概要
『仮面ライダークウガ』から『仮面ライダーOOO』までの平成ライダー作品小説化企画の一環として発売された、『仮面ライダーW』のスピンオフ作品。講談社キャラクター文庫より出版された。
著者は本編の脚本も務めた三条陸。
原作ドラマでは放映されなかった「Z」をタイトルに冠する作品(なおこの「Z」を以て『W』サブタイトルはアルファベット26文字をすべて網羅した)。
時系列的にはTV本編の「ビースト」事件と「イエスタデイ」事件の間に起こった事件を描いている。
あらすじ
一時、仮面ライダーWとしてのコンビ解消の危機まで迎えたビースト&ゾーン事件も乗り越え、左翔太郎とフィリップはいつものように街を泣かせる毒・ガイアメモリによるドーパント犯罪を止めるために忙しく働く日々を送っていた。
しかし翔太郎はその日の事件解決に気を良くしてハメを外し過ぎ、バイラス事件以来のひどい風邪でダウンしてしまう。
翌朝、ぐでんぐでんに弱った翔太郎に呆れ果てるフィリップと亜樹子。
そんな折、鳴海探偵事務所に、高名な探偵・鳴海荘吉およびその後継者・左翔太郎の評判を聞いてきたという大財閥の令嬢、禅空寺香澄が依頼に現れた。
しかしその後継者は今、ゾンビもかくやな顔色でベッドで情けなくうめいている。どうする―-?
ああ、そうだ。 ぼくが左翔太郎だ。
特徴
上記あらすじなどの理由もあり、作中のモノローグなど基本的に翔太郎目線で進んでいたTVシリーズ本編とは違い、全編がフィリップの一人称視点で語られており、事件を追っていく中のフィリップの思考や感情、知識、他者への思いなどが興味深く語られている。
原作で描かれなかった部分を描写する番外編ということもあり、最終回までに詳しく語られることの無かった多くの伏線・謎を回収している。
具体的には
- ロストドライバーの出自
- マスカレイド・ドーパントの扱い
- ガイアメモリの製造工場の立地条件
etcetc……
また仮面ライダーサイクロンや本作独自のドーパントも登場する。