概要
「ポケモンGO」における対人戦(PvP:Player vs Player)はサービス開始当初から待ち望まれていたが、2018年12月のアップデートによって遂に実現された。
仕様
相手にポケモンを見せ合うことなく双方3匹ずつ手持ちに入れ、シングルバトル形式で行う。バトルツリー等で行われる形式と思えばよい。
ジムバトルやレイドバトル同様通常技を使い続けるとスペシャルアタック(これまでゲージ技と呼んでいたが、トレーナーバトルにはゲージがないためチャージ技と呼ばれる)が使えるようになる。
だがスペシャルアタックの仕様が通常と大きく異なる。
- スペシャルアタックを使用した時、試合がいったん中断される。3秒間の間に連打によってパワーを溜めて相手に放つことで攻撃する(2019年7月のアップデート後は、画面に表示されるマークをスワイプすることでパワーを貯める仕様に変更された)
- スペシャルアタックを使われた相手はシールドを張るかどうかの選択を迫られるが、それ以外の行動は取れない。シールドを使えば完全無効化できるが、使用できるのは1試合2回まで
- 両方が同時にスペシャルアタックを使うことはできない。発動が被った場合、攻撃力の高いポケモンの発動が優先される(以前はランダムで先攻後攻が決まっていたが、2019年12月のアップデートに伴い現在の仕様に修正された)
- スペシャルアタックを受けたとしても自分のスペシャルアタックに必要なチャージは一切変化しない。一方で、交代した時にそれまで溜めていたチャージ分は交代後も保たれたままになる
この他「避けるコマンドが存在しない」「技威力やチャージ必要量が通常とは異なる」など、独自の仕様が多い。
交代についても厳しく、1回交代すると一定時間(30秒ほど)経過するか倒されるまで再交代ができない。
リーグ
以下の3つに分かれている。
- スーパーリーグ(CP上限1500)
- ハイパーリーグ(CP上限2500)
- マスターリーグ(無制限)
何とCP制限が設けられ、これによって最大CPの高いポケモンのフル強化こそ最強とされてきた状況が一変してしまったのだ。
特にスーパーリーグは大多数の伝説ポケモンが使用できないことから、マリルリ、チルタリス、ブラッキー、エアームド、クチート、ヤミラミなどこれまで最大CPが低く注目されなかった様々なポケモンが活躍の場を広げるきっかけになっている。
耐久が高いポケモンの場合最大CPが低いこともあり、制限内で高耐久を実現できるとあって目下引っ張り凧である。
対戦できる相手と報酬
近くにいるプレイヤーと戦うのが一番イメージしやすいが、フレンド機能により「親友」以上になれば遠距離でも戦うことができる(もちろん双方がアプリを起動してあり、かつOKを貰えればの話だが)。
なお、相手がいなくてもチームリーダー(キャンデラ、ブランシェ、スパーク)と何度も戦うことができる。こちらは使用ポケモンが決まっているほか、シールドを使ってくるタイミングも決まっているので対策が立てやすい。
報酬は「チームリーダーと戦うことで1日1回」「他のプレイヤーと戦うことで1日3回」貰うことができる。この報酬には何と「シンオウの石」が含まれ、フレンドに乏しいユーザーからは怨嗟の声が漏れている。
まあ「勝っても負けても報酬の確率に変化はない」のは救いだが。
GOロケット団とのバトル
2019年7月からはGOロケット団のしたっぱと、同年11月からは幹部およびボスのサカキとトレーナーバトルを行うことができるようになった(サカキは月に一度挑戦できるスペシャルリサーチ限定だが)。
ただし、幹部の攻略難易度は相応に高いため、現状ではTL38以上のプレイヤーの挑戦が推奨されている(あくまで推奨されているだけであり、挑戦すること自体はできる。実際、CP1500制限のスーパーリーグ方式でもクリアできたという報告はある)。
バトルのシステムは概ね通常と同様だが、ランク分けが存在しない、戦闘後にポケモンのダメージが回復しない(キズぐすりで回復させる必要がある)という違いもある。
また、バトルに勝っても通常のPVP関連のメダルには回数が加算されない(ロケット団関連には“ヒーロー”および“サカキ”という別のメダルが存在するため)。
報酬に関しても受け取れる回数には制限はなく、バトルに勝利すれば、1日に何回でも受け取ることができる。したっぱの場合、報酬は星の砂×500とロケットレーダーの作成に必要なアイテムである「ふしぎなパーツ」で固定されているが、幹部の場合、各種回復アイテムの他、なんと運が良ければ進化アイテムである「イッシュのいし」を入手できる。確率はそこまで高くはないが、狙ってみる価値はあるだろう。
さらに、勝利後には相手の持っていたシャドウポケモンを1匹捕獲することができる。個体値はランダムだが、リトレーン(浄化)すれば実用レベルの個体値になる可能性もある(稀にリトレーンする必要がない程の高い個体値の者を捕まえられることもあるが)ため、ぜひ狙っておきたい。幹部の場合、低確率ながら色違いの個体を落としていくこともあるため、運よく遭遇出来たら絶対に手に入れておきたい。
なお、シャドウポケモンは通常の個体と比べて攻撃力が飛躍的に上昇しているため、耐久の低いポケモンだと苦戦を強いられることが多い(例えば、カイリキーのような低耐久高火力型のポケモンに、攻撃力の高さにものを言わせてゴリ押しさせようとすると、あっさり返り討ちに遭ってしまうことも珍しくない)。
また、幹部のポケモンは攻撃力だけでなく耐久面でも底上げされているらしく、さらにしたっぱとは異なりシールドも使用してくるので、したっぱの時よりも攻略難易度が上がっている。
こうしたこともあり、通常のトレーナーバトルと同様、多少火力は落ちても、耐久性の高いポケモンを使用した方が結果的に安定して戦いを進めやすくなることもあるため、タイプ相性だけでなく、そのあたりも念頭に置きながら戦うポケモンを選ぶようにしたい。
また、幹部を相手にする際には、開幕後にシールドをいち早く消費させる必要があるため、発動コストの少ない小技を取りそろえたポケモンが重要視されやすい。
現状
上記のように、トレーナーバトルはジム戦やレイドのような単純な力推しで片づけられるようなものではないため、これまであまり日の目を見ることがなかったポケモンや技にも多数スポットが当たるようになっており、その点を評価する声は多い。
…が、残念ながら海外はともかくここ日本ではお世辞にも流行しているとは言い難いのが現状である。
そもそも遠距離でできる条件が厳しく(フレンドとの友好度を“親友”まで上げないと遠距離での対戦が行えない)、原作とは異なり個体厳選も任意で行うことができない(野生やレイドなどでたまたまゲットしたものを採用するしかないため非常に効率が悪い、交換で任意の個体をもらうことすら不可能)といったことが原因で、参入までのハードルが異様に高いためである。
そんなに難しいゲームではなかったはずなのだが…。
場合によっては過去手に入った技を覚えた個体まで投入しなければいけない有様。いつぞやのこいつらである。公式もトレーナーバトル向けに技の追加や復刻・バランスの調整などを行ってはいるのだが……
また、そもそも日本では、(ポケモンに限らず)元より海外と比べてオンライン対戦の人気が低めという事情もあり、これもトレーナーバトルの不人気の一因となっている可能性がある。
そして肝腎の本編トレーナーは仕様の違いやバトルの単純さに愕然として食わず嫌い状態であることが多い。
鳴り物入りで追加されただけに、今後どうなるかに注目が集まる。