しでも早く来場」しつつ「深夜来場などのルール違反にならない」ようにと多くのコミケ参加者たちが考えた結果、公共交通機関各社の始発に殺到する、という仕組みである。
とりわけ、一度に運べる絶対数の多いりんかい線の混雑は都営バスやゆりかもめの比ではなく、国際展示場駅の入口付近で見られる猛スピードで走り来る始発組(注:危険なので走ってはいけません)と、それを制止せんとするコミケスタッフたちとの熾烈な戦いはまさにペルシアの大軍に挑む300人のスパルタ兵の如しであり、その様は「大垣ダッシュ」や兵庫県西宮神社名物の「福男選び」などに喩えられる。
なお、これらの表現はいずれも誇張ではあっても虚構ではない。割とマジで。
下の関連動画を見れば、阿鼻叫喚の地獄絵図ぶりがわかるだろう。
また、コミケスタッフの陰に隠れがちだが、改札から大量に吐き出される始発組に対し、キセル行為が無いかしっかりと目を光らせているりんかい線の駅員たちの戦いも地味に熾烈である。
ちなみに、始発組があらかた去った後も、1日平均十数万を数えるコミケ参加者が続々と、そして延々と聖地を目指してやって来続けるため、(多少の波はあれど)お昼頃までず~っとこうした混雑は続く。そして、昼過ぎ以降は逆に会場を離れて帰宅する参加者たちでごった返すため、だいたい終日混雑は続くと考えてよい。
かつてのりんかい線では、あまりの混雑ぶりから、コミケ開催期間中、国際展示場駅構内は25km/hの徐行措置がとられていた(現在はホームドア設置により終了)。
もちろん、このような混雑に対し、通常のダイヤではとてもさばききれないため、公共交通機関各社はいずれも大幅な臨時列車の増発を行う(通称「コミケ臨」)ほか、りんかい線やゆりかもめは始発時間を前倒しし、都営バスは各営業所のバスをかき集めてビッグサイトと東京駅の間を直通するシャトルバスを大量運行してピストン輸送するなど、コミケ参加者のみならず公共交通機関各社にとっても朝っぱらから終始慌ただしい時期となる。
夏コミ・冬コミでは毎年風物詩となっているため、近年ではコミケへの参加目的ではなく、面白半分で始発ダッシュするオタク達の様子を撮りたいがためだけに、国際展示場駅の改札外に先回りして待ち伏せする者すら出ているほど。
とはいえ、大半が面白半分の撮影者ばかりなためかマナーがなっていない者も多く、いい撮影場所を求めるあまり駅員やスタッフの指示を無視したり、彼らが必死で「走らないでください!」と注意しているにも関わらず始発組に対して「走れ!走れ!」と煽ったり、撮影に夢中になるあまり前に出過ぎたり導線を塞いだりしたことで猛ダッシュする始発組と衝突したりと、無用なトラブルの種を撒き散らす悪質な者が毎回出現しており、「迷惑撮り鉄と同類」「徹夜組以下」という声すらある。
最近は多数の撮影者(投稿動画などを見ると、ここ数年のコミケでは数十人単位で集まっているのが確認できる)がコミケ毎に湧いて駅構内の通路を圧迫している現状も、トラブル増加の一因であることはおそらく間違いないだろう。
一般的に始発ダッシュという単語はコミケ当日のりんかい線利用客に使われている事が多く、ゆりかもめ利用客にはあまり使われない。実際TwitterやYouTubeにアップされているのもほぼ全て国際展示場駅から撮ったものである(そのため親記事を国際展示場駅にしている)。
コミックマーケット以外での始発ダッシュ
このような現象はコミケに限った事ではなく、限定グッズ物販や人気歌手のライブがある当日券が用意されるイベントでも発生する。
特にひどかったのが2017年7月8日・9日に開催されたTHE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR SerendipityParade!!!(通称デレマス5th)の幕張公演で、当日機材解放席の当日券発売がアナウンスされたため、初日である8日に幕張メッセの最寄り駅海浜幕張駅で始発ダッシュするPが続出。
この影響で駅周辺は大いに荒れ怪我人まで出る有様で、2日目の当日券の販売はなしになるかもしれない危機すらあった(結果的には2日目も無事に販売された)。
関連動画
改札でのダッシュ動画
ゆりかもめ 東京ビッグサイト駅(旧称:国際展示場正門駅)(何気に貴重な存在)
列車内の様子