概要
ダミーシステム(英語:Dummy System)は、ネルフがエヴァンゲリオン初号機に導入した無人制御システム。このシステムを搭載した無人のエントリープラグをダミープラグと言う。エヴァンゲリオンに擬似的な信号パターンを送信し、パイロットが搭乗していると誤認させる事で、無人でありながらATフィールドの展開を可能とする。
システムが発動された時のエヴァンゲリオンは目が赤く変色し、凶暴性・好戦性が増して必要以上に敵を攻撃した。発動した時は圧倒的な戦力を発揮し、第13使徒(新劇場版では第9使徒)に乗っ取られたエヴァンゲリオン3号機を完膚無きまでに撃破しており、これをモニター越しで見ていたネルフの職員たちは唖然としていた。動作している時はパイロットに目の前の光景が見えず、両腕は装置で拘束されて完全に制御できなくなる。
テレビアニメ
鈴原トウジが搭乗する3号機が使徒に乗っ取られ、第13使徒と化した3号機を破壊するべく初号機で初めて使用され、トウジを傷つけたくないという理由から戦闘を拒否するシンジの代わりに起動させた。圧倒的な戦力で3号機を撃破し、トウジが搭乗しているエントリープラグを破損させてトウジは左足を喪失した。その後は量産型に搭載されて2号機と交戦したが、初号機には綾波レイの擬似人格データ、量産型には渚カヲルのものが搭載されていた模様である。
漫画
テレビアニメとほとんど展開は同じだが、ダミーシステムの攻撃でトウジが死亡しているという大きな違いがある。
新劇場版
ゴルゴダベースにて建造されてネルフ本部へ搬入され、その後は初号機に試験運用を兼ねて搭載された模様である。無人でのエヴァンゲリオンの起動と制御を可能としており、日向曰く「子供に操縦させるよりは人道的。」らしい。アスカが搭乗するエヴァンゲリオン3号機が第9使徒に乗っ取られた事で初号機が出撃し、テレビアニメ時代と同様に戦闘を拒否したシンジを見て、ゲンドウはシンクロの全面カットとダミーシステムの起動を命令した。
ダミーシステムが起動した初号機は3号機を圧倒し、それを押し返して頚椎を圧潰させる。この時点で3号機は無力化されたが、初号機はそのまま攻撃を続けて頭部・腕部・装甲板を破壊し、更に3号機を食い千切るなどまるで獣のような原始的かつ異常な攻撃性を見せた。最後はエントリープラグを噛み砕いて停止し、同時に第9使徒は殲滅された。
第10使徒(テレビアニメでは第14使徒)が侵攻した時、ネルフを去ったシンジの代わりに初号機を出撃させるべく再びダミーシステムを起動させようとするも、何故か初号機はこれを拒否し、初号機そのものも嫌がるような反応をしてダミープラグを排出しようとしていた。ゲンドウの「私を拒絶するか、ユイ。」という言葉から、コアの碇ユイそのものが拒否したと思われる。
ANIMA
ネルフドイツが建造したエヴァンゲリオン・EUROII・ウルトビーズに搭載されている。これは当初ダミーシステムを中心にして運用されていたが、パイロットである洞木ヒカリの洗脳がウルトビーズの中の思念によって解除されて以降は、パイロットの補助に限定して運用されている。システムを完全に停止しないのは、動力源であるQRシグナムが発する精神汚染を肩代わりしてパイロットを保護する為である。
ちなみにロールアウト直後の0・0EVAには、ダミーシステムによって機体を制御する案が存在していたが、暴走の危険性から廃案となっている。
余談
2009年6月に公開された「新劇場版:破」では、起動する際に男性の声のような機械音が発生するが、これを逆再生すると「To be dominated by me is not as bad for human pride as to be dominated by others of your species」という文になる。この文を日本語に訳すと「同じ人間に支配されるよりは、私に支配される方が人間のプライドを傷つけないだろう。」という意味になる。これは1970年4月に公開された「地球爆破作戦」という映画に登場する人工知能のセリフであり、音声中の「私」を「ダミーシステム」として表していると思われる。