概要
『フレッシュプリキュア!』においてプリキュアが戦うことになる敵組織。自分達の世界だけではなく、全パラレルワールドの支配を目標にしている。
本作より前のプリキュアシリーズの敵が「人の姿をした化け物」であったのに対し、ラビリンスに所属している者は我々と住む世界が違うだけで、ほとんどの者は「人間」である。(人造生物である上級幹部達は除く)
つまり、イースを初めとしたラビリンスの刺客たちは、総統メビウスの理想を信じて戦っている戦士(彼ら自身は“しもべ”と名乗っている)なのである。
敵の幹部がプリキュア達同様の人間であるというパターンは今のプリキュア作品では珍しくもないが、それを初めて明確化したのが本作に登場するラビリンスなのである。
彼らは地球の人間たちを苦しめることで生まれる「不幸」のエネルギーを収集することを目的としている。
プリキュアと無関係な一般人が敵の犠牲者になるということは前作までの敵組織と大きな違いであるが、悪役として描くには分かりやすい特徴である。
本作以降の敵組織もプリキュアと無関係な一般人をひどい目に合せるのを基本的な行動指針とするようになった。
仮にも一国家が何故このよう悪党じみたマネをしているのかというと、この不幸のエネルギーが一定以上集まると「無限のメモリー」なる存在が顕現すると言われているからである。
無限のメモリーはすさまじい能力をもつ演算装置であり、どんなことでも可能にする。ラビリンスはそれを入手して、すべての平行世界を管理する力を得ようとしているのである。
構成員
上層部
メビウス(声:西村知道) | クライン(声:樋渡宏嗣) |
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ラビリンスの頂点に君臨する冷徹な総統。元々はラビリンスの科学者たちが製造した国家管理用のメインコンピューターだったが、次第に堕落していく人間を見限る形でラビリンスを乗っ取った経緯をもつ。最終決戦では「インフィニティ」になったシフォンを取り込む形で全パラレルワールドの支配に乗り出すが、プリキュアたちの活躍によって阻止され、最後はプリキュアを道連れにしようと暴走して自爆した。 | メビウスの側近を務める老年男性。ラビリンスの国家と国民の管理及び監視を任されている。最終決戦ではラビリンスにやって来たプリキュアを始末しようとするが、ノーザの提案を受ける形で彼女と合体し、ノーザ・クラインとしてプリキュアの前に再度立ち塞がる。その正体は爬虫類(トカゲ)の遺伝子情報から生まれた人造生物であった。 |
ノーザ(声:渡辺美佐) | ノーザ・クライン(声:渡辺美佐) |
ラビリンスの最高幹部を務める壮年女性。人間界では「北那由他」と名乗る。人間の不幸を利用する作戦を用いる。最終決戦ではラビリンスにやって来たプリキュアの前に立ち塞がるが、彼女たちの浄化技を受けて敗北する。その後はクラインと合体する手段を選び、ノーザ・クラインとしてプリキュアの前に再度立ち塞がる。 | ノーザとクラインが合体して誕生した怪人。既に最終形態へと変貌していたノーザとクラインの力を継承しており、4人のプリキュアを相手にしても圧倒できる戦闘能力をほこる。メビウスから国民を解放しようとするプリキュアに襲いかかるが、最後は彼女たちの浄化技を受けて倒される。その正体は植物(球根)の遺伝子情報から生まれた人造生物であった。 |
三幹部
イース(声:小松由佳) | ウエスター(声:松本保典) |
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ラビリンスの幹部を務めるクールな少女。人間界では「東せつな」と名乗る。プリキュア側に接近して弱点を掴もうと目論むが、彼女たちと触れ合っていく中で心境に変化が生じるようになる。上層部から最後通告を受ける形でプリキュアとの決戦に挑み、キュアピーチとの激闘を繰り広げる中で改心するに至るも、寿命が終わってしまう。しかし、その後はプリキュアとして転生することに成功し、遂にはラビリンスからの脱退を決意する。 | ラビリンスの幹部を務める筋肉質の青年。人間界では「西隼人」と名乗る。主に力押しの作戦を用いる。最終決戦ではラビリンスにやって来たプリキュアの前に立ち塞がるが、メビウスに見捨てられて消滅する。しかし、その後はサウラーと共に浄化される形で復活を果たし、メビウスを倒すためにプリキュアたちと共闘を組む。メビウス体制の崩壊後、仲間たちと共にラビリンスの復興に力を注いでいる。 |
