見ての通り一般名詞を組み合わせただけの名前で、現実にも普通に存在しそうだが、実際には使用例はあまり見られない(皆無?)。
というのも艦内専用の制服というものがほぼ存在しないからである。一般的に艦船の乗組員は普通に制服・軍服を着用していて、わざわざ乗船時だけ専用の制服に着がえることなんて無いし、なにか艦内の特殊な作業用の服があったとしても、普通その作業の名前をしており、艦内服というアバウトな名称は用いない。
水上艦船以外に目を向けると、宇宙飛行士が宇宙船の中で着る服があるが、宇宙船なので服の名前も船内服である。惜しい。遠い将来「宇宙艦」が出てきたら艦内服という名前も一般的になるかもしれない。
フィクションだと艦内服という名称はちらほら使用例があるが、宇宙戦艦ヤマトのものには遠く及ばない。
オリジナルシリーズ
宇宙戦艦ヤマトの乗組員が着用している服。劇中では「隊員服」とも呼ばれている。
男性クルー用は上着の正面に大きな矢印が描かれている(錨を簡略化したものという説もある)。上着は一見するとTシャツなどと同じ上から被るタイプに見えるが、第1作第18話や『ヤマトⅢ』第4話などを見るに前開きらしい。また、時代が時代だからかズボンの裾が若干ベルボトムっぽい。
女性クルー用は見た通りのぴっちりスーツであり、かなりボディラインがくっきりと分かるデザインとなっている。脚の黒いラインは腰の側面から延びてふくらはぎを通るパターンと脛辺りの高さで脚を周回するパターンがあり、人によっては拘りがあるらしい。『宇宙戦艦ヤマト完結編』以前は実質森雪専用服となっており、雪以外の着用が確認できるのは(無かったことにされた)第1作第10話に登場する女性クルー達のみ。『ヤマトよ永遠に』の真田澪は異なるデザインの服(これもぴっちりスーツ)を着ており、『宇宙戦艦ヤマトⅢ』の女性看護師たちはスカートつきの看護服を着ている。
肩の3本のラインは自由・平和・勇気を表しているとのこと。
デザインは共通で、カラーリングで班を識別する仕様となっており、
- 戦闘班:白地に赤
- 航海班:白地に緑
- 生活班・通信班:黄色地に黒(※1)
- 工作班:白地に青
- 機関部:白地に橙
- 艦載機部隊:黒地に黄(※2)
となっている。襟の部分は班長のみ色がついており、他のクルーは白。ただし『ヤマトⅢ』だけは全員色がついており、代わりに新乗組員の襟に白いラインが入っている。
ヘルメット、グローブ、ブーツを追加で着用するだけで簡易宇宙服になるという便利な機能を持つ。一応ちゃんとした宇宙服は他にもあるのだが、2作目以降は作画が面倒になったのか簡易宇宙服でしか描かれなくなった。ちなみにこの簡易宇宙服、首がむき出しになっている(一応白く塗ることでカバーがあるように表現することもあるが、非常に稀)。
この服を着用しているのはヤマトクルーだけであり、他の艦は違う服を着用している。例外として『ヤマトⅢ』第1話に登場したパイロットだけはヤマトと同じデザインの服を着ている(色は全く異なる)。一部の人には憧れであるようで、徳川太助は初めて着用した時「やっとこれが着られた」と感動している。
『宇宙戦艦ヤマト復活篇』では、男性用艦内服のデザインが一新され、女性と同じくピッチピチになった。女性用はそのままだが、一部男性と同じ服を着ている者もいる。
※1 通信班の色は1作目では相原義一以外白地に黒で、2作目以降はそもそも相原しか登場しない。
※2 1作目では加藤のみこの色だった。
2199シリーズ
正式名称(?)が「艦内常装」となっている(「常装」は自衛隊の制服の呼称)。
リメイクに伴い、オリジナルを尊重しつつも、より現実的・現代的なアレンジがなされた。
男性の服はかなりアレンジが強いが、逆に女性の服は(ロマンのためか)オリジナルの要素を極力残したデザインとなっている。それにより一見すると男女の差異が大きくなったが、2199の全記録集第1巻に掲載された細部の形状を見ると、実はむしろ共通点が増えている。
例として裏地は男女とも同じ素材となっている。それ以外だと例えば袖口形状について、男性はゆるく女性はぴっちりだが、これは袖ジッパーを開いているか閉じているかの違いでしかなく、ジッパーを閉じれば男性もぴっちり袖口となる(作画上では不格好という理由で袖ジッパー自体が省略されている)。
このように男女で差異が大きい部分は、全てがそうではないものの単に着こなし方が違うだけという風に解釈されている。
