概要
レシプロエンジンのシリンダー(気筒)の配置レイアウトの一つ。略して直4とも。
他の1~5気筒までの直列エンジンと異なり、エンジン全体が動く「みそすり運動」(偶力振動)が発生しない比較的スムーズなエンジンであり、中小排気量の乗用車には古くからよく使われてきた。
トラック等の大型車では、1気筒あたり1,000ccを超える大排気量の直4ディーゼルエンジンも使用されている。
四輪車における直4
乗用車用としては、最もオーソドックスなエンジン形式である。中小排気量では他の気筒数に比べてスムーズさ・コンパクトさ・コストの低さ・そこそこの出力が出せるなど各メリットを含めてバランスが良い。フォード・モデルTからトヨタ・カローラやフォルクスワーゲン・ゴルフ(いずれも初代〜現行まで)まで、大衆車のパワートレーンといえば多くがこれである。
またターボチャージャーを採用してコストを十分に掛けることで、スーパーカーに匹敵する大出力を得ることも可能で、古くから現在までトップレベルのレーシングカーでも頻繁に用いられている。
現代のWRCでは300〜400馬力、SUPER GT GT500クラス/スーパーフォーミュラでは500〜600馬力に達している。
長らく振動の問題(高出力化に伴う二次振動の増加)の影響から高級車向けではないとされてきたが、近年は燃費規制の厳しさからトヨタ・クラウンや日産・スカイライン、シボレー・カマロやフォード・マスタングといったV8エンジンが搭載されていたはずの高級セダン・スポーツカーでも、ターボやハイブリッドを併用した上での直列4気筒の採用が見られる。
ハイブリッドシステムの普及により、静粛性と高出力を維持したまま燃費を改善できるようになったのも直列4気筒には追い風で、現行のクラウンは全て直列4気筒に切り替えられている。
一方でダウンサイジングの流れの中で、小型車では直列3気筒の採用がトレンドとなっており、直4の領域を侵食している。
直3が主流の軽自動車でも1990年代に直4が流行し、特にEN07エンジンは「クローバー4」の愛称で親しまれたが、スバルの軽撤退に伴い、2012年に廃盤となった。三菱のパジェロミニ、ダイハツのコペンでも直4の採用があったが、いずれもディスコンとなっている。
二輪車における直4
バイクでは、比較的大型のモデルを中心にパワー特性と趣味性、製造コストの兼ね合いから広く用いられる。代表的な例としてはホンダのCB1300SFやCB400SF、カワサキのZX-12R、スズキのGSX1300Rなどがある。
MotoGPやスーパーバイクのような、時速350kmもの超高速バトルを行うサーキットレース用マシン及びその市販版では、1リッター近い排気量の直列4気筒が主流である。
また250cc程度の小排気量の直列4気筒は甲高いサウンドから人気があり、一時は排ガス規制対応と採算の問題から絶滅していたものの、最近カワサキがZX-25Rで復活させて話題となった。
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