棲み分け(住み分け)とは
- 生活様式のほぼ等しい異種の生物群が、生活空間や生活時間・時期を分け、競争を回避しながら共存する現象。ヤマメが下流に、イワナが上流にすむ例など。
- 銀行と消費者金融、トラック輸送と鉄道輸送と海上輸送のように競合関係にある業界が、それぞれの特色を生かすことで共存している状態。類似したものがうまく共存すること。
- 同人用語。相いれない嗜好の持ち主同士が、互いを不快にさせないために、自分たちの活動が相手の目に入らないように努める事。本頁で解説。
同人用語としての「棲み分け」
主にインターネット上で用いられる同人用語で、ゾーニングのこと。
嗜好・解釈・考え方の違う者同士が、お互いの地雷に当たる表現などを踏んで不快な思いをしないよう、活動の場を明確に分けたり隔てたりすることである。
どのようなイラストに棲み分けが要求されるかは様々であり、場所によっても異なる。
何故棲み分けが必要なのか?
非オタクの人々は「マイナス検索」どころかpixivの存在自体を知らず、googleなどでの検索の結果pixivに投稿されたイラストを直接見てしまうようなパターンも多い。そのため、こうした一般のファンの目に止まらないよう、棲み分けを行うことが望まれる。また、好き嫌いの別れるネタについても、投稿者側が炎上を避けるために自主的に棲み分けを行う場合がある。
BLでの棲み分け
女性向け界隈ではBLを巡って荒れやすいため、自主的に棲み分けを行う腐女子も多い。
たとえば刀剣乱舞のBL作品の場合、「刀剣乱腐」タグを付けて「刀剣乱舞」タグは付けない等の一定のコミュニティルールはどこのジャンルにも存在する。しかし全ての人がこうしたルールを遵守しているわけではない。
また、版権キャラとオリキャラを混ぜるような創作物、クロスオーバー作品にも棲み分けタグが要求されることは多い。
GLでの棲み分け
一方で、百合などの男性向け界隈では棲み分けの慣習はあまり根付いておらず、百合が地雷の人のために配慮するという考え方もほとんど無いのが現状。
百合というタグすら付かないこともあり、検索避けすらできない。明らかに百合カップリングを思わせる記事でも概要欄などには「〇〇と××のコンビタグ」とだけ書かれていることが多い。
そのため、元々寛容な男性向けでも、近年は百合カプを押し付ける人と百合に否定的な人との間で猛烈に荒れることが増えている。
「百合」という言葉自体の解釈や定義がBLのようにきっちり定まっているわけでもないのも原因の1つである。
そのほか様々な特殊性癖など挙げ出したらキリがなく、完全に棲み分ける方法は存在しないため、見る側にも一定のスルースキルは求められる。
性的な作品に対する考え方
このような男女の考え方の違いは、性的なものに対する寛容さの度合いや、他人への共感能力や感情の予測に男女差があることが大きい。男性は性的なものに対して大っぴらであまり隠そうともしない一方、女性は性的なものは恥ずかしいものとして隠しがちになる傾向がある(ひいては二次創作すら特殊嗜好とみなす者さえいる)。
また「これを描いたら、見せたら不快になるのでは、公式に不快な思いをさせるのでは?」という気持ちが男性は起きにくい一方で、女性は良くも悪くもそういった気持ちになりやすいので、不快な思いをさせないよう棲み分けるためにやたらとマナーや暗黙の了解が増えがちになる。
結果的に異性の目から見た男性向け界隈は野放図、女性向け界隈は雁字搦めに見られてしまいがちである
考え方も一枚岩ではなく、例えばpixivでもSNSでも、「検索避け」をしたい人と「マイナス検索」をしたい人の利害が衝突することもある。(両者とも自分の望みを「棲み分け」と呼ぶからややこしい)
pixivのシステム
閲覧制限を棲み分けと定義した場合、R-18・R-18Gの設定がある。設定された作品は、18歳未満、またはR-18・R-18G非表示設定をしているユーザーから見えない。
pixivのシステムに組み込まれている強力な手法。
性的あるいは暴力的・刺激的な要素が強い"属性"では棲み分け手段として有効になる。もっとも、これは棲み分けというよりも利用規約に基づくことである。
作品のサムネイルを隠すことを棲み分けと定義した場合、pixiv内ではサムネイルフィルターを使える場合もある。
タグによる棲み分けは「棲み分けタグ」を参照。