人物
ユーロ・ブリタニアの四大騎士団の一つ、聖ミカエル騎士団に所属する騎士。長い青髪が特徴。日向アキトの生き別れた異父兄。
一見すると誉れ高く優美な騎士の風貌をした青年。しかしその内面は、世界の混乱と崩壊を渇望し、その覇道の途上に立ちはだかる者の命を奪うことに躊躇すらしない冷血な人物である。
鋭敏な知性と洞察力を備えており、わずかな期間でジュリアス・キングスレイがゼロ、そしてルルーシュ・ヴィ・ブリタニアであることも見抜いた。
作中においては、兄同然であった人物や許嫁、継母にすら手をかけるため血も涙もない非情な人物のようにみえる。しかしそれは救いのない絶望的なこの世界から愛する人を救済したいという歪んだ思いからの行動であり、愛しき者たちへの想いはとても深い。
日系人でその事を公表しているにもかかわらず、ブリタニア貴族であるシャイング家に養子入りし、その一人娘であり義妹でもあるアリス・シャイングとの婚約により次期当主となり、聖ミカエル騎士団の副総帥に就いているなど、日本人への風当たりが強いブリタニアでは枢木スザク同様非常に稀有な存在。
搭乗するKMFは元ラウンズであるミケーレ・マンフレディの機体ヴェルキンゲトリクス。
ギアス能力
「愛する者に死を命じる」ギアス能力者。幼少期に実父を斬殺した場で、不老不死のコードが刻まれた髑髏と契約したことで発現した能力。しかし、正規の契約ではなく実父から契約を奪うというイレギュラーな形で結ばれたため、「愛する人を狂った世界から救済したい」という願いが「救済=死」という歪んだ形を以て発現した。ゆえに、
- シン自身が対象を愛していなければかからない
- 対象が「死」という概念を理解していなければその場で自死しない（しかし無意識に干渉する「呪い」という形で対象者には残る）
- 自殺や無理心中など過程はある程度操作できるが、死ぬという結果は変わらない
など、後から検証しづらい制約が多いことから、シン自身もその能力の全貌を把握しきれておらず、”相手に自死を命ずる能力”と思っていた。そのため、劇中、レイラ・マルカルにギアスで自死を命じた時は不発に終わっている。
使用時には左目にギアスの印が表れ、最終的にはギアスは彼の右目にも表れるようになった。
彼の弟アキトはギアスで死ぬことを命じられたが、当時の彼は死を理解するにはあまりにも幼かったため自死には至らず生き残った。しかし、シンのギアスはアキトの潜在意識に残存し、ルルーシュがスザクに用いた「生きろ」と命じるギアスのように、戦闘など死と隣り合わせの状況下においてアキトに影響を与えてくる。このギアスは、wZERO部隊が用いるニューロデバイスのブレイン・レイドを通じて、他の隊員にも作用する。シンはアキトが近くにいるとき、彼の命令が再活性化することを察知しているような素振りを見せている。最終的にアキトは呪いのように強制力の強いシンのギアスに打ち克っている。
経歴
彼が10歳の時、実父を斬殺したのち、母やアキトを含めた一族及び彼らに仕えていた者達にギアスをかけて皆殺しにした過去を持つ。しかし、この事件ではまだ幼かったアキトだけが「死」の概念を理解していなかったことから生き残った。その後、二人は生き別れ、別々に育つことになる。
そして、浮浪児として生き、ユーロ・ブリタニアの騎士を剣術で負かしたことで、その腕を見込んだミケーレ・マンフレディに拾われる。彼の後押しを受けてミカエル騎士団への入団及びシャイング家に養子として迎えられることでユーロ・ブリタニアでの地位を獲得していった。
アキトが“ハンニバルの亡霊”として、戦域内のユーロ・ブリタニア軍を撃退したナルヴァの戦いの後、聖ミカエル騎士団が招聘され、シンはその総帥マンフレディと面会する。マンフレディとの関係は極めて良好であったが、それゆえにギアスの効果が現れる状態となっており、マンフレディを能力で自害させる。
