B'TX
びーとえっくす
概要
『B'T-X』とは1994年より2000年まで月刊少年エースで連載していた車田正美原作の漫画、また、それを原作としたアニメ作品である。
車田の作品の中では珍しく、打ち切りという形を取ることなく終了した作品。
掲載誌の違いも影響を及ぼしたとされている。
尚、タイトル及び本編中の台詞中では"T"の字は他の字より三回りほど小さくなっている。
B't(ビート)と呼ばれるロボットと人間のバディものという側面も持つSF風味バトル。
それと同時に、誰にも頼らずに自力で光り輝く約束を兄と共に誓った主人公・鉄兵がエックスや仲間ともに機械皇国の野望を打ち砕くという、友情と信頼を描く物語でもある。
ストーリー
21世紀初期の地球。北京での機械万国博の会議の最中、謎の組織『機械皇国』に天才博士・高宮鋼太郎が攫われた。彼を救い出すために、弟・高宮鉄兵が、機械戦士の「B'T」―エックスや四霊将と共に機械皇国と闘う。自ら光輝く男になるために、大切な者を守るために、鉄兵は兄を救出する事ができるのか。
登場キャラクター
- 高宮鉄兵(CV:檜山修之)
- B'Tエックス(CV:堀川仁)
- 高宮鋼太郎(CV:佐々木望)
- 華蓮(CV:緒方恵美)
- B'Tシャドーエックス(CV:篠原恵美)
- 鳳・ラフィーネ(CV:一条和矢)
- B'Tジュテーム(CV:百々麻子)
- 北斗(CV:佐久田修)
- B'Tマックス(CV:百々麻子)
- ロン(CV:藤原啓治)
- B'T雷童(CV:水野龍司)
- 華梨(CV:横山智佐)
- メタルフェイス(CV:堀内賢雄)
- ミーシャ(CV:折笠愛)
- ナーシャ(CV:氷上恭子)
- ミスリム(CV:小杉十郎太)
- B'Tラレーニャ(CV:藤木聖子)
- クアトロ(CV:関俊彦)※
- B'Tロレッソ(CV:相沢正輝)※
- リリー(CV:丹下桜)※
- 冥夢(CV:三木眞一郎)※
- ライ(CV:速水奨)※
※はOVAに登場
TVアニメ
1996年4月から9月までTBS系において放送された。
TVシリーズでは原作中盤までをアニメ化、部分的にオリジナルの展開を入れている。
車田アニメ作品としては珍しく東映アニメーションではなく東京ムービー制作である。
主題歌
オープニングテーマ
「遥か〜SAILING FOR MY DREAM〜」
作詞 - 室井美樹 / 作曲 - 西村麻聡 / 編曲・歌 - FENCE OF DEFENSE
「HIGH PRESSURE」(台湾中国語バーション)
作詞 - 井上秋緒 / 作曲・編曲 - 浅倉大介 / 歌 - T.M. Revolution
エンディングテーマ「僕の生き方」
作詞 - 伊藤良太 / 作曲 - 青木慶則 / 編曲 - JOHNNIE FINGERS / 歌 - BLUE BOY
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | 奇蹟! 復活のB'T-X(ビート・エックス) |
第2話 | 誕生! 太陽の戦士(バトラー) |
第3話 | 対決! 機械皇国の野望 |
第4話 | 登場! 伝説の四霊将 |
第5話 | 出発(たびだち)! 決死の救出作戦(バトルロード) |
第6話 | 恐怖! 砂漠のパイレーツ |
第7話 | 驚愕! 機械皇帝の謎 |
第8話 | 華麗! 幻惑戦士カミーラ |
第9話 | 驚異! エビル・フラワー |
第10話 | 迫撃! メタルフェイスの逆襲 |
第11話 | 無敵! 東の霊将ロン |
第12話 | 強敵! 猛将カオス |
第13話 | 相棒!(バディ)熱き心の絆 |
第14話 | 悲劇! 墓場の少女マリア |
第15話 | 炸裂! 死神への一撃 |
