概要
「機動戦士ガンダム」に代表されるロボットアニメ作品には大抵の場合、「機体数は極めて少ないものの主人公や敵軍のエース、ラスボスが搭乗するような1機存在するだけで戦局を左右しかねない試作機やプロトタイプの超高性能機」と「1機あたりの性能や能力を二の次にして大量生産のみを至上命題とした量産型の機体」が存在する。
こういった作品では量産機は自軍、敵軍問わず相対したフラッグシップ機やそれに乗るエースパイロットの前に為す術もなく大量に撃破、破壊されるという「噛ませ犬」、「ヤラレ役」のような立場になるのが半ばお約束と化している。
これは当然と言えば当然であり、そもそも「量産機」は文字通り量産されるのを前提で建造、開発されているため1機あたりの生産コストを抑えなくてはならない。すると1機あたりの性能や機器の質も抑えなくてはならなくなるため必然的に総合性能はコスト度外視で建造されているフラッグシップ機とは雲泥の差となってしまう。
しかし、中には「敵軍のフラッグシップ機のデータを盗用して開発された量産機」や「新技術で圧倒的な性能向上に成功したモデル」など主人公側の機体にも匹敵するほどの量産機が存在する。こうした機体はそれまでの量産機とは桁違いの性能や能力を持ち、時として主人公陣営の人物や機体を撃破するまでに至るほどの力を発揮している。
こうした機体は「フラッグシップ機に相当する高性能」と「量産機の物量」を両立した極めて強力な存在となる。
これこそが「お前のような量産機がいるか」と言われる所以である。
代表例
EVA量産機 「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズ
「お前のような量産機がいるか」の筆頭候補。永久機関「S2機関」を導入する事でエヴァンゲリオン運用上の問題の一つだった短い稼働時間問題を解決し、稼働時間の無制限化に成功。パイロットはダミーシステムに移管した事で無人化にも成功した上にEVA零号機などには無い自己再生能力まで有する。
単体での性能でもEVA初号機やEVA弐号機を超える上に、本機は「量産機」であるため5~13号機の計9機が建造されている。
劇中では一度は9機全てがEVA弐号機に敗れたものの、前述した自己再生能力により何事もなかったかのように復活。弐号機を惨たらしく蹂躙するというトラウマレベルの戦闘能力を持つ。
ビルゴ 「新機動戦記ガンダムW」シリーズ
劇中で登場する「ガンダム」の開発者チームが新たに開発したヴァイエイト、メリクリウスの2機の攻撃能力と防御能力を統合し開発された無人モビルスーツ。
機体制御は「モビルドール」システムという人工知能が行う。
コンピュータ制御ゆえの恐ろしく高い攻撃精度と連携能力、人間が乗らない事で人体への負荷を無視した凄まじい戦闘機動などを行える事で有人機とは一線を画する性能を持つ。
装甲材質も主人公陣営のガンダムと同等のガンダニュウム合金を採用しており、ヴァイエイト由来の大型ビームキャノンによる大火力と、メリクリウス由来の電磁シールドユニットであるプラネイトディフェンサーを装備した事で誇張抜きにガンダムクラスの性能を持つ量産機となった。
GN-X 機動戦士ガンダム00シリーズ
主人公勢力である「ソレスタルビーイング」が所有するガンダムの動力機関であるGNドライヴ(太陽炉)とほぼ同等の性能を持つ「GNドライヴ[T]」、通称「疑似太陽炉」を搭載したモビルスーツ。
主人公陣営のガンダムはこのGNドライヴによる恩恵で圧倒的な性能を有していたが、アレハンドロ・コーナーの裏切りにより国連軍に擬似太陽炉とそれを搭載した機体のデータがリークされた事で建造された。
1機1機の性能が主人公達が搭乗するガンダムとほぼ同等の性能でありながら量産機でもあるため実質的に主人公側のガンダムのアドバンテージを一気に無くす事に成功している。
劇中では幾度となくガンダムと交戦し苦戦を強いた上に最終的には主人公陣営を敗北させるという大戦果を上げている。