フェアレディZ
ふぇあれでぃぜっと
概要
1969年より生産販売。
以降日産のスポーツカーの代表格として、2年の中断を挟みながらも50年以上の歴史を誇るロングセラーのFRクーペである。
日本における通称は「Z(ゼット)」。
「フェアレディ」を冠すのは日本国内のみで、輸出向けは「DATSUN」または「NISSAN」の名前が付く。
車名の元になった「fair lady」は貴婦人、「Z」はアルファベットの最後の文字として究極の意味であるとされ、ミュージカルの『マイ・フェア・レディ』に影響された当時の社長が名付けたとされる。
初代S30型
(1969年 - 1978年)
ロングノーズ・ショートデッキスタイルのスポーツカー。
前身の「ダットサン・フェアレディ」と違ってオープンカーではなく、軽量なモノコック・ボディを纏っていた。
搭載されるエンジンは直6・2リッターOHCのL20型と、高性能グレードの「432」用にスカイラインGT-Rと同じ直6・2リッターDOHCのS20型が設定され、1971年には元々輸出用だった直6・2.4リッターOHCのL24型が追加された。
またマイナーチェンジによりオートマチック仕様が登場したり、3ドア4人乗りの車種(2by2)も存在した。
この時代は排気ガスの規制がいくつも行われたため、燃料供給システムをSUキャブレターから電子制御インジェクションへと変更するなど、それに対応した改良を加えられている。
(240ZG)
アメリカで「Z-Car」と呼ばれ、スポーツカーとして空前の大ヒットを記録し、日産はアメリカでの地歩を固めることができた。
L型エンジンはシンプルな実用エンジンを大型化したもので、頑強で乱暴な扱いに耐え、整備しやすく、トルクが太く、アメリカ市場のニーズに合致していた。
240ZGは北米輸出専用であったが、アメリカでの人気を知った日本のファンに向けて日本でも販売されるに至った。
2代目S130型
(1978年 - 1983年)
先代のボディ構造を継承しつつ2代目はやや大き目のサイズとなって登場。
2,000 ccの「200Z」と、2,800 ccの「280Z」の2つのL型・直列6気筒エンジンを設定した。
国産車で初めてTバールーフ仕様車(車の中心にT状のフレームが残る形式のオープンカー)を追加。
オープンタイプは前身のダットサン・フェアレディからフェアレディZに移行されてからは初の生産となり、Z32までこの形式が続くことになる。
第24回東京モーターショーで、アメリカで開催されていたレースSCCAに参戦していた「DATSUN ZX TURBO V-8」を参考出品。
3代目Z31型
(1983年 - 1989年)
(前期型)
(後期型)
ロングノーズ・ショートデッキというZのコンセプトを引き継ぎながら、空力性能を重視してエクステリアをシェイプアップしたモデルである。
キャッチコピーは『比べることの無意味さを教えてあげよう』、『ワルツ・ナイト』、『セラミック・レスポンス』、『SOUL SYNCHRO MACHINE』など。
開発当初からヨーロッパ製の名門スポーツカーを凌ぐ、ハイパフォーマンスの追求を目標に掲げていた。
エンジンは直列6気筒のL型から、新世代V型6気筒エンジンであるSOHCターボのVG20ET (2ℓ) と、VG30ET (3ℓ)(国外向けにはVG30EのNAがある)をそれぞれ全グレードに搭載した。
中でもVG30ETは最高出力が230馬力と当時としては大パワーを誇り、トヨタのスープラに搭載される7M-GTEUが出るまではトップクラスの出力を誇った。
外観では、消灯時にもレンズの一部が露出する「パラレルライズアップ」ヘッドランプの採用が特徴となった。
4代目Z32型
(1989年 - 2000年)
スタイル、パフォーマンスを始めとして、完璧なスーパースポーツカーを目指したモデルとなった。
キャッチコピーは『スポーツカーに乗ろうと思う』。
バブル景気の絶頂期と崩壊、その後の日産の経営悪化のため10年以上という長期に渡り生産されたモデルである。
ヘッドライトは3代目のパラレルライジングタイプから、再び固定式に戻された。
ボディサイズは先代からの5ナンバーから3ナンバーに変更される。
2000年9月に製造を終了し、2002年7月の5代目発売までは一時的に絶版車種となった。
5代目Z33型
(2002年 - 2008年)
車種として2年ぶりの復活となった。この代からはプラットフォームをスカイラインと共用する兄弟車となった。
ボディタイプは2シーターのみで、歴代フェアレディZに設定されていた2by2はV35スカイラインクーペに代替される形で廃止。
搭載するVQ35型エンジンの排気量は3500ccで、最高出力は当初280PSだったが、年次改良を重ねて最終的に313PSまで向上する。
Z32まで製造されたTバールーフ車を代替する形でオープンモデルのフェアレディZロードスターも発売された。
6代目Z34型
(2008年 - 2022年 )
復活後初めてのフルモデルチェンジを行い、変速機、ボディなどをさらに煮詰めた。
エンジンはスカイラインなどでも採用された3700ccのVVELエンジンを搭載し、336PSの出力も可能。
ロードスターモデルも遅れてフルモデルチェンジした。
2022年現在、下記MC版も含め14年以上のロングライフモデルとなっているが、ロードスターは2014年に生産を終了している。
6代目MC版RZ34型
(2022年 - )
2021年9月に新型Zのプロトタイプが発表された。
純ガソリンエンジン車としては、おそらく最後のモデル。
車名ロゴが刷新され、これまでの斜体のNE-01から初代S30型を彷彿とさせる筆記体ロゴに改められた。
型式は6代目と同様のZ34型だが、構成部品の約80%近くが刷新されている。型式変更を行わなかった様々な噂はあったが、『Z34型のマイナーチェンジ』として社内企画を通したことがそもそもの発端だったそう。RZ34の「R」は「Refine」の意。
流石にプロパイロットは装備できなかったが、衝突軽減ブレーキやレーダークルーズコントロールなどの先進安全技術を標準装備しており、「サポカー(セーフティ・サポートカー)Sワイド」指定車種となっている。
本モデルはフルモデルチェンジに近い変更内容だが、あくまでもビッグマイナーチェンジであることに留意。
日本仕様は、2022年1月14日に発表、同年6月下旬に発売。グレードは以下の種類。
6速マニュアル
- フェアレディZ
- フェアレディZ Version S
- フェアレディZ Version ST
- フェアレディZ Version Proto Spec
9速オートマチック(9M-ATx)
- フェアレディZ
- フェアレディZ Version T
- フェアレディZ Version ST
- フェアレディZ Version Proto Spec
240台限定の特別仕様車「Proto Spec」は2022年2月、他は2022年4月から予約開始。