概要
『逆転裁判』(成歩堂編)のメインキャラクターの1人。『逆転裁判2』第2話『再会、そして逆転』で初登場。当時の年齢は8歳。身長125cm。『2』に登場した若い女性キャラ限定で3サイズが設定されているが、まだ幼い春美は代わりとして「成績表」が公表された。国語5・算数3・理科4。
『倉院流霊媒道』の使い手の霊媒師一族・綾里家の出身者。綾里一族の族長に当たる、現在の『倉院流霊媒道』の家元・綾里舞子の姪で、舞子の姉である綾里キミ子を母に持つ。舞子の2人の娘・綾里千尋、綾里真宵とは従姉妹同士。10歳上の真宵と20歳上の千尋からは「はみちゃん」と呼ばれて可愛がられている。
『浦島太郎』のヒロイン乙姫の様な2輪状に結った髪を、紫の数珠の髪止めで纏め上げている。真宵と同じ綾里家の装束を身に纏っているが、成人前後用で濃い紫の羽織りを着用する真宵に対して、年少者用の薄紫の羽織りを着用する。アニメ版では度々、紫の風呂敷に何かを入れて持ち歩いているシーンが描かれている。
『再会、そして逆転』での殺人事件で「被告人となった真宵を救うという目的の一致」から主人公・成歩堂龍一と初対面し、真宵に次いで弁護士を務める彼の助手に加わった。それ以降は真宵と分担して千尋の霊媒を行いながら、成歩堂の補佐を担って協力し、多くの事件解決に貢献する。彼に真宵を通じて託された勾玉に霊力を込めて、サイコ・ロックの力を利用出来る様にしてくれたのも春美である。
真宵とは本当の姉妹の様に仲睦まじい。反面、千尋が弁護士を目指して18歳で『倉院の里』を去ってから春美は誕生しているので、千尋とは会った事もほぼ無い為、彼女の事はよく知らない。綾里家の風習では家元一家だけが「本家」と呼ばれ、それ以外の一族の者達は「分家」と呼ばれて、本家の人間達に従属する事が定められている。将来は母の舞子から家元を継承する事が確定している真宵は本家に属し、霊能力を持たない母のキミ子と共に春美は分家に属している。その様な身分の差や一族の薄暗い背景を感じさせない程、真宵と春美は綾里家の風習には囚われていない、家族同然の絆を築いている。
母子家庭育ちなのは千尋と真宵と共通しているが、2人の母の舞子は夫婦円満で幸福な家庭を築き、真宵の幼い頃に夫と死別するまで連れ添った。そんな妹一家に対して、キミ子は優れた霊力を持った娘・春美が生まれるやいなや「お役御免」とばかりに、彼女の父親に当たる夫とは離婚している。この生い立ち故に春美は父の事を覚えておらず、唯一の家族に当たる母にも素直に甘えられない家庭環境にいる反動もあってか、健全な形で自分を妹代わりとして可愛がってくれる真宵を心から慕い、分家から本家に向ける敬意を持ち併せつつ、姉同然の存在として見ている。
純真無垢な心を持った少女で、まだ幼いながらも「天才的霊力の持ち主」との呼び声も高い。母キミ子からは優秀な霊媒師となる様、厳しい英才教育を施されていると同時に、箱入り娘として溺愛されている。こうした教育環境の影響により、小学生の少女とは思えない程、礼儀正しく落ち着いた性格、古風で丁寧な言葉遣いの持ち主に育っている。純粋な心を持った少女なのは同じだが、元気一杯な真宵とは対照的に温和な気質。キミ子からは厳しい躾や修行を科される事も多いが、並行して溺愛もされている為、母には非常に懐いている。彼女の為を思い、如何なる修行にも耐えた上で「お母様はいつだって優しくて大好きです!」と嬉々として発言した事もある。
独自の教育方針から「娘には俗世間の汚れを知らないままでいて欲しい」と願う母に「なるべく故郷『倉院の里』を離れない様に」と厳しく言い付けられている事に加え、まだ幼い為に真宵以上に俗世間には疎い。しばしば天然ボケ娘の真宵から間違った知識を教わる場面も見られる。サーカスや電車の存在も知らなかったり、弁護士を始め最後が「し」で終わる名前の職業全般を「霊媒師と何らかの関係がある」と思い込んでいた時もあった。テレビは見ていて『世界子ども名作劇場』というアニメがお気に入り。
普段は基本的には穏やかで心優しい少女だが、歳の割にませている上、非常に思い込みが激しい一面があり、特に恋愛方面となると発言と行動が過激化し、時として暴力的にもなる傾向にある。幼い少女らしく「恋に恋する側面」もある模様。前述の通り、夫婦愛の欠落した家庭に生まれ育った身の上だが、これは春美に限った話ではない。先祖代々、綾里一族の霊能力は女性にのみ受け継がれ、一族の女性全体が霊媒師を生業としている為、完全なる閉鎖的な女性優位社会が形成されている。それ故に必然的に隅に追いやられる男性陣と一族の女性陣の仲は拗れる事が多く、最終的には夫婦関係が破綻する事例も枚挙に暇が無い。自分の両親も含む「綾里一族の歴代夫婦の離婚」を数多く見届けて来た立場だからこそ、春美は「大好きな真宵には絶対に幸福な恋愛をして欲しい。彼女に相応しい相手は成歩堂しかいない。2人は既に恋人同士である」と誰よりも激しく思い込んでいる。事あるごとに成歩堂にもっと積極的にアプローチする様に迫っている。また、成歩堂が真宵以外の女性と仲良くしている所を見かけると、怒ってビンタで張り倒す事さえある。
