「幕間は明けた。さあ、第六次聖杯戦争の再開だ」
概要
CV.小西克幸
魔術師一族であるエインズワース家の当主。
「人類史の存続」を一族の目的に掲げており、滅び行く世界の救済を成そうとしている。
物語や演出など舞台劇の様な言動が目立っており、言動も演技をしている様な描写がある
その正体は千年前から生き続けるエインズワース全ての父
エインズワースの始祖とも言われ既に故人。精神概念と化しており置換魔術で現当主のジュリアンや、先代のザカリーをはじめとした歴代当主達の肉体に取り憑いていた。
「血統による継承」ではなく「完全なる個による永続」で初代より千年も連綿と続いてきた一族であり、歴代の当主は代々、初代当主の「ダリウス・エインズワース」に置換され続けていた。このため、歴代の当主には無気力な人間が多かったとか。
元々は特殊な鉱石を黄金や別の何かに置換するだけの三流魔術師だったのだが、発掘現場で「何か」に出会った事がその後の人生を決定づけた。
置換を繰り返すうちに、千年前に抱いた想いとはまったく別のものに変質してしまっている。
能力
置換魔術に特化した一族であり、自らの魔術工房がある土地の中(=並行世界の冬木市にある直径2kmほどのクレーター)では原則を遥かに越えた置換魔術を行使できる。
「価値ある何か」を一から生み出すことが出来ず、別物から置き換えた贋作を作ることから「贋作屋(カウンターフェイター)」と揶揄されている。もっとも、そう呼んだ者は決して生かしておかなかったとのこと。
またクラスカードも使用するが子ギルでさえ知らない(=全ての宝具の原典が集まる「黄金の都の宝物庫」に原典がない)強力な宝具を使用する。
聖杯戦争のルールマスターなのでカードを作ることも消すことも自在にでき、さらに空間置換を用いて遠距離からの破壊も可能。
- 攻撃の接触面で座標を置換することで素手で聖剣も受け止める(相手は自分の剣で自分の剣を弾いている状態になる)。
- 光を曲げ無数の幻影を見せることや、姿を見せないようにすることができる
- 音を曲げ無数の音源を作ることや、音が聞こえないようにすることができる
- 空間を曲げ自由に移動できる(ジュリアンやアンジェリカが何度も披露しているが、スピードは段違い)
さらにクレーターの上空に現れた『箱(ピトス)』らしき立方体の中に貯まった泥を形状置換で操作する能力もある。しかし、その能力は形状置換に不慣れだったジュリアンとは比較にならないほどでジュリアンを真似た技をセンスがないと一蹴した(事実「セイバーのクラスカード」を『夢幻召喚』したイリヤに一瞬で破られている)
ジュリアンがチート技を使っているのに対してダリウスは常にバグ技を使っていうようなモノ。
聖杯戦争
少なくとも約200年前、人智を越えた奇跡を成す聖杯を求めてダリウスが作った魔術的大儀礼が美遊のいた世界の『聖杯戦争』である。
ダリウスは二つの魔術師の家系と手を結び、それぞれが、
- 『聖杯に成り得る器』
- 『英霊召喚システム』
- 『霊脈を有する土地』
を提供して儀式を作り上げていった。
最も特殊なのは英霊召喚システムで、霊装や自身の肉体を媒介に英霊の持つ力の一端を写し取り、術者自身が英霊となる(→『夢幻召喚』)
英霊化した術者同士で殺し合い勝者が聖杯を得るという仕組みだが、第一次から第四次まで続けて失敗に終わる。特に第四次聖杯戦争では冬木市が巨大な闇に飲まれ壊滅するという最悪の結末に終わった。
第四次聖杯戦争の結果、ダリウスと協力関係にあった二つの家も壊滅、ダリウスが召喚システムと土地を専有することになった。
そして5年後、朔月美遊という聖杯の器を手に入れた現当主のジュリアンは単独で第五次聖杯戦争を起こすが、どの英霊とも繋がっていない屑カードを利用して『偽物のアーチャーのクラスカード』を作った美遊の兄が聖杯戦争に介入、見事に勝利して聖杯に妹の幸せを願って終結する。
過去、五度に及んだ聖杯戦争は全てダリウスの思惑通りにいかなかったが、ダリウスは再び美遊を手に入れることに成功し、イリヤの目の前に突然現れて第六次聖杯戦争の再開を宣言する。
ダリウスの目的
1000年前にダリウスが最初に抱いた願いが本当に「世界の救済」だったと仮定した場合、いつ降臨するかわからない「聖杯」を待つよりも、願いを叶える宝具を持つ英霊のクラスカードを作るだろうと凛は推測している。
その願いを叶える宝具として候補に挙げられたのが『パンドラの箱』である。
この推測が正しいとなるとダリウスは1000年前から世界の滅亡を確信していたことになる。
ダリウスは『パンドラ』のカードをエリカに使わせて『パンドラの箱(ピトス)』を開け、全ての災厄と絶望が出尽くしたのち箱に残るとされている『希望(エルピス)』を聖杯を越える「神代の神々が作った願望器」として手に入れようとしている。……と凛たちは推測した。
しかし美遊と美遊の兄がギリシャ神話で最も有名な寓話であるはずの『パンドラの箱』について、全く知らないという事実に違和感を覚えた凛が衛宮邸の書庫で調べ直した結果、美遊たちのいる世界がパンドラが『箱(ピトス)』を開けなかった世界(=イリヤたちのいた世界とは神代で分岐した異世界)という結論が出る。
情報が少ないため、導き出せた答えはそこまでで
- パンドラが箱を開けなかったのはなぜか?
