概要
その歴史は古く、昭和時代にチューニング文化の勃興と共に、道幅が広く直線的な環状線を改造車で暴走する集団が出現したのが起源。
当時はフェアレディZやサバンナRX-7やスカイラインのような2ドアのスポーツカーが主流だった。
方向性としては、オーバーフェンダーにワイドタイヤで武装、エンジン周りは所謂「ソレタコデュアル」の古典的な手法が好まれた。
1980年代になると、モータースポーツの小排気量クラスを席巻していたシビックやカローラレビン・スプリンタートレノ・カローラFXのような1600ccクラスのスポーツモデルが台頭。
特にシビックは価格の安さと性能のバランスから好まれ、その後長らく主流となるほどの定番車種となった。
方向性も、シャコタンに直管マフラーやロールバーを組んだワンメイクレース風のN1仕様へと変わっていった。
「族」と言われる通り、古典的な暴走族のようにチームを組むのが基本であり、本質はそう変わらない。
もちろんチームによって毛色が異なり、反りの合わないチーム同士の抗争も日常茶飯事であった。
更に、破天荒なことに地方戦用のレースカーやフォーミュラカーで環状線を暴走する者もおり、まさにやりたい放題であった。
バブル景気全盛の昭和末期~平成初期頃に全盛期を迎え、車やモータースポーツに詳しくない若者も、ブームに乗る感覚で環状族をやっていた。
同時期にシビックがマイナーチェンジでVTECエンジンを搭載し戦闘力を上げたことも、環状族の先鋭化に一役買った。
同じような現象は、同時期にブーム全盛期を迎えていたバイクでも起こっている(レーサーレプリカを参照)。
しかし、バブル崩壊で世相が変わったこと、危険運転や交通事故の多発で警察が厳しい取り締まりを敷いたことから、以降は衰退の一途を辿った。
また、シビックの製造元であるホンダや、そのレース用部品を製造していた無限が警察からマークされる事態にもなった。
特にホンダは、これが原因で走り屋系のレースゲームに車両の使用許可を出さなくなったとされる。
現在
令和突入時点でもごく少数ながら環状族の残党が現役である。
しかしその方向性は大きく変わり、現在では最新の流行を取り入れたカスタムを施したり、それをショーに出展するなど、ファッション色が強くなっている。
活動人口やチームが減ったことから抗争もなくなり、一部チームはグッズを一般販売することをビジネスとしているが、同時に活動実態は暴走族から同好会的なものへと変化している。
海外(特に北米)のカスタムカー界隈でも「Kanjozoku」もしくは「Kanjo」で通じることがあり、JDMやUSDMの概念の一つとなっている。
関連項目
なにわ友あれ:環状族をテーマにした漫画。作者も元環状族である。