火のエル
ひのえる
概要
演:穴井隆文、羽緒レイ
7名いるとされるエルロードの一柱。属性は火を司る。
「光の力」、「プロメス」などとも呼称される。
太古に起こった人間とアンノウンの争いで、苦境に立たされた人間を不憫に思い、人間の女性と交わって、「ネフィリム」という戦士を設け、人類にアギトの力を与えた張本人。
なお、人間2億人に対してアンノウンも2億体という個体の能力の高さが全然違うのに数が同じという絶望的な戦力差だったにも関わらず、太古の人類はプロメスが力を貸すまでに40年間もなんとかアンノウンと戦っていた。戦況はアンノウンが優勢であったが。
人間にアギトの力(名前のモチーフであるプロメテウス風に言うと火)を与えたことにより、オーヴァーロード/テオスの手により粛清され、アンノウンも大洪水を起こしてネフィリム=ギルスを滅ぼした(この時テオスは不憫に思い、動物たちのつがいと人間の夫婦を箱舟に乗せて助けていた)。
死に際に彼は2001年へと跳び、沢木哲也…主人公である後の津上翔一のアギトの力を目覚めさせて消滅した。
怪人態の姿は明かさなかったが、人間に似た姿では白い服装をしていること以外、テオスと瓜二つであった。
このことから、エルロードには所謂人間態があると思われる。イコン画にもエルロードは怪人態ではなく翼を生やした人間に近い、いわゆる我々が思い描く天使の姿で描かれている。
小説版
こちらの作品では超能力者を狩る上位のロード怪人として登場。
津上は彼を吸収し、アギトの変身能力を得た。
しかし、呼称は一貫してアギトであった。
これが火のエル本人かも不明。(彼が火のエル本人とするなら、何故超能力者が生まれたのか?という疑問が残るため)
恐らくはテオス側についたアギトか、火のエルの眷属と思われる。
モチーフは不明だが、仮面ライダーアギトデザインワークスにて出渕裕氏の発言に「火のエルを書くならサラマンダーモチーフにしたい」というものがある為、サンショウウオ(もしくはアギトのモチーフになったとされる竜)の超越生命体なのかもしれない。(ウーパールーパーなどのエラがアギトのクロスホーンに見えない事もない)
余談
イコン画では6人のエルロードが正面を向いているが、彼のみ背中をこちら側に向けている(つまるところ神を裏切るということ)。
残された謎
アギトのモチーフが龍であるとされるため、彼もモチーフは龍であると思われる。
上記の行動、モチーフから見て、彼こそがアギト世界におけるルシファーのモデルとなったのではないかと思われる(ルシファー/サタンは聖書では赤い龍とされ、アギトの中間形態であるバーニングフォームも赤いボディである)。
また、イコン画にはプテラノドンに似た天使が象の天使の隣に描かれ、よく見るとテオスが創造した生き物の中には恐竜がいるものの(アシカの近くにティラノサウルスが描かれている)、恐竜は現代では絶滅してしまっており、イコン画に描かれているような翼竜のアンノウンも本編では全く登場しなかった。
なお、恐竜の化石は竜の骨として珍重された歴史があるなど龍と恐竜は密接な関係にある事から、火のエルの配下の動物は恐らく恐竜や翼竜だと思われる。
アギトの世界において、地球上の生物はノアの方舟に乗せられた動物の番を除いて全て大洪水に呑まれて絶滅してしまったという設定であり、恐竜の絶滅した原因の一つとして考えられるのは長である火のエルの裏切りにより、箱舟への乗船を拒否されたからだと推測できる(祖先も上司と共に粛清されたか)。しかし、イコン画の件を除けば考察の域を出ない為、詳細は全くの不明である。
また、恐竜と鳥は共通の祖先を持つとされるが、鳥類系の長ともいうべき風のエルとの関係は一切不明(ちなみに、風のエルのモチーフとなった猛禽類は後述の神話においてはプロメテウスの肝臓を貪る役割で登場する)。
彼がギリシャ神話のプロメテウス本人であるなら火を与え、使い方を教えたのも彼自身である可能性が高い。テオスがプロメスを殺したのはアギトの力を与えたことだけでなく、火の使い方を覚えたことで、人間が戦争や殺戮を起こし、アンノウンと人間の争いの二の舞になることを予見したからとも取れる。
ちなみに、プロメテウスは巨神族ティーターンに数えられており、プロメスが人間の女性と成した子は「ネフィリム」と呼ばれるが、そちらも元ネタは巨人の名前である(ただし出典は旧約聖書)。
紀元前6世紀のギリシャでは火は世界の根源だと考えられていた。そう考えると火のエルから与えられたアギトの力の根源とは世界の根源に通ずる力なのかもしれない。テオスが人の手に余る力だと見なすのも無理はない…。