概要
八寒地獄は、仏教における地獄の一つで、大智度論(3世紀頃)にサンスクリット語で書かれている。
六道における地獄は、専ら八大地獄(八熱地獄)について触れられているが、八寒地獄に落ちる条件、苦痛の度合いなどは不明。
また、更に昔の長阿含経に「十地獄」、それぞれ八大地獄に付属する十六地獄に「寒氷(かんぴょう)地獄」があるが、名前などに共通点があるものの、関連は不明。
余談
ナムウィキによると、仏教の発祥地であるインドはサバナ気候や温帯であり、比較的厳しい冬はない為、猛暑や飢餓・渇きの方が、地獄のイメージやモチーフに用い易かったという考察がある。
また炎は、炎によって疫病(病原菌、自然毒など)を洗い清められるという神聖なイメージと共に、落雷などにより山火事が起き、全てを焼き尽くす畏怖の象徴にもなった。
心理的にも炎は怒り、罪業に例えられる事が多い一方、日本や中国のように四季のある中緯度地域では、冬→終のように、冬は物事の終焉に例えられ、死のイメージに近く、寒さは気の枯れ、戦慄、悲しみ、絶望に例えられる事が多い。
十界論において「地獄界」は肉体的・精神的な苦しみを象徴するものであるが、八寒地獄は「身を切るような悲しみ」「涙も凍るような絶望」と言った心理状態を象徴的・拡大的に示しているものと思われる。
また、八寒地獄は八大地獄と共に、死んでも肉体が再生する可能性が高いが、これは人体が温度によって状態変化するというよりも、魂そのものが裁きを受けていると言える。
(故に、絶対零度すら存在しないと思われる。)
更に余談であるが、焦熱地獄(八大地獄の第6)の炎の一部を人間界に持って来ただけでも、世の中の全てを焼き尽くす威力があるそうで、核爆弾のようなものに例えられる。