概要
時代も場所も明らかではない超未来。人類は、自動制御によって無秩序に構築され続ける広大で無機質な構造体『都市』と、都市の生み出した兵器『セーフガード』に追われ、不法居住者として狩られる日々を送っていた。
そんな荒廃した『都市』において、超巨大ネットワーク『ネットスフィア』との接続を回復し、荒廃した世界を解決するカギとなる『ネット端末遺伝子』を求める探究者・霧亥の活躍を描く。
人類の意志を超えて増殖し続ける壮大な都市と、それに呑み込まれて滅びゆく人類という退廃的で突飛な世界を、極限まで記号化されたキャラと徹底的に説明を省いたセリフ回し(というか文字情報による説明がほぼ無い)が特徴であり、作者の後期の作品と比べても難解で複雑な世界観を持つ。
弐瓶勉氏曰く「この作品の主役は建物かもしれない」とのことで、視界に入りきらないほど巨大な建築物が所狭しと建ち並ぶ様は異様なほどに壮大である。主人公である霧亥もこの世界においてはそこまで特別な存在ではなく、彼の旅も「大きな世界の片隅で起こった小さなエピソードであり、あの世界では日常的に起こっている事件の一つ」とされている。
ストーリー
かつて人類は皆「ネット端末遺伝子」を持っていた。その遺伝子によって人は都市と繋がり、高度に発達したコンピューター・ネットワークシステムの恩恵を受けていた。現実世界以上に広がる一大ネットワーク社会である「ネットスフィア」と、それを管理維持する「統治局」によって、人類は理想の社会を作り上げた。
しかし、ある日をさかいに人類はカルト教団の末裔である「珪素生物」によってネット端末遺伝子を汚染され、ネットスフィアへの接続を断たれてしまった。その結果、ネットスフィアの防衛機構である「セーフガード」は人類を都市に違法滞在する不法居住者とみなし攻撃するようになった。都市を建設する自動建設機械である「建設者」も人の制御を離れ、無軌道な建築を繰り返し、都市は人を無視して勝手に増殖を続けていった。人は次第に都市から追いやられ、細々と生活することを余儀なくされた。人類の黄昏の時代である。
主人公:霧亥は都市を人の手に取り戻すべく、汚染されていないネット端末遺伝子を持つ人間を探し、当て所ない旅を続けている…。
登場人物
この物語の主人公。ネット端末遺伝子を持つ人間を探す旅を続けているサイボーグ。極端に無口だが根は優しい。メインウェポンである重力子放射線射出装置は彼の代名詞でもある。
高度なハッキング技術と広範な科学知識を持つ女性科学者。霧亥と同じサイボーグであり、彼に助けられてからは良き相棒として旅を共にしている。
戦闘用アンドロイド。人間に擬態出来る高度な能力を持った「上位セーフガード」であり、度々霧亥と敵対している。
珪素生物の女性。珪素生物たちのリーダー格であるダフィネ・ルの側近のような存在である。
全身をサイボーグ化した男性の珪素生物。桁違いの戦闘能力を持っている。
珪素生物と戦っている男性型のセーフガード。他のセーフガードと違って人間に近しい容貌をしており、人格も大変に人間くさい。
ドモチェフスキーと共に戦っているセーフガード。実体を既に失っている。
東亜重工内部に住む人間を皆殺しにしようと企む女性の珪素生物。
メイヴとともにいる男性の珪素生物。メイヴの夫のような存在である。
東亜重工を管理するAI:メンサーブを守護する戦士。人間の成人だが、長きにわたる戦いのせいで知性が退化している。
物語終盤に霧亥とともに旅をすることになった人格の緊急保存パック。
他、多数
アニメ作品
BLAME!Ver.0.11
劇場アニメ化に先駆け、同一スタッフでの制作でWeb配信として公開されたが、劇場アニメ化は頓挫してしまった。2003年にWeb配信された物がDVDでリリースされた。アニメーション制作はグループ・タック
プロローグ・オブ・BLAME!
3DCGショートムービーとしてDVDで発売され、長編映画制作の予定されていた。アニメーション制作はProduction I.G
BLAME!端末遺構都市
弐瓶勉の別作シドニアの騎士のテレビアニメ第2期にて、劇中劇として約1分の3DCGショートアニメが放送された。作中の「シドニア公共放送」で放送されたテレビシリーズのスポット予告という設定。アニメーション制作はポリゴン・ピクチュアズ。
劇場版BLAME!
2017年5月20日に2週間限定の劇場公開と同時に、日本初のNetflixオリジナル映画として全世界へ配信された。スタッフはおおむね『端末遺構都市』と同様であり、制作もポリゴン・ピクチュアズである。
ストーリーは本作オリジナルのものに再構築されているが、登場人物は全員原作に登場した者で占められている。弐瓶勉が監修をつとめており、登場人物達やガジェットのデザインも氏によってリデザインされている。
BLAME!ファンからは高い評価を得ており、公開から数年が経過した後も劇場で限定公開されるなど、根強い人気を獲得した。
登場メカニック・用語
珪素生物 セーフガード 重力子放射線射出装置 シャキサク 東亜重工
関連イラスト
関連企画
「BLAME!描けるかな」
その一例。