第16話 | 復活! 五色の燐光 |
第17話 | 出現! 黒いエックス |
第18話 | 暗黒!アンダーヘルの恐怖 |
第19話 | 決死! エックスの最後 |
第20話 | 生命!(いのち)ブレイク・ハート |
第21話 | 新生! B'Tエックス誕生 |
第22話 | 最凶! エリアの七魔将 |
第23話 | 閃光! シャイニング・ナックル |
第24話 | 炎上! 太陽のかけら |
第25話 | 打倒! B'Tラファエロ |
OVA
1997年に発売されたTVシリーズの続編。
当時は原作が完結していなかったため、オリジナルの結末を迎えている。
七魔将が7人のうち4人が登場していなかったり、一部のキャラ設定の変更、最終決戦地が機械帝国本陣(原作は機械皇帝がいる宇宙軌道上)など、原作との相違点も多い。
また、国内ではDVD-BOXが発売されていない(海外ではTVシリーズと共に発売)ため、配信こそされてはいるが視聴のハードルは少し高い。
主題歌
オープニングテーマ「A PIECE OF THE SUN」
作詞 - 前田耕一郎 / 作曲 - 山崎利明 / 編曲 - 須藤賢一 / 歌 - 遠藤正明
エンディングテーマ「永遠のその先 〜You are the best buddies〜」
作詞 - 前田耕一郎 / 作曲・編曲 - ホリエアキラ / 歌 - 遠藤正明
挿入歌「瞳は幾千の窓」(第14章)
作詞・歌 - 畑亜貴 / 作曲・編曲 - 安西史孝
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1章 | 霊将VS魔将 |
第2章 | 愛と憎しみの地! |
第3章 | 紅蓮の炎 |
第4章 | ブラッドの奇跡! |
第5章 | 夢幻の恐怖! |
第6章 | 一条の光! |
第7章 | メール リヒト!(もっと光を) |
第8章 | 仮面の告白! |
第9章 | 血の絆 |
第10章 | 悪魔の咆哮 |
第11章 | 失われた過去を求めて! |
第12章 | ONE FOR ALL! |
第13章 | 未来の記憶! |
第14章 | A PIECE OF THE SUN |
用語
B'T(ビート)
本作の戦士達の相棒的存在と成るロボット達のこと。
『B'T』とは、自らのBRAIN(頭脳)で考え、人間のBLOOD(血液)によって作動し、BRAVERY(勇気)をもった、史上類のない究極のBATTLER(戦士)、それらの特性をTOTAL(総称)したもの、の略である。
動物や昆虫、伝説上の生き物などの姿をしており、主人になる者の血液提供を受け覚醒する。献血されて初起動した後、性別ができる。
人間の血液を動力源として覚醒し、最初の血液提供者「ドナー」にのみ絶対の忠誠を誓う。それはドナーが死んだ後も変わることは無い。
B'Tは、基本的に機械皇帝から設計とそれに必要な材料が送られ、それを機械皇国のエンジニアが製作し、完成するものである。そのため門外不出の技術のはずだが華蓮が独自で製作したシャドーエックスのみ例外で、神居島に残された鋼太郎のロボティクスデータに華蓮自身の知識を加えることで皇国のマテリアルを用いることなく完成させている。
「ガードシステム」というバリア機能を標準搭載しており、宇宙空間などの過酷な環境に対応できる。ただしダメージを受けすぎるとシステムに基調をきたし、最悪ドナーに危険を及ぼす可能性もあるため、基本的には防御用として用いられる(ガードシステムを攻撃に転用するB'Tもいるがごく僅か)。
人間ともコミュニケーションを普通に取れる知性と独立した思考能力をもっており、機体ごとに個性もあるが、複数機あるものやリュカオンのような完全な量産型も存在する。
機械皇国