カラーリングはオリジナルと踏襲しているが、生活班から生活要素が主計科として分離され、残った部分が通信班を吸収して船務科となったので、船務科が黄色地に黒、主計科が橙地に黒となった。また、完全新規要素として保安部が追加されており、これは灰色地に黒となっている。
男性
矢印マークが錨マークにアレンジされている。上着はズボンから出た状態で、その上からベルトを着用する形になった。ただし、機関士など現場作業が主体の人はボトムスイン状態の場合もある。薄く見えるが、中身は女性用と同じ素材・形状なので結構厚め。肩部分はジッパー付きで袖を切り離すことができる。
上着が明確に前開き式になったので、開いた状態にしてそこはかとなく色気を出したり、数は少ないが彼シャツネタに使われたりもしている。前開きは劇中だと伊東がやっていたので、イラストも伊東の割合が多め(ただし色気は大抵ない)。
ヘルメットとグローブとブーツを着用することで一応簡易宇宙服とはなる模様で、七色星団海戦の折、古代がパイロットスーツに着替える時間を惜しみこの状態でコスモゼロに乗っている。ただしこれはあくまでも緊急時の措置で、普通はちゃんとパイロットスーツや船外作業用の宇宙服に着替える。
ヤマト以前の宇宙勤務者(艦船乗組員など)用の国連宇宙軍制服とデザイン上の共通点が多く、ヤマトの艦内服はそれの発展形であると思われる。
女性
女性クルーが大勢増えたため、各科に対応したカラーリングが増えた。ラインに色を付けても分かりづらいためか、基本的には各科の色を地として黒いラインとなっている。ただし、航海科は男性と同じ緑だと濃すぎると思われたのか薄緑になっており、戦術科(砲雷系)と機関科に関してはいまだ未登場。機関科の場合、上記のパターンに従うと主計科と被ることになるが…
全身一体型に見えるが、実は四肢と胴体部の計5パーツに分割できる。脚のパーツの分割ラインは股の黒いラインのところ。また、ブーツと一体にも見えるが、裾をブーツの中に入れているだけで、ブーツを脱ぐと男性用と似た感じになっている(ブーツと服の境界線は脚の黒ラインのところ)。この部分は劇中でも市川純が着崩しているので確認できる。
正面に縦に走る黒ラインは男性用と同じくジッパーとなっているので、下ろしチャックも可能。ちなみにこのライン、終端部分がどうなっているのか時折議論の的になっていたのだが、設定上は他のラインとは交わらず、尻穴あたりで途切れている。
胸部分はサポート機能が付いた乳袋になっている。そのためワイヤー入りブラジャーは着用できない(実際劇中じゃみんなスポブラかキャミソールだった)。
ベルトは腰回りに引っ掛けているだけで、服の固定というよりはホルスター等の装着に使われている模様。ちなみにある人物は尻がでかいのかベルトの位置が他の人よりやけに上にある。
↑上述した全記録集の発売直前に描かれた予想イラスト。ほぼ全部的中していた。
ぴっちりスーツゆえパイロットスーツと見た目がそっくりで、追加パーツを着けただけのように思えるのだが、実際には脚の側面のラインが無いなど違いがあり、別物である模様。
続編の『宇宙戦艦ヤマト2202』では、監督の発案により表面にテカリが追加された。当事者曰くディテールアップのつもりだったらしいが、むしろ安っぽくなったとあまり評判はよろしくない。
その他
航空隊は全員普段からパイロットスーツ着用であり、その上にフライトジャケットを羽織っている。出撃時はハーネスや耐G目的の脚部圧迫用と思われるストッキング(?)を追加装備する。
↑左が平時で右が出撃時。
甲板部はオレンジ色のつなぎの上に紅色のベストを着用。この部署の服は完全に男女共通デザインのため、女性にも錨マークがある(ベストで隠れるので普段は見えないが)。
衛生科は男女ともに、男性用艦内服と女性用艦内服と足して割ったようなデザインをしている。色は男性が水色で女性がピンク。ちなみに原田真琴の服だけはなぜかズボンの股の部分が分割されていて太ももが見える仕様になっており、結果ミニスカワンピにニーハイブーツみたいな状態になっている(同僚の笠原真希の場合は分割されていないので普通にズボンと上着という感じ)。一応パンツじゃないから恥ずかしくないはずだが、本人的には恥ずかしいらしい。
関連イラスト
ヤマトクルーという時点で大体艦内服を着用しているので、制服との表記揺れもあってタグとしての使用率はかなり低い。実際上記の解説中で使用されているイラストに艦内服タグが付いているものは1つしかない。以下はタグが使用されている数少ないイラストの一例。
以下は艦内服ネタが含まれているもののタグは使われていない。