概要
いわゆるファンタジー作品には、神話・民間伝承・近現代の創作に由来する様々な種族が登場し、それらの形態・生態、気質や他種族との関係性等はある程度確立されたパターンが存在する。
それらの中でも、オーク(Orc)は『指輪物語』での設定・描写を原型とし、(『D&D』や『Wizardry』などのゲーム作品を経由したものも含め)影響を受けたおーくの作品で「悪の手先」「善良な民草にとっての脅威」として頻繁に起用されている(『指輪物語』以前のオーク像、オークの起源・語源も含め、詳細は『オーク』の記事を参照)。
そもそも論でいえば、「生態そのものが人間とは異なるモンスターに対し「善い・悪い」という評価が適切であるのか」という点は古くから議論の的ではあるが、オークはどちらかと言えば人間に近い種族であり、「一般化されたオーク像」は「人類社会の悪徳の比喩表現」という側面を持つ。
逆に「魔王が統率する魔物の軍勢における最下級構成員」という点を強調し、読者(視聴者・プレイヤー)の感情移入や同情を誘う「憐れむべきオーク像」もそれなりに浸透してはいる。
そのように一般化された悪党としてのオーク像を逆転・脱構築したネタ、及びそれらのネタに登場するキャラクターが「いいオーク」であり、毎年11月9日は「い(1)い(1)オー(0)ク(9)」の語呂合わせで「いいオークの日」とされ、当該のネタが多数投稿されるようになっている。
傾向
ネタのパターンとしては、
- 概ね狂暴な気質の種族であるオークの中で、変わり種として孤立している個体
- 「悪党としてのオーク像」自体が偏見であり、平時においては共存可能な種族
- オークに転生してしまった異世界人
- オークとは別の種族だが、容姿等が原因でオークと誤認されている
等々。
容姿と身体能力は一般的なオークのそれで、魔法の適性は高くないが膂力と頑健さでは人間を上回る。
過去の経験や生来の気質から暴力や争いを好まず、平和を愛し命を尊ぶ。
人間やエルフとも友好的に接することができるが、一般的なオークとの弁別が困難であることから交戦状態に陥ったり、「いわゆる悪徳勇者」のような凶悪な人間に襲撃されることも多い。
なお作品によって扱いは大きく異なるが、「一般化されたオーク像」の中に「人間やエルフの女性を強姦し、醜い容姿と狂暴な気質を受け継いだ半オークを産ませる」という設定がある(そのため、成人向け作品で竿役として起用される機会が多い)。
紳士的」であることがほとんどで、逆に強姦の被害者であるはずの女性側は「オークに対する偏見を振りかざす自意識過剰な人間」や「貞操観念と羞恥心がロストしたスケベエルフ」などが登場し、言葉は通じているのに会話が成り立たず不当に振り回される「いいオーク」は完全な被害者、というのがよくあるパターンとなっている。
「いいオーク」はこの点を逆転し、「(種族を問わず)女性に対してはPS2のRPG『Wizardry BUSIN』には、敵として遭遇するオークとは別にNPCとしてのオークが複数登場。寒々しい情景と悲壮感に満ちたシナリオの中で、オークたちのとぼけたやり取りは一種の癒し要素となっている。
頭はよくないが特定分野をとことん突き詰める根気強さを持ち、主人公(あるいはプレイヤー)の手助けとなることも多い。
続編(ただし舞台は前作の400年前)の『Wizardry BUSIN0』でも同様の待遇で登場し、ヴィガー商店のオーナーから店舗の管理と運営を任されているのはオークの三兄弟。
この商店を最大限に活用するためには主人公自身が社員として就職する必要があり(特にデメリットはない)、さらに六匹のオークからなる探索パーティーをアルバイトとして雇用することになる。
「いいオーク」ネタとは若干意味合いが異なるが、生態が大きく異なる多様な種族が無難に共存している『異種族レビュアーズ』の世界では、オーク党が最大与党になっている(リンク先はR-18なので注意)。