JA・HOU2
じゃほうつー
概要
じーさんの家のドアに突き刺さっていた鬼の角が生えたファミコンのようなゲーム機に入っていたゲーム。ジャンルはRPGと思われる。
物語の冒頭で絶対にプレイしてはならない呪いのゲームと語られており、このゲームをプレイした者はゲームの世界に閉じ込められてしまう。
前編
拾ったじーさんが孫と一緒に早速遊ぼうとした途端、二人は消滅してしまい、気がつくとゲームの世界に閉じ込められていたうえに、じーさんは魔法使い、孫は村人のような服装になっていた。
その場に落ちていたメッセージウィンドウによると、この世界を脱出する方法は『このゲームをクリアするコトです』と知り、じーさんは「ゲーム王とよばれたこのワシが…、サクっとクリアして、ついでにゲーム実況で大もうけじゃーっ! 」と意気揚々とゲームプレイを開始。
「攻略本でも買いに行くか」と言い出すじーさんの前に早速出現したモンスター(『絶体絶命』に登場した天使)を倒すために、じーさんは魔法を発動したが、
出てきたのは「まほう」ではなく全裸の「あほう」だった♨️
なんと、じーさんの職業は魔法使いでは無く、
「あほう」を召喚する「あほう使い」
だったうえに、「あほう」はモンスターと戦うどころかいきなりウンコをしだすなど、文字通りのアホで役に立たない始末。
一方の孫は戦士でも僧侶どころか村人ですら無い、
ただの「ツッコミ」♨️
このため、じーさんと孫はモンスターに一方的にボコボコにやられ全滅してしまった。
流石に「あほう使い」と「ツッコミ」のパーティでは命がいくつあってもたりないので、ゲーム内の町「ドコカノ町」で仲間を増やすことに。ついでに情報収集しようとしたところ何故か村人役の最強さんと出会い、「オマエがラスボスだろーっ。」と戦々恐々するが彼の口から
・ラスボスは死の魔王
・死の魔王は北にある魔王城にいる
という情報を教えられる。
死の魔王を倒せば、元の世界に帰れるかもしれない。そう考えたじーさん達は最強さんをスカウトするが、自分が戦うとゲームがぶっこわれるという理由で断られた♨️
代わりに立候補したのが……
鎧を纏ってはいるが、戦士では無く戦いもしない「なにもせんし」の校長、
勇者……では無く「きゅうきゅうしゃ」のゲベ(フロント部分がゲべの顔になってる救急車)だった。
(二人ともじーさんの時同様メッセージウィンドウの役職が見切れており、誤認させていた)
かくして…、
ここに「あほう使い」「ツッコミ」「なにもせんし」「きゅうきゅうしゃ」の、
最強パーティーが誕生したのだった!!
孫「どこが最強パーティーだーっ!!」
とりあえず4人パーティーになったことできゅうきゅうしゃに乗り、死の魔王が住む魔王城に向かうことに。
セーブしたのち城の中へ進んだとたん、天井院と床弾坊、半・分太がモンスターとして立ちはだかった。
(この時孫は何故このゲームにじーさんたちの知ってる人ばかり出てくるのか疑問を抱いた)
じーさんはさっそく活躍せんとあほうを召喚して戦おうとした……が、直後にあほうが敵側に寝返った。
なにもせんしの校長にバカにされ、孫もツッコミで戦おうとした……が、ツッコミでどう戦えばいいんだと気づき、戦意喪失。(しかも、あほうに「あほう」と言われる始末)
そしてそのままじーさんたちは再びモンスターたちにやられそうになった……
…直後に出てきたきゅうきゅうしゃのゲベに衝突され、モンスターは全滅。(あと何故かよりによって校長のレベルがあがった)
この調子で(?)じーさんたちは魔王城を進んでいき、ついに死の魔王の部屋にたどり着く。
『ここから先はキケンだぞ 準備はいいですか?』とラスボス手前でよくみるメッセージが出たのち、じーさんたちは死の魔王と勝負すべく部屋に入った。そして待ちかまえていたのは……
じーさん・孫「「まるみえだーーーっっ!!」」
