概要
首都はベイルート、公用語はアラビア語。正式国名はアル=ジュムフーリーヤ・アッ=ルブナーニーヤ。国旗の中央描かれているのはレバノン杉。
文化的には中東文化を基本に地中海諸国と近い面もみられる。主な産業は金融業、観光など。
キリスト教のマロン派が多いが、イスラム教徒のスンニ派やシーア派、ドゥルーズ派など18の宗派が混在、そのため宗教対立による内戦や衝突が度々発生。俗に生きた宗教博物館と呼ばれる。
歴史
古代
フェニキア人の海洋拠点だった。旧約聖書にもソロモン王が外交している描写が見受けられる。
アッシリア、新バビロニア、ペルシア帝国、アレクサンドロス帝国、セレウコス朝シリアの支配の後ローマ領となる。ビザンツ帝国が衰えてイスラーム化してからは住民の多くはアラブ系となったが、古来キリスト教徒(マロン派)も多い。
成立
第一次世界大戦後、オスマン帝国の支配から解放されたが、セーヴル条約でフランスの委任統治領のシリアの一部とされた。
1941年にフランスはキリスト教徒を保護する名目でシリアから分離させ、1943年にレバノンとして独立。シリアからの独立に際して、有力宗派間で国民協約を締結。それは、フランス委任統治下の1932年の人口統計に基づき、大統領はキリスト教マロン派から、首相はスンナ派から、国会議長はシーア派からだすこととし、国会議員の議席割合もキリスト教徒とムスリムが6:5に規定されてバランスをとることとなった。これを「宗派主義制度」といわれ、事実上、キリスト教徒に有利な取り決めであった。
フランス風の美しい建築が立ち並ぶベイルートの都は「中東のパリ」と呼ばれ、中東における金融と観光の中心となる。
内戦
中東戦争のために南部にアラブゲリラの基地を建設した結果、1975年からパレスチナ系をはじめとする多数のテロリストが跋扈する有様となり、PLO絡みの件でイスラエルからも侵攻を受ける等した結果、元々の宗教対立にも飛び火し内戦状態に。国土の大部分はこの全土を巻き込んだ内戦で破壊されてしまう。
停戦
1990年に停戦合意が成立。激しい内戦を起こした宗派対立を緩和するために、大統領、首相、国会議長をそれぞれマロン派、スンニ派、シーア派がポストを分け合って権力の抑制と均等を図るのが慣例となった。だが、逆に宗派の壁を越えた政治的取引と離合集散を活発化させ、深刻な縁故主義や政治腐敗を引き起こす温床にもなっている。そのため国家元首である大統領が不在、閣僚評議会議長が代行している。
近況
内戦により疲弊していた経済にCOVID-19が追い打ちをかけ、さらに2020年には港で爆発事故が発生するなど安定には程遠い。
2023年10月7日に発生したイスラエル・ハマス戦争に於いては、レバノンの軍事組織ヒズボラが参戦。2024年8月にはイスラエルとの緊張が高まり、日本の外務省は全域に即時退避を発令。
関連タグ
- カルロスゴーン:両親がレバノン国籍。本人も密入国するが、件の爆発事故で家が焼失している。
参考
- 世界史の窓