概要
1956年に公開された実写映画『追想』のリメイク作品ともされており、20世紀フォックスが初めて製作したアニメ作品。
実在の米国市民のアンナ・アンダーソンが、「実はロシア革命によって17歳で殺害されたはずの皇帝ニコライ2世の末娘のアナスタシア皇女ではないか」、というアナスタシア伝説をベースにしている。
第70回アカデミー賞の主題歌賞と音楽賞にノミネートされた。
作画や作風が同年代のディズニー社のものと似ており、日本ではディズニー作品と誤解する人も多い。
ストーリー
時は1916年。ロシア帝国を統治する皇帝・ニコライ2世の第四皇女アナスタシアは、両親や兄弟達と幸せな生活を送っていた。王朝300年を記念する祝賀パーティーの夜、パリから遥々孫達に会いに来た祖母のマリー皇太后から、特注のオルゴールとその鍵になるネックレスをプレゼントされたアナスタシアは、「パリで一緒に」と鍵に刻まれたメッセージに歓喜し、祖母と再会を約束するのだった。
しかしそこへ外法を操る“怪僧”ラスプーチンが出現。嘗て宮廷にて専横を極め、余りの野心を危険視された結果地位を追われた彼は、ニコライとその一家に強い恨みを抱いていた。彼にそう遠くない破滅を予言された一家は、果たしてその通りにロシア革命に遭遇。ロマノフ家の関係者は悉く殺されるか亡命を余儀なくされ、ニコライ一家は革命軍によって処刑されてしまうのであった。一人を除いては…。
革命から10年ほどが経ったロシア。
奇跡的に生き延びたものの記憶喪失の孤児となっていたアナスタシア改めアーニャは、微かな記憶の残滓を頼りに、旧帝都のサンクトペテルブルクへ向かう。
自分を待つ家族がいると信じてフランスのパリを目指すアーニャだが、渡航にはビザが必要だと知り、偽造ビザを作っていた詐欺師のディミトリとウラジミールを紹介され、利害の一致から共に旅立つこととなる。
革命後も一向に改善されない生活苦から、亡命も考えていた二人は、アーニャを行方不明中の「アナスタシア皇女と思われる人物」として仕立て上げ、パリで隠遁生活を送る皇太后に引き合わせ、褒美をせしめる目的があった。
しかし実はディミトリは、過去に宮殿に出入りしていた過去があり、革命時にアナスタシアらを襲ってきたボリシェヴィキから、アナスタシアと祖母を外に避難させた張本人であった。
そして革命のきっかけを作ったラスプーチンが黄泉から復活。王家の生き残りであるアーニャを抹殺するべく、彼の呪いが3人を襲う。
主な登場人物
・アーニャ/アナスタシア皇女
主人公。
革命時に祖母と生き別れとなり、頭を強打したことと惨劇のトラウマから記憶喪失となっていた。
ほんの僅かな記憶を頼りに、紹介された就職先を蹴ってパリへ向かう。
・ディミトリ(英語版ではドミトリー)
CV:石川禅
詐欺師の青年。
少年期は下男として宮殿で働き、アナスタシアの事も間近に見ていた。
道中で徐々にアーニャの正体に気づき始める。
CV:此島愛子
ニコライ2世の母親でアナスタシアの祖母。
革命時はパリに避難できたが、生存の噂が絶えないアナスタシアを多額の報償金を出してまで探し続けていた。
・ウラジミール
詐欺師の中年男性。
革命で地位を失った元貴族であり、その経験を活かして道中でアーニャにダンスや乗馬を教える。
アーニャとディミトリの関係の変化を父親的な立場から見守っていた。
・プーカ
孤児院を出たばかりのアーニャが拾った子犬。
パリへ帯同する事になり特にウラジミールに懐く。
ディミトリには生意気な態度だったが、いざという時にプーカが頼りにするのは彼である。
CV:壤晴彦
本作では本物の魔法使いで、皇帝に失脚させられた恨みから革命の発端となる呪いをかける。
川で水死したと思われていたが、呪いの代償として皇帝一家を全員抹殺するまで成仏できず、辺獄に閉じ込められていた。
・バルトーク
CV:中尾隆聖
ラスプーチンの部下で人語を話す白コウモリ。
10年近くも主人の遺品を守っていたほどの忠誠心はあるが、本人自体は悪人ではない。
アーニャの殺害を企む主人を何度も落ち着かせようとする。
・ソフィー
マリー皇太后の歳の離れたいとこで侍女。
孫探しを半ば諦めていた皇太后に代わって身の回りの世話をする。
ウラジミールとは旧知の仲でそれなりに良好な関係の様子。
楽曲
余談
本作の本編とほとんど関連はしていないが、後年に同じ監督のOVA作品『バルトーク_ザ・マジシャン』が発表されバルトークが主人公となっている。