アーシアン(漫画)
高河ゆんによるファンタジー漫画。1987 - 2002年に連載され、オリジナルアルバムやドラマCD、OVAも製作された。文庫版(2008)は全5巻。
ストーリー
地球を監視する惑星エデンの住人である「天使」たちは、長きにわたって調査員を派遣し、地球と地球人(アーシアン)の価値を見定めようとしていた。一方では、種族としての特性から自身も緩やかな滅びに向かいつつある天使に、かれらを脅かす病魔が忍び寄る。
そんな中で地球に肩入れする、漆黒の翼を持つ“プラスの調査員”であるちはやは、“マイナスの調査員”となった上級天使・影艶と共に地球へと降り立つ。
アーシアン(用語)
『機動戦士ガンダム水星の魔女』の舞台となる時代アド・ステラにおける地球圏の人間の事を指す。本作では宇宙で暮らす人間・スペーシアンとの関係は対等ではなく、経済格差に起因する差別感情に晒されている。
スペーシアンに対するデモでは、「宇宙事業の為に税金と労働を1世紀半捧げてきた」と訴えており、搾取される側である事が窺える。スペーシアン側はデモ隊の鎮圧にベネリットグループ御三家に連なるモビルスーツを投入するなど、アーシアンの生命・人権に頓着しておらず、地球で暮らす人々は非常に苦しい状況に置かれている。
アスティカシア高等専門学園に在籍するごく少数のアーシアンは共に地球寮で生活している。スレッタとリリッケの会話から、単に地球生まれの人間を指すのではなく、地球圏の企業がスポンサーとなっている学生を弱者として軽んじる差別感情も含まれた呼称である様子。
主なアーシアン一覧
アースノイドとアーシアン
アースノイドとは宇宙世紀における地球に住む権利を持った人間たちで、こちらでは宇宙移民政策を執り行う地球連邦の議会が地球側に存在するため、実質的政治権力をエリート官僚などが独占したため後に様々な軋轢と摩擦を生み出すことになった。もちろん例外的な事例や生活にあえぐ地球市民の描写も存在するのだが、アースノイドという言葉が出てきたときは上記のような意味で語られる。
しかし地球連邦政府は長年に渡り環境保全を名目に資産家や有力者などへ特権的な居住権を与え続けたため過度なエリート主義が台頭し、その実態は腐りつくし、地球生まれじゃないと見れば徹底的に見下すティターンズのような組織を生み出す温床ともなったため、相容れない思想や風土の者たちに絶えず不満を与え続けた。(この傾向はアド・ステラにおいてはスペーシアンの描写に近しい)そして彼らによって半ば強制的に排斥され、「宇宙に捨てられた棄民者」として長年過酷な開発事業を強いられてきたのがスペースノイドである。
一年戦争ぐらいまでのしばらくは豊富な資源や絶対的な利権などで有利な立場であったが、食料生産やエネルギーライフラインの確保などは主に宇宙側の開発によって賄われており、年代が進むにつれて立場は逆転していき、その過程でアースノイドとスペースノイドの対立関係はより一層強くなる。
スペースノイド側が地球に住む者の知識に乏しいために『重力に魂をひかれた者たち』と過激派スペースノイド組織から敵視されて攻撃を受け、スペースノイド全体を憎むようになるという悪循環に陥っている。
未来世紀…上述宇宙世紀に反してこちらは地球側の住民が劣勢。何せ地球全土をガンダムファイト(ガンダム版オリンピック)会場にするため殆どの国が宇宙に移住した世界感なので、どこもかしこも荒廃して荒れ放題。ただし一部ネオ・ホンコンのような自治体が国家として承認されるような事例も存在するが、肝心の国家元首がマフィアだったりキナ臭い風習が拭いきれない。現状、アド・ステラ世界に最も近い構造がこちらと言われている。
ティターンズ、ブルーコスモス…他作品に登場する地球至上主義者の組織。共に反動的な宇宙移民者やコーディネーターを目の敵にして弾圧や虐殺などの過激な行動を取る。スパロボなどで共演した場合は結託し合い、地球側市民から圧倒的な支持を集める。なお彼らと一括りにされて語られがちだが、OZとアロウズは反動勢力狩りこそすれど宇宙移民者に対する露骨な差別はしておらず、構成員にも地球生まれと宇宙生まれが混在する。