これはね、私が死ぬまでの物語
プロフィール
概要
ギリシャ神話の原初の女性、オリュンポスの神々が作った人間。
その正体は六千年前の神代の頃から生き続けてきたエリカ・エインズワース当人であり、彼女曰く「神代の負債」。
正確には彼女自身には名前はなかったが、持たされていた「パンドラの匣」の名前から自身の名前がついたとのこと。
己が使命を果たすまで死なない様、その『死』が箱の中に収められて作られた不死者であり、こちらの世界の神話では開いたとされるピトスを開けられず、時に「化け物」として迫害されながら幾星霜の時を生き続けていた。
結果、その精神は壊れてしまい、同時に「鍵」としての機能も破損してしまっているようである。
1000年前、古い地層を発掘していた鉱夫から連絡を受けた当代のエインズワース家当主・ダリウスが発見。以降『置換』によって存在を長らえてきた彼の元、共に「箱の解放と己が死」を目指してエインズワース家の一員であり続けてきた。
そして代を跨ぐ事に、幾度もなくその名前と表層的な人格を変えていたが、壊れた彼女にとっては、その様な事もさして苦ではなかった模様。
エリカの前の名前は「エミーリア」その前は「イザベラ」「クリスティーナ」「レオナ」「モニカ」「シルヴィエ」「バネッサ」「ビクトリエ」「ユーリア」「ヴラステミラ」そして「パンドラ」。
また、近くにいる人物の庇護欲を喚起する性質(スキル)も持ち合わせていると言われているが、「パンドラ」の製造目的を考えれば当然の機能と思われる。
宝具
この世全ての贈り物(パンドーラー)
彼女がピトスと呼ぶもので、凛は『神代の神々が作った願望器』と仮定していた。
「オリュンポスの神々が作った世界の贋作」とも語られており、ゼウスら神々からは「人類が完全に滅んだら開くように」と言われていた「救世分史再生装置」。
パンドラと箱は必ずセットで語られる存在であるが、「美遊の世界」ではパンドラが箱を開けていないため、ギリシャ神話の本には「パンドラの箱」について何も記載されていなかった。
唯一箱の存在を知るエインズワース家が「パンドラの箱」の情報を遮断しているため、「美遊の世界」の人間では決して真相にたどり着けず、美遊はおろか、世界を救う為に世界中を旅し伝承や神話を父とともに漁ったはずの美遊の兄も終ぞ箱のことを知らなかった。
元からそうだったのか、途中で狂ったのかは不明だが、その内部には聖杯のものとほぼ同等な"黒泥"が満ちている。
当然あらゆる知性体を汚染する効果もあり、クラスカードは一度この『箱』を通して英霊の自我を塗り潰していた。それ故にクラスカードが実体化した際の姿がいわゆる「オルタ」だったのだろう。
パンドラ自身もこの泥をある程度コントロールできるようで、田中の腕が変化した剣を持ったイリヤに対して攻撃をかけていた。
その正体は「世界の可能性そのものが満ちた空間に通じる孔」。
本来ならば人類が滅んだあとで開くことで「人類が滅んでいない可能性」を開放して世界を再生するためのものであった。
しかし解放されない状態で六千年が経過したため、積もり積もった可能性はそれだけで新たな歴史を形成するに至り、逆に「美遊の世界」の人類史は袋小路に差し掛かった結果、「箱の中の世界」と「箱の外の世界」の重さが逆転。
箱が開いたが最後、外側の歴史は新しい歴史に上書きされて消滅することになる。
なお、Fate/Grandorderにて型月オリュンポス神の出自が語られた事で、ますますきな臭い宝具となっている。同じく地球外文明の遺産にして形状の似る願望機であるムーンセル・オートマトンとも似ているが、関係性は不明。
関連人物
『箱』を発見した魔術師。当時のエインズワース家の魔術は特殊な鉱物を置換する三流程度の技術しか持ち合わせておらず、彼女を目撃した際は衝動と高揚と共に憐憫を抱いた。
千年の月日の中でその衝動は変質してしまったようだが。
エインズワース家の嫡男、本編前は彼女を「エミーリア姉さん」と親しげに接している
謎の多き存在。エリカから「それは、この世界の理」「わたしたちを、贋作を断罪する火の矢」と言われた
彼女の正体に気付いたために傍観に徹している、その際望みを叶えるには聖杯が「二つ必要だ」という助言を残す。
余談
作者曰く「非常に難しい役どころ」であり、諸星すみれ氏がエリカを演じたのは、「単なるロリヴォイスではならぬ、これまでのプリヤにないある種の異質さを伴った存在感のある声」して作者が指名したため。
エインズワースが掲げた「死と新生」というフレーズや、「新たな人類史の一歩をダリウスとエリカで作り上げる」という悲願の時点で嫌な予感しかしない。
実際、パンドラの箱の最後に残されていて出て行かなかった物は『未来視』と言う説もあり、「絶望的な未来を見なくて済んだから人間には希望が残された」という解釈も存在する。