どうやら服を着るのを忘れていたらしく、あわててはみだしてる(というかモロでてる)アソコを「しまおうしまおう。」と言いながら隠そうとする死の魔王。
その言動を見たじーさんたちは「死の魔王」の実態に勘づいた……
しまおう
↓
し魔王
↓
死魔王
↓
死の魔王
「くくく…、そのとおり…。」
「ワタシがゲームのラスボス、
「ちんこをしまおう」だーーっ!!」
……かくしてラスボスの死の魔王…もとい、しまおうはじーさんたち4人パーティーの「アホかーーーーーーっっっ」の怒号によるかいしんのいちげきにより瞬殺されました♨️
バカバカしい戦いだったが、ようやくラスボスに勝てたため「これでもとの世界に戻れる」と喜ぶじーさんと孫。ラスボス撃破の祝いに来たメッセージウィンドウにもとの世界に帰すよう頼むが……
『………….』
『帰れません』ピッ
じーさん「へ?」
孫「だって…、魔王をたおしたよ?」
『…言ったでしょう?ゲームをクリアするまで帰れないって』ピッ
「うん。」
「だから…。」
『誰が魔王をたおしたらゲームクリアって言った?』
『ーーーーまだゲームはクリアしていない』ピッ
『呪いのゲームはおわらない』ピッ
『このくらいでおわらせるものか…!』ピッ
『こんなコトでボクのうらみは消えない』ピッ
『ボクは忘れない』ピッ
『20年前のあの日のコトを!!』ピッ
「呪いのゲーム」として本性を現し、まるで恨みつらみのような言葉を表示し出したメッセージウィンドウ。
『もっともっと…』ピッ
『楽しもうよ…』ピッ
『このアホみたいなゲームを』
『永遠……!プレイしつづけろ!!』ビーッ
かくして呪いのゲームは再開された……。
後編
せっかく魔王を倒したのに、ゲームから抜け出せないことに孫は嘆く。
ゲべは「裏ボスがいるかも知れない」と推測するが、めんどくさくなったじーさんはかったるいというコトで校長を裏ボスにしたて、召喚したあほうに校長を攻撃させる♨️(とは言え、じーさんも別人ではあるが前作で、校長にしょーもない理由で濡れ衣を着せられていた)
そして、攻撃が止むと…
『あほうはフル装備になった♨️』
校長の鎧を奪って装着したあほうと、全裸になった校長が横たわっていた♨️
孫「みぐるみはがされとるーッ‼︎」
そんなあほうを見たじーさんは、何かに気付いたような目をしていた。
孫は、「ふざけてる場合じゃないよ!魔王を倒した後のメッセージウィンドウを思い出して」とじーさんに言う。
『20年前のあの日のコトを‼︎』
孫は、「メッセージウィンドウが出たとき、あの場にいたのは自分たちパーティの4人。4人のうち、ゲべと校長はゲーム内のキャラで、20年前はオレ自身は生まれていない。だから、あのメッセージはおじいちゃんに向けられたものじゃないか」と推測する。
じーさんに20年前に何があったのか尋ねると、じーさんは「あるゲーム」の話をした。
----孫が生まれる前、じーさんは「ADOVENTURE HORIZON -アドベンチャー・ホライゾン-」というテレビゲームにハマっていた。じーさん曰く、毎日何時間もプレイしまくるほど、そのゲームの世界観、モンスターやイベントが大好きだったという。
祖父がゲームにハマっていたということに、孫は少し驚きつつも、なぜ今になって20年前のゲームの話をするのか、じーさんに質問した途端、メッセージウィンドウが現れた。
『とちゅうでやめちゃったんでしょ?』ピッ
『最後までプレイせずにとちゅうでやめちゃったんだよね?』
『やめちゃったんだよね?』
『・・・だけど・・・・・・やっと思い出してくれたんだね・・・?』
次の瞬間、ゲべと校長が消滅すると同時に、景色が変わりはじめ……
『ボクのことを』
『「アドベンチャー・ホライゾン」を‼︎』
ネタバレ注意
その正体は、かつてじーさんが遊んでいた「アドベンチャー・ホライゾン」そのもの。
