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1984年(小説)の編集履歴

2022-05-25 14:07:44 バージョン

1984年(小説)

せんきゅうひゃくはちじゅうよねん

『1984年(Nineteen Eighty-Four)』とはジョージ・オーウェルによるイギリスの小説。

戦争とは平和である (WAR IS PEACE)

自由とは隷属である (FREEDOM IS SLAVERY)

無知とは力である (IGNORANCE IS STRENGTH)

概要

イギリスの小説家、ジョージ・オーウェルディストピア小説。

1949年に出版されたディストピアジャンルの代表的作品であり、全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いている。冷戦下で大ヒットし、『動物農場』とともに反全体主義、反集産主義のバイブルとなった。


今日ではディストピアというジャンル全体を指して、全体主義的・管理主義的な思想や傾向や社会を「オーウェリアン」と形容される。


実際に全体主義が蔓延したナチス・ドイツソビエト連邦大日本帝国ではなくイギリスが舞台となっているが、これは「世界のどこでも、どんな民族でも全体主義に陥りうる」という警鐘を鳴らすためとされている。


村上春樹の「1Q84」のタイトルの元ネタであり、執筆経緯のひとつとなっている。


作品解説

1950年代に核戦争が起き既存の国家が革命により倒され世界が「オセアニア」「ユーラシア」「イースタシア」という3つの全体主義超大国に支配された1984年。舞台はオセアニアの領土のエアストリップ・ワン(Airstrip One / エアストリップ一号)でかつてはイギリスと呼ばれた地域である。


主人公のウィンストン・スミス(Winston Smith)はロンドン在住の真理省(Ministry of Truth)記録局(Records Department)に勤務しており、党外局(党外郭 / outer party)つまり一般階級の党員である。スミスはオセアニアの現体制に疑問を抱いていた。


そんな時、同僚のジュリアから手紙による告白を受け、隠れ家で逢瀬を重ねるようになった。さらに上流である党内局(党中枢 / inner party)に属するオブライエン(O'Brien)に接触し、体制への疑問を打ち明けると反体制派のエマニュエル・ゴールドスタイン(Emmanuel Goldstein)が描いたとされる禁書を渡され体制の裏側を知ることとなる。


しかしスミスの反体制的な思想は、ある人物により密告され、思想警察(Thought Police)に逮捕される。愛情省(Ministry of Love)の手によって洗脳され、完全に体制を信じ込み、スミスは"心から"党を愛し、処刑される日を想うのであった。


登場人物

ウィンストン・スミス(Winston Smith)

39歳の男性。党外局員、真理省記録局に勤務。キャサリンという妻がいるが別居中。過去の新聞記事を現在の「事実」に沿うように書き直すのが毎日の仕事だが、疑問を抱いて日記を付け始めた。ねずみがトラウマ。


ジュリア(Julia)

26歳の女性。党外局員、真理省創作局に勤務。労働者向けの娯楽を作る「小説製造機」のオペレーター。表向きは熱心な党員であるが、実は現体制に疑問を抱いている。


オブライエン(O'Brien)

党内局員、真理省の高級官僚。党に対して絶対忠誠である。人心把握の技術があり、ウィンストンを嘘でわなに陥れる。


トム・パーソンズ(Tom Parsons)

真理省に勤務。ウィンストンの隣人。アホの子。


パーソンズ夫人(Mrs. Parsons)

トム・パーソンズの妻。子供達を正しく(=党に忠実に)なるように育ててきたが、今は子供達に密告される事に怯えている。


サイム(Syme)

ウィンストンの友人。真理省調査局に勤務する言語学者。非常に頭が良く、ニュースピーク(新語法)の開発スタッフの一人。


チャリントン(Charrington)

63歳の男性。古道具屋の店主。オセアニアの現体制成立以前の時代に愛着を持つ数少ない人物。


ビッグ・ブラザー(Big Brother)

全体主義国家オセアニアの最高指導者。テレスクリーンを通じて国民を監視下に置いているとされている。作中には一度も登場しないが、党と人民の崇拝の対象とされている。


エマニュエル・ゴールドスタイン(Emmanuel Goldstein)

オセアニアにおける反体制派の代表的人物。「人民の敵」とされ、オセアニア国民の憎悪の対象と目されている。ビッグ・ブラザーと同じく作中にはその姿を一度も現さない。


用語

ニュースピーク(新語法)

