もしかして → ドール王国…プリキュアシリーズの映画作品の舞台の1つ。
概要
弐瓶勉による漫画作品。
シリウスKC①~⑦巻発売中。
2016年5月、『ヤングマガジン』23号に読み切りとして同名の作品が掲載された。
これは『少年シリウス』2017年4月号からの連載版に対する伏線・前日譚であるとされるが、シリウスKCには未収録である。
概要
極寒の人工天体・アポシムズを舞台に展開するSFダークファンタジー。
作者の初期作であるBLAME!と同様に地形に影響を与えるほどに機械が埋め尽くした世界観が目に付くが、月日と共に作風がかなり変化している。細部まで緻密に描くスタイルはそのまま、話の大筋は極めて簡素に仕上げており暴虐の限りを尽くす悪の帝国を主人公がぶっつぶすという大変わかりやすいもの。また特撮ヒーローを思わせる外観や異能バトルめいた固有能力(機能)、勧善懲悪的だが人間味溢れる敵勢力やかわいい絵柄、ハコガキを多用した解説やスローによる煽り演出など、初心者でも楽しめてハードSFながらとっつきやすい要素も散見されるようになった。
反面、初心に帰ってか展開自体はハード。登場人物の心理描写は最低限に留め、かつ死ぬときはかなりアッサリ死ぬため、少なくない犠牲を払いながらも大団円を迎えた前作シドニアの騎士から入る場合はそれなりの覚悟が必要かもしれない。
登場人物
- エスロー――この物語の主人公。リベドア帝国に故郷『白菱の梁』を滅ぼされた青年で、打倒帝国を目的として行動する。そこそこ食欲旺盛でラッキースケベ体質だが会話は必要最低限程度で戦闘時は殆ど何も喋らない殺戮マシーンと化す。タイターニアからコードを継承し射出系の鎧化能力を得ており、物語が進むにつれて単独で帝国を滅ぼせる男と各所から恐れられるようになる。
- タイターニア――この物語の鍵を握る美しい自動人形。ただし平時はハリガネムシみたいな形状をとる。帝国との戦いにエスローを巻き込んでしまったことを負い目に感じており、以降エスローの身の回りの世話から戦闘までなんでもフォローする。機械樹の脳ハッキングから顔面張り付き食いなどの駆除、調理までしてくれて超便利機械嫁。便利すぎてもはやドラえもん。
- ケーシャ――この物語のヒロイン(?)で、打倒帝国のためにエスローたちと行動を共にする。電撃系のコードを継承し鎧化時には伸縮自在のロッドを使用する。主人公がしゃべらない分ヒロインがよくしゃべるのはもはや恒例。タイターニアの出自である地下世界を信仰する『イルフ・ニク』のお姫様で、現在は兄が国を治めているが…。それにしてもこの妹、かわいすぎる。
用語
(ネタバレにならない程度で随時加筆修正希望)
- アポシムズ――舞台となる人工天体。地下は比較的古い技術が生き残っており、オーパーツ的な品々は時折信仰の対象となる。相変わらずスケールがバカでかく、あっちこっちに謎だらけ。
- 人形病――肉体が徐々に人形=アンドロイド(?)化していく奇病。遅行性で最後は自我を失うと言われている。また、最終段階に到達した者たちがゾンビの如く群がって放浪する。
- リベドア帝国――作中開始段階で猛威を振るう敵勢力。地下世界の旧技術を積極的に解析、活用する。今作は幹部を中心に敵勢力側からの描写も豊富なため、各所で様々な内情が見て取れる。劇中一の国力と技術力を有し、国外勢力へは常に高圧的な態度をとるため反抗する者も多い。
- コード、鎧化、適合者――作中における特殊能力及び変身形態とその能力者。個性が存在し、異能バトルめいた戦闘を展開することもある。適合する確率は恐ろしく低く、帝国内の適合者は特権階級クラスの待遇が許されるが、同時に兵器として使い捨てられるような描写もある。
- 超構造体、エナ、恒差廟、衛人、ヘイグス粒子――前作シドニア以上に過去作からの流用技術が散見し、さながらスーパーニヘイ大戦。何がどこまでそのままなのか、全くわからないため逆に展開が読めなくなっており、往年の読者をさらに翻弄させる。
余談
相変わらず劇中用語の解説は必要最低限なのだが、副題である『APOSIMZ』をはじめ、複数の語句およびキャラクターデザイン等が、作者の過去作品から流用されている。用語の半分はBLAME!、アバラ、バイオメガ、シドニアの騎士といった過去作品からの流用や発展であり、ニヘイ経験者にはある程度考察のネタとして楽しまれている。ただしシドニアで巨大ロボットを指す言葉だった『衛人』が今作では巨人サイズ程度の人型兵器を呼称するものだったりするので、見知った語彙が登場してもそのまま鵜呑みにはできないらしい。
あと往年の漫画読みならば弐瓶勉と聞けば大抵『画面がめちゃくちゃ黒い』という印象をもたれるだろうが、今作は打って変わって『画面がめちゃくちゃ白い』