「さあ 海賊狩りだ」
吹替:大塚明夫
概要
『パイレーツ・オブ・カリビアン最後の海賊』に登場する悪役。劇中では一貫して「サラザール」と呼ばれている。
「魔の三角海域」に囚われた生ける亡霊で、幽霊船「サイレント・メアリー号」の艦長。身体は黒く全身ひび割れた灰のような姿で、左後頭部は損壊している。
かつては海軍艦長として活躍し、海賊であればたとえ無抵抗の者や降伏した者であっても容赦なく殺害する冷酷な海賊処刑人と呼ばれ恐れられていたが、部下共々長年魔の海域に囚われ続けた影響からか、現在は海賊であろうとなかろうと魔の海域に迷い込んだ者や邪魔だと判断した者を見境なく襲撃する亡霊と化した。また、襲撃の際に自身の恐ろしさを伝えるために一人だけを「生き証人」として生かす主義を持つ。
過去
生前は戦列艦「サイレント・メアリー号」を操るスペイン海軍の艦長で、父と祖父を海賊に殺された過去から、この世の全ての海賊を滅ぼす海の処刑人(エル・マタドール・デル・マール)として名を轟かせていた。
しかし、若き日のジャック・スパロウの挑発に乗ったことで「魔の三角海域」に誘い込まれ、戦艦の大破により部下共々壊滅した。その後死亡したが、海域の呪いによって部下と共に蘇り、長らく海域に囚われることとなった。
能力
亡霊のため不死身で、鉄格子をすり抜ける、海の上を歩くなど超常的な力を持つ。
しかし、海の呪いによって陸に上がることはできず、無理に上がろうとすると消滅してしまう。生身の人間に憑依することで陸でも活動できるが、一度憑依するとその体に永遠に閉じ込められ二度と元に戻れない。
武器はレイピアで、ジャックを一方的に追い詰めるなど剣術にも長けている。
ただし劇中では部下共々、死霊として得た不死性に頼りきっていた節は否めない。
劇中での活躍
「魔の三角海域」に迷いこんだイギリス海軍船「モナーク号」を襲撃。部下と共に乗組員を惨殺し、ウィル・ターナーの息子=ヘンリー・ターナーを「生き証人」として解放する。
その後、落ちぶれていたジャックが安酒のカタにコンパスを手放したことで海域から解放され、ジャックへの復讐と海賊の殲滅を胸に再び海へと繰り出す。
件のコンパスは持ち主に裏切られると本人にとっての最悪の事態を招く制約を持っていたためであり、言わば本作そのものがジャックの自業自得。
手始めにバルボッサ傘下の海賊船を沈め、本艦「アン女王の復讐号」も制圧。
その際バルボッサと取引を交わして、彼にジャックを見つけてもらい、ゴースト・シャークを使役し追い詰めるも、後一歩のところで岸に逃げられしまい一時断念。
怒りに駆られバルボッサの仲間を次々と殺した末に、自分がジャックを連れてくるという彼の提案を呑むが、始めから逃れるチャンスを狙っていたバルボッサはそのままジャックと共闘を開始。
復活し逃げる「ブラックパール号」との戦闘の末、ヘンリーを攫い彼の肉体に憑依し、「ポセイドンの槍」が眠る「ポセイドンの墓」へと赴く。
ジャック達を襲撃し槍を手に入れるも、槍こそが呪いの根源だと気付いたヘンリーによって槍を破壊され、呪いが解け生身の人間に戻る。
それと同時に左右に割れた海がもとに戻ろうとする中、海に呑まれる部下を見捨て錨で引き揚げられるジャック達を執念で追い詰めるも、最期はバルボッサの捨て身の攻撃により錨から転落し、海の底へ沈んでいった。
余談
ハビエル・バルデム氏は前作「生命の泉」で出演したアンジェリカ役ペネロペ・クルスの実夫である。ちなみに、この際黒ひげ役にも抜擢されていたらしい。
また、サラザールの吹替を演じた大塚明夫氏も「ONEPIECE」で黒ひげ役を演じている。
ハビエル氏曰く、生前のサラザールは海賊撲滅を図る「闘牛士」で、亡霊のサラザールは「傷ついた闘牛」をイメージしたらしい。
ちなみに生前の過激さと亡霊になった後の見境なさから勘違いされやすいが彼は決して悪人というわけではない降伏した者さえも捕らえずに皆殺しにする姿勢は確かに軍人としては問題があるが、海賊を殲滅する行為自体は悪行ではない。亡霊となってからは海賊ではない者にまで襲いかかって殺害しているがこれは死亡した後に成仏もできずに魔の海域に閉じ込められ続けた影響なので彼自身が悪人だという根拠にはならない。海賊と海軍の立場故に本来ならこんな説明すら必要ない常識だが、実際には劇中でヒーローのように描写されている若い頃のジャックの方が悪者なのである。
関連タグ
マーシャル・D・ティーチ:上記の通り大塚明夫氏が声優を担当している。
赤犬:ONEPIECEの登場人物。同じく「海賊は徹底的に殲滅するべき」という過激な思想を掲げる海軍側の高官。