正体を現すとともに景色が規則正しく並んだ山や木など昔のレトロなゲームの世界に変化。じーさんは懐かしみつつも何故自分達を閉じ込めたのか孫に聞かれるとメッセージウィンドウを通して、復讐するためであることを明かした。
上記の通りじーさんが自分で沢山遊んでくれたことをとても嬉しく思っていたが、クリアする直前でじーさんが突然ゲームをやめてしまっていた。「きっと新しく発売されたゲームに乗り換えたからだ!」と思い込み、くやしさから「じーさんのアホ!」と恨むようになり、そこから(そのままの名前ではバレてしまうため)「ADOVENTURE HORIZON」から「JA・HOU2」へとゲームのタイトルを変え、じーさんへの復讐を決意した。
(つまり「JA・HOU2」はJ(じーさんの)AHOU(あほう)という意味であると同時にアドベンチャー・ホライゾンの続編でもあり、既にタイトルに「2」がつけられていたのはそのため)
そして、自身の目的と過去を話終わると、じーさん達に止めを刺そうとした。
『これで…』
『ゲームオーバーにしてやるよ!!!』
「正体バレてんだよ。」
「あほ(アドベンチャー・ホライゾン)!」
次の瞬間、じーさんはその台詞とともに「あほう」を殴り飛ばした。
さらなるネタバレ注意!
実はじーさんが召喚していたあほうこそが、メッセージウィンドウを通して喋っていたアドベンチャー・ホライゾンの存在そのものだった。
じーさんに殴られたあと、何故正体がわかったのかと聞いたが、じーさんは校長の鎧を奪って身につけたあほうを見て、あることを思い出したという。
それは……
あほうの顔が「アドベンチャー・ホライゾン」の主人公にそっくりだというコトだった♨️
孫「なんちゅー主人公だーッ!!」
(尚、前編を読み返してみると、じーさんはあほうを最初に召喚した際、「どっかでみたよーなカオしやがって」と、既視感があるような発言をしていた)
正体を明かされたあほうはそのご褒美にじーさん達をゲームから脱出……させると思わせてからの両手から放った魔法による不意討ちで全滅させる。
『人の言葉をそのまま信じるから、そうなるんだ、アホウ。…もっと言葉の裏の意味をよみとれないと…、このゲームはクリアできないよ。』と嘲笑い、死ぬコトのないゲームの世界を何度も楽しませるためセーブした所からやり直すよう誘惑する。
……が、じーさんは『セーブしたところからやり直しますか?』の画面で(ヒゲで)「いいえ」を選択。
まさかの選択に驚くあほうだったが、セーブした場所から再開することを拒んだためじーさん達もろとも「タイトル画面」に引き戻されてしまう。実はじーさんは上記のあほうの言葉からこのゲームから出る方法に気づいていた。
このゲームからぬけだすたった一つの方法は「ゲームをクリアするコト」、そしてその「言葉の裏の意味」……
「「クリア」って言葉は、データを消すって意味でもあるんだぜ!」
そう言いながらじーさんはタイトル画面のオプションから「データを消す」画面を表示していた。
セーブデータを消す……それが、このゲームをクリアするたった一つの方法の実態だった。真実に気づかれ慌てて制止をかけるあほうだったが、じーさんはそのままデータを消去……
しなかった。
またしても「いいえ」を選択したじーさんはあほうの前で土下座し、20年前最後までゲームをプレイできなかった事を謝罪。そしてその罪滅ぼしとして「このゲームの世界で一生冒険する」ことを宣言、それと同時に20年前の事とは関係ない孫だけはもとの世界へ帰してほしいと必死に頼み込む。まさかの約束をしだしたじーさんに孫は涙するが、それを聞いたあほうは勝ち誇ったとばかりに嘲笑い、罵倒しだした。
『ガ~~~ハハハ!!アホなヤツめ!!』
『こいつはいい。20年前ゲームを勝手にやめたバツだ!!』
『…20年前…、ボクがどんなにくやしかったか…、わかるか…!?』
(--なんじゃ、このゲーム?アドベンチャー・ホライゾン?)
