TRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons)』のこと。
世界最初のRPGであり、現在でもルール定期的にアップデートしながら出版展開が継続している。
母国アメリカではその誕生から現在に至るまでの何十年間も、TRPGの中ではベスト3以内の売り上げを維持し続けている。
通常は英語表記での正式名称である“Dungeones & Dragons”の頭文字を取って省略した言い方である、「D&D(ディー・アンド・ディー)」という表記や言い方の方が多く使われるが、それらの略称表記などに関してもまとめて本項で解説する。
本来はアメリカのTSR社(Tactical Studies Rules, Inc.)から1974年に発表されたTRPGの『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons)』の事を指すが、現在、「D&D」または「ダンジョンズ&ドラゴンズ」と入った場合には、日本のゲーム製作会社CAPCOM社の『ダンジョンズ&ドラゴンズ(タワーオブドゥーム/シャドーオーバーミスタラ)』や、PC版ゲームソフトの『バルダーズ・ゲート(Baldur's Gate)』や『プール・オブ・レイディアンス(Pool of Radiance)』の事を指す場合も多い。
概要と歴史
中世ヨーロッパを舞台にしたウォーシミュレーションゲーム「チェインメイル」を元にして作られた、世界初のRPG。
アメリカ人のゲームデザイナー、ゲイリー・ガイギャックス(Ernest Gary Gygax)とデイブ・アーンソン(David Lance Arneson)の2人によって1974年に発表。ゲイリーが設立したTSR社(Tactical Studies Rules, Inc.)は、1997年にウィザーズ・オブ・ザ・コースト社(Wizards of the Coast)に買収されるまで多くのシリースを発表し、その後のTRPG及びRPGに大きな影響を与え続けている。
日本語版の販売展開は株式会社新和が行ったが、新和社側の苛烈とも言えるほど著作権管理主義や、ファンサイドの声を無視した強引なラインナップ展開などが影響し、2000年頃に倒産。日本語版の展開は一時期、宙に浮いた形となっていたが、アメリカの版元であるTSR社が、『マジック:ザ・ギャザリング』で有名なウィザーズ・オブ・ザ・コースト社に買収される事によって再び動き出し、現在はホビージャパン社が日本語版の『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons)』の販売展開を行う形に落ち着いている。
日本では後発組のTRPGである『ロードス島戦記』や『ソード・ワールドRPG』が影響を強く受けている。もっとも、最初期のロードス島戦記・リプレイはD&Dのシステムで行われていた。初期パーティーが人間4職種(戦士≒騎士、僧侶、魔法使い、盗賊)+エルフ・ドワーフで、「ハーフリング(フォーセリア世界で言う「グラスランナー」)」が後発なのも、前述の版権問題が絡んでいる(と見られる)。
またコンピュータRPGの元祖である『ウィザードリィ』は、このD&Dを当時(1980年代)の性能のPCで再現した物~というコンセンプトで作られている。
2022年6月をもって、日本語版の翻訳と販売を担当するホビージャパンでの取扱い契約期間が終了する(公式アカウントのツイート)。
7月以降は仮に在庫が残ったとしても終売という事になり、ホビージャパン側から案内できる内容は皆無となる。
紹介サイトがどうなるかについては告知されていない。念のため、お試し用の無料ベーシック・ルールダウンロードしておくのが得策と思われる。
2022年12月から日本でもウィザーズ・オブ・ザ・コースト社から発売される。
製品名について
名前の「ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons)」を直訳すると「竜と地下迷宮」となる。
これは発売当初のゲームのコンセプトが、勇者たちが富と名声を求めて地下奥深くに巣くう邪悪なドラゴンを退治しに行くという、西欧おとぎ話風の世界観をモチーフとしていたためであるが、実際にはキャラメイクしたばかりの1レベルキャラクターではドラゴンを倒すことはまず不可能なくらい戦力差がある。
そのため、かなり成長してからでないとドラゴンには挑めない。一方、ダンジョン探索はこのゲームを始めたばかりの人でも気軽に体験できるものであり、「ダンジョン探索からスタートしてドラゴン退治というゴールを目指す」という二つの意味がタイトルには込められているのかも知れない。
『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons 略称D&D)』の名前について混乱を呼びやすいものに、『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ(Advanced Dungeones & Dragons 略称AD&D)』というゲームの存在がある。
「D&D」と「AD&D」は兄弟同士のような存在であるが、現在では「AD&D」は存在しない。
だが現在「D&D」と呼ばれているものの中身は「AD&D」である。
本当に消えたのはかつて「D&D」と呼ばれていたゲームなのだ。
このことでは何がなんだか分からないだろうから、順を追って説明する。
黎明期のD&Dは今とは違ってゲームシステムがこなれておらず、互いに矛盾するようなルール記述が混在していた。
今の基準でいえばクソゲーといっていいようなものであったが、世界最初のRPGなのだから適切なバランスがわかりようがなかったのは仕方ないだろう。
だが、人気を得てより多くのプレイヤーが参加する様になると、こなれていないルールに不満を持つプレイヤーが現れ始め、これらの不満を一掃する名目で、1978年にゲームシステムをシンプルなものに変更した。