作中で使用されている、政府が開発した人工言語。英語を基にして、不必要な表現(不規則活用等)を削除して合理化し、単語の語源を連想出来ない程の略語を多用し、連日のように使用禁止語が増えるので、思考するよりも前にガァガァと党のスローガンを叫ぶだけの国民を増やす、愚民政策の一環である。政府の行動を疑う為の単語自体が使用禁止なので、考える事が出来なくなる。将来的にはオールドスピーク(英語)で記された過去の記録も読めなくなっていくだろう。

なお、巻末には「ニュースピークの諸原理」というニュースピークを過去形で解説した付録がある。


ダブルシンク(二重思考)

矛盾している二つの事を同時に信じて受け入れ、なおかつその矛盾を忘れてしまうための思考法。これにより、例えば「真理省は公文書を改竄して欺瞞の記録を作っている」と「党の発表は全て真実である」の両方を信じることができるようになる。端的に2+2=5という矛盾した数式で表される。


真理省、平和省、豊富省、愛情省

イングソックの四大官僚組織。その名前とは裏腹に、真理省は過去の記録を改竄したり党に都合の良いプロパガンダを流したりする事、平和省は他の二大国との戦争を主導する事が主な業務である。豊富省は農業や配給を管理するための省だが、少なくとも豊富な配給ができているとは言い難い。そして愛情省はその名前の通り、反逆者を捕らえて「党を心の底から愛する」ように改造するための組織である。


監視社会

この世界では密告が奨励されている。子供達には親の寝言を盗聴する為のアイテムが配られている。個人が日記を付ける事は、重大な思想犯罪である。怪しい発言を行う者、怪しい表情を繰り返す者は秘密警察に連行されて蒸発していくし、蒸発した者の名前を口に出す者もまた蒸発していく。家々にはテレスクリーンと呼ばれるテレビ型の盗聴・盗撮機があり、プロパガンダや健康体操を流しながら市民を監視している。


ユーラシア、イースタシア

オセアニアと共に世界を支配する他の二大国。ユーラシアは大雑把に言えばロシア+ヨーロッパで、「ネオ・ボルシェビズム」を掲げている。イースタシアは大雑把に言えば中国+日本で、「死の崇拝」「滅私奉公」という思想を掲げている。思想の名前こそ違うが、どちらもオセアニアと大差ない全体主義国家とされる。


出版

イギリス - Secker and Warburg (1949年)

日本 - 早川書房(1972年、2009年)


映画

何度か映像化された中で、実際の1984年に公開されたマイケル・ラドフォード監督作が、唯一日本公開された。オブライエン役リチャード・バートンの遺作。


キャスト

ウィンストン・スミス - ジョン・ハート

オブライエン - リチャード・バートン

ジュリア - スザンナ・ハミルトン

チャリントン - シリル・キューザック


スタッフ

監督・脚本 - マイケル・ラドフォード

原作 - ジョージ・オーウェル

製作 - サイモン・ペリー

製作総指揮 - マーヴィン・J・ローゼンブラム

音楽 - ドミニク・マルダウニー / ユーリズミックス

製作会社 - ヴァージン・フィルム

配給 - 松竹富士(日本)

公開 - 1984年10月10日(イギリス) / 1984年12月14日(アメリカ) / 1985年11月5日(日本)

上映時間 - 113分

製作国 - イギリス

言語 - 英語


関連イラスト

Big brother is watching you.自由とは、二次元の女の子をかわいいと言える自由だ。


関連タグ

1984年 1984

小説 SF小説

ジョージ・オーウェル

ディストピア 全体主義 社会主義


未来世紀ブラジル

Vフォー・ヴェンデッタ:映画版では多くのオマージュがされており、1984で主人公を演じたジョン・ハートが体制側として登場している。

メタルギアソリッドVザ・ファントムペイン:物語の舞台が1984年。ストーリーもオーウェルが裏モチーフになっている。

ゴルスタ : 中高生向けSNS。運営のやり口がまさに1984年とそっくりだった事実が露見し炎上した。

機動戦士ガンダム00:三大国家による冷戦が行なわれているが、世界地図が似ている(オセアニアユーラシアイースタシア

Macintosh:伝説のテレビCM1984 (広告)の世界観のモデルになっている。

EpicGamesフォートナイトでの課金システム(30%の手数料。通称アップル税)をめぐり迂回するストアを設置したため、規約違反としてApp Storeから削除された。その際に、上記のCMのパロディ動画を配信した。

攻殻機動隊S.A.C.2045:1984年をオマージュしている。(物語の原因である1A84、クーテイがシマムラ・タカシに渡した本が1984、Nぽが送られる101号室、Nのトップがビッグ・ブラザーなど)



外部リンク

1984年 (小説) - Wikipedia

1984年(小説) - ニコニコ大百科

映画 1984 - allcinema

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