なお、里での精進料理中心の食生活が影響しているのか、ベジタリアンであり肉は食べない。また、裁縫は得意だが図工は苦手である。『倉院の壺』が割れた時、直そうとしても歪な形になってしまった程(壺の「供子」の文字もひっくり返り「子供」になってしまった)。
「霊力が10歳年上の真宵より優れている」と言われていて、霊力の強さで真宵から家元の座を奪える可能性もある模様。ただ本家と分家では霊力の強さだけで家元は決められないかもしれないが。
(本家の姉妹間では霊力の高さだったり、姉が里を出たりでよく妹が家元になっている)
だが春美がまだ子供である事に加えて、真宵を実の姉の様に慕っている事もあり、そういった自覚は特にない。
真宵より上と言われる霊力だが、
・春美が霊媒している霊を後から極限状態の真宵が霊媒し引きはがした。
・真宵が霊媒している霊を後から春美が霊媒したが霊媒できなかった。
といった事もあり、真宵の方が潜在能力が上と思しき描写も散見される(真宵はどちらも命の危機だった為の一時的なものかもしれない)
勾玉に霊力を込めるのは真宵にはできない様なので、霊媒だけが霊力の在り方でもなさそう。
また3では「誰かが呼んでいる霊を呼ぶことはできない」とのことだが、
上記から「同時に同じ霊を霊媒すると霊力が高い者に霊が降りる」可能性が高い。
基本的に目上の人間に対し、礼儀正しい子だが、立場上、真宵を助ける時に敵対した狩魔冥の事は「真宵様をいじめた」という理由から面と向かって嫌いであると言い放った事もある(冥の方からは「お嬢ちゃん」と呼んでいたりと、特に春美に対する悪印象はないのだが‥‥)。
しかしアニメ版の方では「さらば、逆転」において冥が撃たれて負傷した知らせを聞いて「ムチの検事さんは大丈夫でしょうか‥‥?」と心配する様子を見せたり「華麗なる逆転」では前述の該当する場面がカットされ、最終話ラストシーンでは葉桜院に残っていた春美が冥によって裁判所に連れ出されていたりと、ゲームと違い冥を嫌ってはいないと思われる。
『逆転裁判4』や『逆転検事』シリーズは未登場だったが、『逆転裁判5』に登場する。(厳密には『検事1』ではナルホドや真宵と共に背景出演している。)
『5』は『逆転裁判3』から8年後が舞台なので、年齢は17歳となる。
オシャレのつもりなのか、真宵のような紫の玉(?)を左の髪に付けている。
法廷爆破のニュースを聞き、修業で里を離れられない真宵の代わりに事務所の掃除のために訪れた。
色々とショックな出来事があって意気消沈していた成歩堂も、春美の笑顔と彼女が持ってきた真宵の手紙で元気づけられた。
実は『逆転裁判4』の本編が開始する前から成歩堂なんでも事務所を出入りしていたらしく成歩堂みぬきの面倒を見たり事務所の掃除を行っていたらしい。
続編の『逆転裁判6』では、ドゥルクと共に『倉院の里』を訪れた王泥喜法介を出迎えたほか、里中で傍迷惑な選挙活動を行う清木まさはるにウンザリした様子を見せていた。
なお『5』以降は高校生なのだが、身長が140㎝しかないことをかなり気にしている。『6』のダウンロードコンテンツ『遊べる!逆転劇場 成歩堂編』では、(諸事情はあれど)最初「自分の身長は148㎝である」と8㎝もサバを読んでいた。
演じた声優・俳優一覧
佐伯美由紀 | 『逆転裁判5』 |
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豊崎愛生 | 『CR逆転裁判』 |
久野美咲(※) | テレビアニメ『逆転裁判〜その「真実」、異議あり!〜』 |
漆原志優 | 舞台『逆転裁判2 〜さらば、逆転〜」』 |
髙野友那 | 舞台『逆転裁判2 〜さらば、逆転〜」』 |
(※)『大逆転裁判』および『大逆転裁判2』でアイリス・ワトソンの声を担当している。
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以下ネタバレあり
まだ見ぬ姉
春美は自分が「ひとりっ子」だと語っていたが、実は16歳年上の双子・美柳ちなみと葉桜院あやめという異父姉がいる。事実、ちなみ・あやめ姉妹と春美は顔立ちがよく似ている。双子の異父姉たちはDL6号事件がきっかけで綾里家の権威が落ちた際に、宝石商の父と共に出て行った為、春美は異父姉たちの存在を知らずにいた。なお、春美の父親もキミ子と離婚し『倉院の里』を出て行っている。
アニメ版では裁判の傍聴により姉が居ることを知ることになった彼女の表情は悲しみと苦しみが入り交じった感じで描かれた。
母キミ子は自分が妹の舞子に霊力が劣っていたことで家元になれなかった事から、自分の娘を家元にすることだけに固執していた。キミ子は春美を可愛がってはいるが、それは霊力の高さという才能を愛していた為であり、霊力に恵まれなかったちなみとあやめには冷たく関心を抱くことはなかったらしい。
後に異父姉のあやめとは再会するものの、2人が姉妹として接することはなかった様子。春美にとって姉と呼べるのは、あくまでも従姉の真宵だけだった。