ユーロ・ブリタニアの首都サンクトペテルブルクで、ユーロ・ブリタニアの指導者たちによって聖ミカエル騎士団の総帥に叙されたシンはブリタニアのためE.U.の撃破と征服を誓うと宣言する。しかし、ミケーレと旧知の間柄で、彼の自殺に疑惑を抱いているアンドレア・ファルネーゼからは不信感を抱かれることとなる。のちにシンはスロニムの戦いを指揮し、そこでアシュレイ・アシュラ率いる攻撃部隊が、E.U.軍の先鋒であるwZERO部隊と干戈を交える様を目撃する。シンは戦闘に参加しているアキトと再会する。彼が生き残っていたこと、E.U.の兵士になっていることに驚きつつもシンはアキトに同行を求める。しかし、佐山リョウの乱入によって未遂に終わる。シンは妨害されたことに憤るが、再び出会うことを確信しながら戦線から撤退する。
シンはジュリアス・キングスレイがユーロ・ブリタニアの全権を掌握するとそれに乗じて彼に接近する。そして、ジュリアスがE.U.に対し始動した「方舟の船団」計画から、彼がゼロであることを見抜き、記憶との狭間で混乱した様子から第11皇子ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアであることことにも気付く。 スザクはシンの暗殺を試みるが、ジャン・ロウとミカエル騎士団による妨害及びシンがジュリアスに銃口を向けたことで降伏し、ジュリアスともに幽閉させられる。
その後、シンは大貴族会議でジュリアスがゼロであったことを告げ、ユーロ・ブリタニアが生き残るためにはE.U.とブリタニア本国の双方を相手に戦争をせねばならぬと宣言した。更に聖ガブリエル騎士団のゴドフロア・ド・ヴィヨンと聖ウリエル騎士団のレーモンド・ド・サンジルを殺害し彼らの生首を晒し、シンは大公の執政権と大貴族会議全権の委譲を求める強行に出る。そして、義妹であり許嫁であるアリス・シャイングと継母であるマリア・シャイングをこれから混沌へと陥る世界から救済するためにギアスを発動させ自死させる。一方、聖ラファエル騎士団総帥アンドレア・ファルネーゼは聖ミカエル騎士団の襲撃を辛くも逃れ、マンフレディがシンに殺されたことを確信した。
ユーロ・ブリタニアの全権を掌握したシンはバイスボルフ城を包囲、ヴェルキンゲトリクスに搭乗して外部の防備を圧倒し、地雷原を突破するが、wZERO部隊が設置した強化防壁に阻止される。クラウス・ウォリックを介してレイラ・マルカルと接触し、彼女に真の目的、wZERO部隊の新兵器「アポロンの馬車」でペンドラゴンを攻撃し、皇帝を弑逆することで3大国間の大戦を引き起こそうとしていることを明かす。
シンはレイラに自死のギアスを発動させようとするが、彼女はシンにとっての愛すべきものではなかったため不発に終わる。シンはレイラとウォリックを殺そうとするが、wZERO部隊の到着と、そのパイロットたちによって妨害される。シンはギアスを通じてアキトにレイラを殺させようとするが、アキトの彼女への想いが勝り、またもや不発に終わり自軍陣営まで撤退する。
その後、ユーロ・ブリタニアの騎士を捨て駒同然に扱いながらバイスボルフ城を防壁を突破し、アキトのアレクサンダと対峙する。激しい戦闘の最中シンのギアスがBRSと呼応し、二機は現実世界から姿を消してしまう。二人は次元を超えた世界で、シンが世界に絶望しギアスの能力を得るまでの記憶を見ることとなる。
アキトが生まれた日、皆が祝福する中でシンはアキトの本当の父に気付いていた。そして、アキトの父を殺害し、妻の裏切りを取るに足らぬものと断じる父の姿、そんな状況下でなお彼にすがろうとする母の姿を目にし幼いシンは世界に絶望する。その後、父の首をはね、コードの印が刻まれた髑髏と契約し孤独な生すら顧みない覚悟でギアスを得たのであった。