後の機械皇帝となる名もなき生物学研究者が戦災孤児や拉致してきた科学者を利用して作り上げた、中国奥地に存在する帝国。武器商人としての面も持っており、各地の紛争・戦争に貫入し、武器の売却および私兵の派遣などを行っている。
皇帝独自の進化論からなるロボティクスにより誕生したB'Tや、生物学を応用したサイバネティックボディなど世界的に見ても高度な技術を持つ。リュカオン隊を中心とした独自の軍隊も持っているため、その気になれば世界を支配できるほどの強大な戦力を持っているが、それも皇帝自身のB'Tである『ラファエロ』完成の糧でしかなかったのである。
神居島
光が降ったという伝説がある北海道北部に存在する孤島。鉄兵たち高宮一家が研究目的の為に移住してきた場所でもある。20世紀初頭ではこの島の存在がなく、1999年に光が降ったとされた後に誕生した。
島の地下中枢に光の種子が島中央にある大樹の根に囲まれた状態で存在している。華蓮が探していたものがそれであり、最終決戦(ラファエロ戦)での決め手となったのである。
なぜこの種子が地球に落ちてきたのかは最後まで解明されなかったが、生命の理を曲げた機械皇帝に罰を与えるために落ちてきたのでは、と言われている。
ラファエロ
機械皇帝が生み出したホムンクルスの中の一つから誕生した、通常のB'Tとは一線を画す無機質生命体。その過程で機械生命体といえるB'Tを誕生させ、のちの機械皇国の原型となる勧誘した孤児で編成された独自の軍隊を設立した。
当初は技術的に未発達であったため目立った動きはなかったが、他の生命体を捕食させることで成長することが判明した以降は皇国に預けることとなり、成長しきった際に皇国にいる国民を捕食し、皇帝のいる衛星へと旅立った。皇帝(の脳)と合体したラファエロは世界を支配するため宇宙から攻撃を仕掛けようとするが…。
アニメ版では首都中枢にある皇帝の意思をコピーしたメインコンピュータと融合、原作と異なる最終形態へと進化した。
余談
- アニメ版はテレビ版こそ不発に終わっているものの、OVAでキチンと独自の結末を迎えており、同じ放送局で放送された「超獣機神ダンクーガ」が打ち切りの完結編が一本に対し、本作ではTVの1クール相当の14話が製作され、時代を実感する。
- 前述の通り、日本のTVアニメ版は不発に終わったが、東南アジア地区では逆にヒットを飛ばし、国によってはOVAを抱合した全39話で放送していた国もあったという情報もある。
- 玩具展開は聖闘士星矢放送時のスポンサーであったバンダイではなくライバルメーカーであるタカラが行った。かつての『デュアルモデル』同様の内部構造を再現した『ソリッドスキャンモデル』と組み立てキットと彩色済みアクションフィギュアを同梱した『ソリッドスキャンキット』が発売、『サンダーアーム』同様の音声ギミックを搭載した手甲『メサイヤフィスト』などのなりきり玩具も発売された。当時の売れ行きはいま一つだったが玩具関連のスケジュールはほぼ達成しており、放送終了月に発売したシャドーエックスまで続いている。TVでは発売予定されていた新生エックスのみ未発売に終わったがOVA発売の際に仕様を変更して発売、ほかの四霊将のB’Tなども新規造形で発売されているが、ソリッドスキャンモデル仕様での新生エックスの発売は国内外ともに実現しなかった。
- アニメの最終決戦は上記の通り独自の結末となっており、その結末は賛否両論となった。原作の結末が比較的ハッピーエンドであるのに対し、アニメ版の結末は皇国の野望こそ打ち砕いたものの、四霊将のみならず鉄兵たちの行方まで曖昧となったビターエンドであるため賛否が分かれてしまったのである。ちなみに登場人物の中では華梨のみがアニメ、原作共に結末が変わっていない。