霧亥
きりい
短髪黒髪で細身。目つきが鋭く、白目がち。世界の秩序を取り戻す鍵である「ネット端末遺伝子」を求めて、重力子放射線射出装置を携え、都市構造体の探索を永い間続けている。
成人男性の容姿を持つが、その体には高度なサイボーグ化がなされている。
単行本2巻以降は、道中で助けた女性科学者・シボが仲間となる。
TVアニメ「シドニアの騎士 第九惑星戦役」内の劇中劇「BLAME! 端末遺構都市」で登場した際には櫻井孝宏氏がCVを担当し、劇場版BLAME!でも同氏がCVを担当している。
後にロードオブヴァーミリオンⅣのコラボカードとして収録される事になり、その際も同氏がCVを担当予定。
無口。とにかく無口。弐瓶勉作品が文字ではなくビジュアルで語る作風であることを差し引いても無口であり、一言も喋らない回も多い。
しかもアンドロイド系キャラのテンプレとは真逆に、物語が進むにつれセリフも表情も減っている。ちなみに笑顔はたった4回(しかも敵への挑発や凶暴性の発露)しか浮かべたことがない。
感情がないわけではなく、ピンチの際には焦りを見せたり、予想外の出来事に驚愕の表情を浮かべるなど、人間らしい側面も持ち合わせている。激しい怒りを露わにしてそこら中に重力子放射線射出装置で八つ当りしたこともある。
道義心や義務感もあるらしく、非道な真似をした者に容赦しなかったり、自分を助けてくれた人々やシボの危機に際し身を張って戦ったりする事もある。
また最終巻終盤では涙らしきものを見せていた。 ただ、泣いていると断言できるほど明確な描写はされておらず、読者によって意見が分かれるところである。
人類の敵であり、探索の障害であるセーフガードや珪素生物とは敵対関係にあり、特に珪素生物に対しては培養中の胎児であっても容赦無く生産施設ごと破壊するなど激しい敵意を持っている。
その憎みっぷりたるや、相手の反応を待たずに射出装置を向けたり殴ったり、胎児生産施設を破壊したのは自分だとあえて告げる事で挑発したり、対話可能で敵意が無くひたすら空間の観測を続けるだけの無害な個体ですら躊躇いなく頭を輪切りにするほどで、それを同行者に非難された際も「あれは珪素生物だ」の一言で片付けている。
もはや敵意や憎しみというより、当然のごとく本能的に攻撃してるようにさえ見える。
そのため、一部の読者間では「珪素生物絶対殺すマン」として名を馳せていたりもする。
武器は拳銃サイズの「重力子放射線射出装置」。
凄まじい破壊力を持ち、敵を一体倒すたびにその背後の構造物が崩壊するというはた迷惑な代物。超構造体に穴を開けられる唯一のガジェットであり、「第一種臨界不測兵器」とも称される。
塊都の主任科学者だったシボですらこの技術を再現するのは不可能であり、彼女は超構造体に傷一つ付けられず、階層から出る事もできずに歯痒い思いをしていたという。
さらにこの武器には「禁圧解除」というモードが存在し、この形態では通常状態での射出を喰らってもビクともしなかった巨大な敵が一発で消し飛ぶような威力を発揮するが、撃った際に自身の腕が千切れかけるほど反動が大きくなるなど、何かと規格外の代物である。
霧亥自身の身体能力も非常に高く、遠回りが面倒だからと高所から飛び降りたり、埋まった武器を取り出すために大岩を引き裂いたり、釘パンチみたいな連続打撃を繰り出したりする。
しかし、霧亥の強さはその異常なまでのタフネス、生命力にある。
基本的に敵の攻撃には無頓着で、壁にめり込む勢いで頭を叩きつけられようが、腕を切り飛ばされようが、体中にビームを喰らおうが、胸を刺し貫かれようが、背後の壁を貫通するほどの衝撃波を喰らおうが、平然と起き上がり反撃する。 千切れ飛んだはずの腕が数コマ後にはくっ付いている事もあるなど、もはやギャグ漫画のボケキャラレベルの不死身っぷりである。
周囲一帯を溶岩流に変えるような熱量攻撃を受けた際にはさすがにそうはいかなかったが、身体質量の半分近くを喪失したにもかかわらず長い時間をかけて再生し、活動を再開している。
その他の面でも様々な便利機能を有しており、腰元のソケットによる相手の脳との直接的な情報のやり取りができるなど、サイバーパンクらしい特性も持つ。物語中盤以降は網膜走査による相手の情報の取得、3000㎞先を見通す視力、透視、通信回線の傍受などが可能となった。
霧亥が極端に喋らないため、正体不明と言っていいほどに情報がない。
はっきりしているのは珪素生物ではないことぐらいである。
そもそも彼自身の記憶が曖昧であり、自分に関する情報をちゃんと把握していないと思われる。
ネット端末遺伝子を追い求めていたり、セーフガードにデータが登録されていたことからネットスフィアに関わる者であることは間違いないのだが、それ以上は憶測の域を出ない。
一度シボが統治局に霧亥に関して質問したことがあったが、その答えは「セーフガード以前のシステム」が遣わした「密使」というはっきりしないものであった。
前述した通りセーフガードとは明確に敵対しており、行く先々で交戦している。ただ知性のあるセーフガード(サナカンやイコなど)は霧亥を「異常をきたしたセーフガードユニット」として認識しているようだ。またセーフガード関連施設のセキュリティをパスしているシーンもある。
統治局を除いて唯一霧亥の正体を知っていると思われるのは、彼へ指示を出すために一度だけ登場した謎のキャラ「犬女」のみである。
また、作者の画集「BLAME! and so on」には霧亥に関する様々な情報が掲載されている。
弐瓶勉のデビュー作である読み切り漫画「BLAME」の主人公の名前も霧亥である。画風こそ異なるものの、雰囲気や人物像は「BLAME!」の霧亥と概ね一緒。
未来都市を舞台に、猟奇殺人事件を追う刑事として活躍している。
明言はされていないが、コレはBLAME!世界の過去録であり、人類がネット端末遺伝子を汚染される以前の、都市が人と接続していた時代の話である。
コレを正史とするなら、霧亥は人類の最盛期、つまり千年以上前から生き延びていることになる。
「BLAME!」本編より遙か後の世界を、珪素生物の生き残りである女性・プセルの視点から描いた短編にも登場。
珪素生物たちの間では「伝説の厄災」として語り継がれる存在となっていた霧亥だったが……。
弐瓶勉によるセルフパロディ作品「ブラム学園!」では、学生生活をエンジョイしている姿が描かれている。セリフはないが、シボのお色気シーンに頬を赤らめたり鼻血を出して凝視したり、それに対するシボの過激なツッコミによりギャグ顔で吹っ飛ばされるなど表情豊かである。基本的に霧亥がエロハプニングに巻き込まれ、鉄拳制裁を喰らうのがブラム学園のオチとなっている。
本編とほぼ変わらない姿とキャラクターで登場。ネット端末遺伝子を持つ人間を探し求めて電基漁師の村がある階層まで上ってきたところで、セーフガードの駆除系に襲われていた子供達を救った。
原作以上の時間を過ごしてきたらしく、本作の霧亥は本編を超える地下六千階層を踏破している。その過程で得たのか、首元にはセーフガードの探知を無効化するオーパーツを装備している。
原作版同様、無口で無愛想だが根は優しく人情があり、セーフガードの暴虐から村を守るべく壮絶な戦いに身を投じることとなった。
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