闘牛士
とうぎゅうし
スペイン等で人対牛の構図で行われる闘牛は、牛の突撃をかわしながら華麗に仕留めることを目的とした競技であり、それに携わる職業を闘牛士と呼ぶ。
牛の突撃をかわすのに失敗すると死の危険があるため、基本的に男性の職業であり、女性の闘牛士の数は少ない。
命の危険はあるが、成功すれば莫大な金と名誉が得られるため、スペインにおける闘牛士は、タイにおけるムエタイ選手のような貧困層の成り上がりルートであった。1960年代に活躍した闘牛士のエル・コルドベスは、母親代わりだった姉に闘牛士になる決意を伝えた際、「家を建ててあげられるか、喪服を着せることになるかのどちらかだ」と言ったという。
スペイン語で闘牛士全般を指す単語は「トレロ」である。
闘牛士の世界は階級制になっていて、最高位のマタドールの地位を得るのは、闘牛士全体の1割程度の選ばれた人たちである。
マタドール
冒頭のイラストのような豪華な衣装をまとった闘牛における主役。スペイン語の「マタール(殺す)」に由来し、文字どおり、最終的には相対した牛を殺してしまう。
冒頭のイラストのような女性のマタドール(スペイン語における「マタドール」の女性形は「マタドーラ」)は極めてめずらしい存在であるが、スペインには金髪のお姉さんのマタドールが実際にいたことがある。
パンテリジェーロとピカドールによって傷つけられた牛の正面に対峙、ムレータと呼ばれる持ち手の棒が入った布で牛を翻弄し、牛の隙が多くなってきた頃合いを見計らってエストックと呼ばれる剣でとどめを刺す。使われるエストックは、もちろん真剣である。
最後のとどめの一撃をエストックの一突きで決めるなど、特に華麗な仕留め方をしたマタドールには、観客のアピールをもとに興行主から仕留めた牛の耳が贈られ、獲得した牛の耳の数はマタドールとしての腕前の評価の基準になっている。これがほんとの「牛耳る」。
バンデリジェーロ
マタドールの補佐役。カポーテと呼ばれる布を使って牛をピカデーロの近くへ誘導、ピカドールが槍で刺した後、銛を打つ。
マタドールが牛の突撃をかわしきれずに突かれた際には、出ていって牛を引き離して救出するのもバンデリジェーロの役割である。
ピカドール
バンデリジェーロが誘導してきた牛を馬上から槍で刺して弱らせる。
分かりやすさを重視するためか自身が牛の角を生やされる事もある。
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