概要
レシプロエンジンのシリンダー(気筒)の配置レイアウトの一つ。略して直4とも。
乗用車用としては、最もオーソドックスなエンジン形式である。他の1~5気筒までの直列エンジンと異なり、エンジン全体が動く「みそすり運動」(偶力振動)が発生しないスムーズなエンジンであり、中小排気量ではスムーズさ・コンパクトさ・コストの低さを鼎立できるため、バランスが良い。
またターボチャージャーを採用してコストを十分に掛けることで、スーパーカーに匹敵する出力を得ることも可能で、古くから現在までレーシングカーでも頻繁に用いられている。
フォード・モデルTからトヨタ・カローラやフォルクスワーゲン・ゴルフ(いずれも初代〜現行まで)まで、大衆車のパワートレーンといえば多くがこれである。
長らく振動の問題(高出力化に伴う二次振動の増加)の影響から高級車向けではないとされてきたが、近年はトヨタ・クラウンや日産・スカイライン、シボレー・カマロやフォード・マスタングといった高級セダン・スポーツカーでも、ターボ付きでの直列4気筒の採用が見られる。
ただ一方で近年は小型車向けとしてはダウンサイジングの流れの中で直列3気筒+ターボの採用がトレンドとなっており、直4自体も領域を侵食されている状況にある。
直3が主流の軽自動車でも1990年代に直4が流行し、特にEN07エンジンは「クローバー4」の愛称で親しまれたが、スバルの軽撤退に伴い、2012年に廃盤となった。三菱のパジェロミニ、ダイハツのコペンでも直4の採用があったが、いずれもディスコンとなっている。
バイクでは比較的大型のモデルを中心にパワー特性と製造コストの兼ね合いから広く用いられる。代表的な例としては、MotoGPやスーパーバイクのような、時速350kmもの超高速バトルを行うサーキットレース用マシン及びその市販版では、1リッター近い排気量の直列4気筒が主流である。
また小排気量の直列4気筒は甲高いサウンドから人気があり、一時は排ガス規制対応と採算の問題から絶滅していたものの、最近カワサキがZX-25Rで復活させて話題となった。