概要
直列8気筒・排気量17Lの気動車・ディーゼル機関車用エンジンである。1950年頃から採用され、1977年頃の新造車にも採用された。
このエンジンは開発の途中で太平洋戦争が勃発、開発中断の憂き目に遭っており、終戦後実用に供するディーゼルエンジンが早急に求められたため残存していた資料と試作品を基に開発を再開し実用化にこぎつけた。そのため実用化当時の技術水準からみても設計が旧く、非力で重いという残念なエンジンとなってしまった。
1980年代後半から新潟鐵工所の強馬力エンジンであるDMF13系エンジンが国鉄で採用されると、コマツやカミンズも参入し、徐々に本エンジンの淘汰が進んだ。特にJR東日本ではジョイフルトレインのサロンエクスプレスアルカディア(現在のKenji)の火災事故が起きて以降、在来車のエンジンの交換が進み、1992年までにすべて淘汰された。このアルカディアの事故を聞いた当時のJR東日本の会長の山下勇氏は原因と思わしきDMH17系エンジンの設計図を見て「これは戦前のエンジンではないか。まだこんなエンジンを使っていたのか!?」と驚愕した。その結果エンジン交換計画が発動し、短期間ですべて置き換えたという。
現在はいすみ鉄道と小湊鉄道、ひたちなか海浜鉄道にのみ現役車両が存在する。
バリエーション
発電用のものは省略する。
形式名 | 出力(ps) | 備考 |
---|---|---|
DMH17 | 150 | これのみ渦流室式。他は予燃焼室式 |
DMH17A | 160 | |
DMH17B | 170 | |
DMH17B1 | 180 | |
DMH17BX | 180 | |
DMH17S | 250 | ターボチャージャーを搭載 |
DMH17SB | 300 | ターボチャージャーを搭載 |
DMH17C | 180 | |
DMH17H | 180 | 横置きエンジン |
なお、床下スペースの関係で横置きのターボは製造されなかった。
搭載車種
太字は現役。斜体は定期運用なし。エンジン換装車のみとなった場合、太字及び斜体にはしない。
国鉄・JR
- キハ07
- キハ08・09
- キハ10系
- キハ20系
- キハ35系
- キハ45系(2代)
- キハ58系※JR東日本に保留車1両のみが残存するが、エンジン交換済み。
- キハ71系※キハ58からの改造。エンジン交換済み。
- キハ80系
私鉄
エンジン交換済みの車両を含めた現存車のみを掲載する。