現実世界に戻ったアレクサンダとヴェルキンゲトリクスの激闘は続くが、二機は戦闘不能になり二人は刀を手に戦う。愛する弟を殺す事を自らの運命とするシンの前にマンフレディが、マリアとアリスが現れその間違いを諭し、世界と人の可能性を伝える。更にナルヴァで戦死したパイロット達や母、「wZERO」の仲間達がシンの前に現れるが、シンはそれら全てを振り払いアキトを殺そうとする。だが、間にジャンが入り、その刀に貫かれると同時にシンを撃つ。もう苦しんで欲しくない想いと愛を告げ、ジャンは倒れる。致命傷を負ったシンもレイラのギアスの共鳴でアキトと過ごした幼い日と共に確かにアキトを愛していることを思い出した。そして、シンはアキトに生き続けるように告げ、愛するジャンを本来の名であるジャンヌと呼び息を引き取る。
ナイトメアフレーム
搭乗機はマンフレディ専用のKMFであったヴェルキンゲトリクス。
人間関係
アキトとは異父兄弟で、アキトの誕生の際、シンは彼らの父親が別であることを感じ取っていた。しかし、そうであってもアキトを大切に想っていた。シンにとっては世界は歪んでおり、純粋な弟が生きていくのは過酷であるという理由で、自死のギアスによって彼を救済をしようとした。シンが一族をギアスで自死させた後、唯一その場に居合わせてなかった使用人（アキトが生まれたことをシンに伝えた老人）にアキトを託す。最期にシンはアキトが孤独ではないと知り、彼を殺す考えを棄て、生きるよう伝える。
シンの忠実な副官で、アシュレイ・アシュラ同様孤児であったところをシンに拾われる。シンに対して部下としての忠誠心だけではなく一人の女性としての恋慕も抱いている。シンもまた彼女を一人の女性として愛していた。
シンの部下でアシュラ隊を率いる青年。孤児で狼に育てられていたところをシンに拾われる。シンとの出会いはジャンと全く同じ経緯であるが、時限爆弾を積んだ飛行船に乗せられるなど彼からは捨て駒のように扱われていた。
聖ミカエル騎士団長でかつて孤児であったシンを拾い自身の騎士として育て上げ、シャイング家の養子に入るように取り計らった人物。シンを実の弟のように想っており、自身が騎士団長を退いた後はシンに後を継がせるつもりでいたが、彼の自死のギアスによって首を切り自害させられる。シンは彼に”兄弟”のように想っていると告げられたことで過去の出来事を思い出し「反吐が出る」と返したが、ギアスが発動したためシンもまた彼を慕っていたことがわかる。
シャイング家の長女であり、シンの義理の妹で許嫁。彼女はシンを許婚として純粋に慕い、シンも深く愛していた。シンの自死のギアスによって母マリア・シャイングとお互いに刺し合う形で命を落とす。
アリスの母でありシンの継母。養子であるシンを我が子のように気にかけていた。シンの自死のギアスによって娘のアリス・シャイングとお互いに刺し合う形で命を落とす。
トリビア
シンの幼年時代を演じた皆川純子氏は、同シリーズ内でコーネリア・リ・ブリタニアを演じている。
関連イラスト
関連タグ
関連人物
日向アキト……生き別れの実弟
ジャン・ロウ……副官
アシュレイ・アシュラ……部下
マクギリス・ファリド:「孤児であったが良家に養子入りする」「幼女の許嫁がいる」「所属組織の転覆を目論んでいる」「愛する者をその手にかけ、愛する者に銃撃され死を迎える」など共通点が非常に多い。また中の人は枢木スザクを演じており、こちらでも因縁がある者同士となっている。
ちなみにシンはガエリオ・ボードウィンと中の人が同じであり、人馬形態への可変機構を持つ乗機というのも共通している。