『アホなオマエはゲームを途中で投げだした!!まだ、クリアしていないのに。』
(主人公がアホっぽい顔しとるのー。ためしにやってみるか。)
『ボクはオマエをゆるさない。絶対にゆるさない。』
(おぉー。けっこうおもしろいじゃないか!)
『一生この世界からだしてやるものか、アホ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(アドベンチャー・ホライゾン。めちゃくちゃおもしろいゲームじゃないか~!)
その時あほうの脳裏に映ったのは、自分(アドベンチャー・ホライゾン)を楽しく遊んでいたじーさんの思い出だった。
あほうは……アドベンチャー・ホライゾンは、くやしさのあまりに忘れてしまっていた。ある時はボスと戦い、ある時はレベルアップし、ある時は新しい魔法を覚え、ある時は新しい町にたどり着き、いつも自分をとても楽しく遊んでくれていたじーさんの姿を…。
「このゲームは楽しいな。」、「神ゲーじゃ!!」、「こんなにおもしろいゲームは初めてじゃ~!!」と自分を絶賛してくれたじーさんの姿を……。
アホなのは、ボクのほうだ。
こんなカンタンなコトに、気づかなかったなんて。
ゲームで人を悲しい気持ちにさせてどうする!!!
その直後、あほうは自らの手で「データを消す」画面で「はい」を選択していた。
そうだ…。
途中までとかどうでもよかったんだ…。
そんなコトより…、少しでもゲームを楽しく遊んでくれて…、
『ありが…、』
プツッ…
自身の想いを伝えきる前に、ゲームクリア(消去)は完了された……。
じーさんと孫が目を覚ますと元の世界に帰ってきており、目の前にあったゲーム機からは禍々しさは消え、そこに入っていたソフトは当時じーさんが遊んでいた「アドベンチャー・ホライゾン」に変わっていた。
孫は、じーさんにJA・HOU2にて自身が気づいたことを話した。
「きっとそのゲームは、おじいちゃんのコトが大好きだったんだと思う。そしてなによりもこのゲームはおじいちゃんとずっと遊んでいたかったんだよ。」、と……(ゲームの中でじーさんや孫の知っている人がたくさんいたのは「おじいちゃんが寂しくないようにするためだったんじゃないか」と考えた)。
ゲームの本心を知ったじーさんは、元のゲームに戻ったソレにそっと手を置き謝罪した。
「すまなかった。」
「20年前…、最後まで遊んでやれなくてすまなかった。」
関連タグ
20年前のあの日、
ワシは楽しくゲームを遊んでいた。
--そして、もう少しでクリアという所で、
ワシの大切な人が病気で倒れた。
それからワシは看病で忙しくなり、
ゲームができなくなってしまった。
そしてさらに9年後、
その人は亡くなってしまった。
--じゃが、ワシは大好きなゲームを、
ほんのわずかでも自分の大切な人とプレイできて、
幸せじゃった。
……あの日のことを振り返ったじーさんは、久しぶりに「アドベンチャー・ホライゾン」をプレイすることにした。
今度は孫といっしょに。
ひさしぶりにおとずれたゲームの世界は、
あの時と変わらない景色が広がっていた。
山があり、
海があり、
モンスターがいて、
アホみたいな顔の、
主人公がいた。
…あの時はゴメンな。
最後まで冒険できなくて。
だけど、
今度はだいじょうぶ。
ラストまで、
大冒険を楽しもう!
本当の
ゲームクリアをめざして!!
完