概要
インド・ヨーロッパ語族の語派(サブグループ)の一つ。
その名の通りインド北部やイランをはじめ、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、タジキスタンなど、南アジアから中央アジア、中東に至るエリアで用いられている。
また、大英帝国がインド系住民を多数労働力として植民地の各所に移住させた関係で、アフリカやオセアニアにおいてもこのグループに属する言語を話す人が分布している他、古代より周辺に一定の影響力を有していたペルシア文化や、ヒンドゥー教・仏教といったインド系宗教などの影響から、特にペルシア語とサンスクリット語を由来とする語彙も世界中の言語の中に散見される。
下位分類
パキスタンとアフガニスタンにまたがるヌーリスターン地方の言葉を例外として、基本的には東のインド語群と西のイラン語群に二分される。
インド語群
インド北部とその周辺諸国で話されている言語のグループ。
このグループに属する言語としては、古典語であるサンスクリット語をはじめ、公用語レベルで用いられるものとしてはヒンディー語、ウルドゥー語、ベンガル語、シンハラ語、ディベヒ語などが挙げられる。また、ジプシーの名で知られるヨーロッパの移動型民族ロマ族の話す言葉もこのグループに属する。
イラン語群
イランとその周辺諸国で話されている言語のグループ。
このグループに属する言語としては、ペルシア語(ダリー語・タジク語含む)とパシュトー語の2つを筆頭に、クルド語、オセット語などが挙げられる。
表記体系
文字は主にアラビア文字を使う言語とデーヴァナーガリーなどのインド系文字を用いる言語に分けられるが、中にはロマニ語のようなローマ字を用いる言語や、タジク語・オセット語のようなキリル文字を用いる言語も存在する。中にはパンジャーブ語やクルド語のように地域や宗教によって複数の文字体系を使い分ける言語もある。