一方、ルールのシンプル化に満足できないコアゲーマーのために、上級者向けの『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)という別シリーズが同時に立ち上がった。
以後、単に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)といえば、簡略化したゲームの方を言うことになる。
立ち位置としてはD&Dは入門者向けで、ゲームになれたらAD&Dに移行しようというのが販売元のもくろみだったが、D&DとAD&Dはルールに互換性をもたなかったので、それぞれ別々のゲームとして発展していった。
結果的に、D&Dから入ったゲーマーはAD&Dに移行せずにD&Dをやり続けるケースが続出。そのようなファンのためにD&Dの方に関連商品や追加ルールをいくつも発売していき、入門者向けとは言いがたい有様になっていく。
D&DとAD&Dでファン層が分断することを嫌った販売元は1990年代に入る頃にはD&Dのラインはほぼストップし、AD&Dのみの展開となる。
そしてもうAD&Dのラインしか展開する気がないなら、こちらの方を「D&D」って呼ぶべきじゃね?という声が次第に高まっていき、2000年に発表されたAD&Dの第三版ルールは『ダンジョンズ&ドラゴンズ第三版』というタイトルで発売されることになった。
そして現在『ダンジョンズ&ドラゴンズ』のタイトルで展開されている製品群もこのラインの直系なので、要するにAD&Dの子孫である。
一方、かつて発売されていた簡易版ルールのD&Dは「クラシックD&D」と呼ばれている。
尚、現在までに発表されているPC用のゲームソフトは全てAD&Dおよびその子孫のルールシステムがベースとなっており、クラシックD&Dのシステムを使ったものは公式では存在しない。
>『ダンジョンズ&ドラゴンズ(Dungeones & Dragons)』 - Wikipediaによる解説
>『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ(Advanced Dungeones & Dragons)』 - Wikipediaによる解説
主なシリーズ一覧
TRPG
- クラシック・ダンジョンズ&ドラゴンズ
- アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ
- ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版
- ダンジョンズ&ドラゴンズ第4版
- ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版
PCソフト
- プール・オブ・レイディアンス (Pool of Radiance)
- バルダーズ・ゲート (Baldur's Gate)
PCソフト/オンラインゲーム
- ネヴァーウィンター・ナイツ (Neverwinter Nights)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン (日本語版の運営は2009年9月30日に終了)
アーケードゲーム/コンシューマ移植版
- ダンジョンズ&ドラゴンズ タワーオブドゥーム (Dungeons & Dragons Tower of doom)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ シャドーオーバーミスタラ (Dungeons & Dragons Shadow over Mystara)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ ミスタラ英雄戦記
基本システム
基本的なルールはシンプルで、20面体のサイコロを振って出た目にキャラクターの能力に伴う修正値を足して、大きな数字であるほどにキャラクターにとって有利な結果を得れる、というものである。
20面体ダイスはD&Dのシンボルのようなもので、アメリカのドラマやカートゥーンなどでは登場人物がナード(オタク)であることを表す暗喩として20面体ダイスを小道具として登場させるくらいである。
魔法や武器のダメージ値の決定には、4面体、6面体、8面体、12面体といった多様なダイスを用いる。
また「セービングスロー」と呼ばれる独自の危険回避システムがあり、キャラクターの実際の能力や装備とは関係無く魔法の効果や落とし穴に落ちた時のダメージなどが決定される。
ファンタジーシーンに与えた影響
後発のRPGのみならず、その後の世界中のファンタジーシーンやゲームに大きな影響を与え続けている。
いわゆる「肩アーマー」や「聖職者の武器はメイス」などと言った、RPGでよく使われると思われる物の大部分は、このD&Dのルールブックに記載されていた事柄に由来している物が多い。また多くのファンタジー物の定番キャラとして登場する「オーク」や「エルフ」なども、D&Dのルールブックに記載された表現をそのまま踏襲している物も多い。
関連タグ
【表記揺れ】Dungeons&Dragons D&D DnD
【シリーズ】AD&D
【小説】ドラゴンランス戦記 ムーンシェイサーガ シャドウデイルサーガ ダークエルフ物語
【映画】アウトローたちの誇り
【種族】ドラゴン drow フィーンド ドラゴンボーン HFO
【用語】モンスター(D&D)(更に子記事あり) プルトニウム貨幣
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ゲーム:wizardry
【関連する小ネタ等】鈴木土下座衛門
【その他】
東映アニメーション … 同作の海外アニメシリーズ版(1983年~1985年)の制作を担当
【E.T.】冒頭で子供たちが遊んでいたゲーム。