- 今、箱を開けたらどうなるのか?
- それを止めるべきなのか、それとも箱を開けるのが正解なのか?
…と、肝心なところは未解明のままとなった。
さらに大魔術レベルの置換魔術で人格や空間、物質などあらゆる物を自在に操ることができるほどの力をもつダリウスが、聖杯やパンドラの箱を使ってでも叶えたい願いが「世界の救済」だけというのは、魔術の大原則である『等価交換』に反しているという矛盾もある。
1000年の月日を経て当初の目的から大きく変質している可能性もあり、これ以上はどこまで行っても推論にしかならないため、ダリウスの目的については全くわからなかった。
生前(1000年前)のダリウス
当時は錬金術師の端くれで物質を別の物質へ変換する研究をしており、『万物は流転する』という基本理念を持っていた
ある時、古い鉱山から生きた人間が発掘されたと報告を受けたダリウスは彼女を介護するも、起き上がった彼女は燃えた薪を手にし「人間(あなたたち)がわたしを殺せるようになったら また起こして」と焼身自殺を図る。
それを目にしたダリウスは彼女の慟哭を胸に暖炉に投げ捨てられた『箱(ピトス)』を拾い上げ、この箱は必ず開けてみせると誓いを述べ彼女はその言葉に涙を流し、ダリウスは誰に祈ればいいのだろうと呟く。
『この哀れな少女にどうか安らかな眠りを』それが千年を生きることになるダリウス・エインズワースの最初の願いだった。
時は流れ、年老いたダリウスは“妖精の声”が聴こえたと呟きながら、どうすれば箱を開けることが出来るのかと苦悩する日々を送っていた。
その解析に人の寿命では短すぎて夢半ばに命尽きようしていたが、常に寄り添っていた彼女が「あなたとの思い出があればきっと・・・暗闇でも耐えられる」と述べ彼を看取った。だがダリウスは必ず箱を開けるという誓いの妄執に縋り彼女を抱き寄せながら体が泥のように崩れ、暗闇の中から全盛期の肉体で現れる。ダリウスは何年も自身の情報を『箱(ピトス)』に保存し続けて理屈は真逆だが彼女と同じ不死性を獲得してしまう。
しかし、概念置換は必ず何かを取りこぼす欠点を抱えていたため何世代も研究を進める内に想いも移ろい、箱を開ける事からその中の『世界』を手にする事に願いが歪んでいった。
その様子を観測していたイリヤたちは初代ダリウスの映像に戻される。
ダリウスの魔術特性が妄想(仮定)から観測を経て事象を収束し"あり得ぬもの接続する"というものであり、本来見えない筈の彼女たちを「星の触覚」と呼び、彼女たちへ小箱を渡した。
関連タグ
ワラキアの夜・ズェピア・エルトナム・アトラシア…演劇に例えた喋り方、世界救済を求める繋がり。
※ここから先は現行のプリズマ☆イリヤにおける重大なネタバレが含まれます |
---|
イリヤ達との戦闘の結果、6枚のカードを破壊し残る「アーチャーのカード」を持つクロに狙いを定める。空間置換でカードに触れてそのまま砕くが同時にクロが美遊の兄から託されていた魔術回路そのものを不可逆に破壊する『起源弾』を撃ち込まれ相討ちになる。
ダリウスを構成する魔術回路そのものが破壊され、概念置換は崩壊。ダリウスの概念はジュリアンの身体から引き剥がされ消滅したように見えたが・・・
人類史は樹に喩えらレる
伸びすギた枝は刈り取らレ 幹は彼方へと伸び続けル
樹の先端は遥か先の未来デ きっと極点に繋がっていルのだろウ
だが極点はもうひとツある
それは世界の始まリ どこかで誰かが人類史の種を蒔いタ時間があルはずだ
その誰かを人は……『創造種』などと呼ぶのだろウ
───あア… つまりだ
私はソレに なルんだよ
ダリウスの真の目的とは人類史の始まり・極点への回帰、その『創造主』に成ることであった。
ピトスによって穿たれた穴からは止め処なく泥が溢れ、未知の神話を基盤とした首のない巨人が世界を侵食し始め、起源弾で消えた筈のダリウスは泥の海から焔を彷彿とさせる終焉の巨人の姿となり現れ美遊を飲み込んだ。