サウラー(声:鈴村健一) | |
ラビリンスの幹部を務める長髪の青年。人間界では「南瞬」と名乗る。主に知略を活かした作戦を用いる。最終決戦ではラビリンスにやって来たプリキュアの前に立ち塞がるが、ウエスタ―と同じ理由で消滅する。しかし、その後はウエスターと共に浄化される形で復活を果たし、メビウスを倒すためにプリキュアたちと共闘を組む。メビウス体制の崩壊後、仲間たちと共にラビリンスの復興に力を注いでいる。 |
怪物
ナケワメーケ(声:中野慎太郎) | ナキサケーベ(声:中野慎太郎) |
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ラビリンスの三幹部が使役する怪物。三幹部が所有する菱形のクリスタルを物体または生物に取り付けることで誕生する。なお、クリスタルの色は幹部によって異なり、イースは紫色、ウエスターは黄色、サウラーは緑色のクリスタルを使用する。 | イースが使役する強力な怪物。メビウスが製造した闇のカードが素となり、そのカードを物体または生物に取り付けることで誕生する。カードの構成上、4回しか使用できない。ナケワメーケよりも格段に強さが増すが、その代償として使用者の身体を蝕むという欠点をもつ。 |
ソレワターセ(声:中野慎太郎) | ホホエミーナ(声:中野慎太郎) |
主にノーザが使役する非常に強力な怪物。人間の不幸のエネルギーから育った実が素となり、その実を物体または生物に取り付けることで誕生する。プリキュアの強化された浄化技でないと対処できない強大な強さをほこる。 | 浄化されたウエスターとサウラーが使役する怪物で、プリキュアの仲間として登場する。 |
国家の体制
管理国家と呼ばれているとおり国民はあらゆるものが管理されており、それは寿命とて例外ではない。完全なディストピア社会が構築された世界である。
技術はかなり進歩しており、ほとんどが高度に機械化されている。街中は画一的で幾何学的なビルが立ち並び、自然の緑は見当たらない。
イースなどの幹部クラスはある程度の裁量を認められているようだが、その与えられた権限も目的達成のための意味合いが強い。
メビウス率いる幹部たち支配層は、人間は管理されることで幸福になると心の底から信じており、地球人に不幸を与えるために侵略を開始したことにも罪悪感ももっていない。
これは地球を「管理」するために必要なことであり、無限のメモリーの奪取という目的が達成されれば、地球もちゃんと「管理」されて不幸などなくなると心から信じているからだ。
その素晴らしい幸福に比べれば、今ちょっとした不幸が与えられることなど小さいことなのである。
モチーフ
4人の幹部の本名と偽名の名字は方角が由来。また3人の幹部の下の名前はせつな(刹那)、隼、瞬と速さを現すものになっている。
それとは対照的に最高幹部ノーザの偽名那由他とは、「一」や「万」などの単位の中で3番目に大きい単位の名前(その上は「不可思議」と「無量大数」という単位しかない)である。
クラインの名前であるクラインの壺やメビウスの名前の由来であるメビウスの輪は終わらないものを示すものであり、それぞれの名前の由来の違いに最終的な結末の違いが示唆されている。
関連イラスト
関連タグ
砂漠の使徒・・・・次回作に登場する、プリキュアシリーズでは珍しく科学を活用する敵組織。
幻影帝国・・・・数多の国民を抱え、れっきとした「国家」として描かれる敵組織。
惑星サマーン・・・スター☆トゥインクルプリキュアに登場する”AI”に管理された住人が住まう惑星。但しこちらはAI側に他の星の生物を害する意思はなくハイテク技術と自然の調和がとれている。いわばラビリンスから悪玉要素を抜いた国家。
他作品の関連タグ
クライシス帝国・・・・20年ほど前のニチアサに登場したそのシリーズ初の「政府」「国土」「国民」をそろえた異世界の敵組織。
大ショッカー・・・・同時期のニチアサに登場した全パラレルワールドの支配を目標にする敵組織。
第四惑星人・・・・経緯が似ている。
素敵探偵ラビリンス・・・・「ラビリンス」繋がりだが漫画作品名。「なゆた」という主要人物が後半から出てくる。
眼魔世界・・・・・こちらも国民の寿命などが管理されているなど、似ている点が存在する。