「でも確かに…今の俺には富も名声もある。」
「それでみんなが寄って来てくれるから、自信も持てそうだよ。」
概要
全国規模の影響力を誇る巨大企業東山グループの創業者で会長、東山慶三の嫡男。ただし、正式な結婚ではなく五十人いる愛人(ミストレス)の内、23番目の愛人志津加との間に生まれた所謂妾の息子。病を患った母が解任されて以後、本編開始時まで大人と子供の双方から狙い撃ちで虐められて育ち、深刻なマザコンをこじらせながらもその母をも含めた人間不信に陥っている。
名門校白嶺学園の二年生だが、生まれをネタに学校で虐められ、教師を含め誰も助けてくれなかったことで完全な孤立状態。
人物
誕生日は不明だが、連載開始時点ではまだ16歳。
容姿は整っており、ある女子校でもそこの生徒達が顔を赤らめるほどの吊り上がった目つきが特徴の美少年。加えて、作中で開催されるチェスの世界大会RCSのオンライン大会で初の日本人優勝者(オンライン開催は作中の五年前、つまり11歳また12歳)になる天才的な頭脳を誇る。同大会では不滅の皇帝 ハイドロの名で知られている。
しかし、上述の経緯で極度の人間不信に陥っており、冒頭の台詞にあるように周りの人間は母親も含めて全て東山のブランドが目当てと決めつけて誰も信じていない。
例外は既に故人となっている異母姉、ライバル企業西河グループの跡取り息子の西河雪哉と妹の西河摩耶。学校内で唯一の味方で想い人の斑鳩渚。
そのために人並みの良識やモラルは持ちながら、精神は母に甘えたい幼児で止まりながら、その母親さえ信じていない非常に不安定な状態。また、母の愛情に限らず人並みの善意全般に飢えており、それが弱点にもなっている。
動向
愛人選抜開始
誰が主人かわからせればいいのか。
父の秘書浅見奈緒から父の病状悪化を理由に唐突に後継者に指名され、当初は周りの勝手な言い分に加えて苛めの主犯の山田アキまでいたために拒もうとするが、母が喜んでくれたと聞かされて渋々受諾する。
が、虐めていたアキがいた時点でミストレス候補は金と地位が目当てと決めつけて同じく参加した渚を残す以外考えなかった。しかし、その渚の謀略で母性を求めた幾島実憂の不倫疑惑とそれを利用したアキの保身のための嘘に騙された結果、無実の実憂を退場させてしまう。
実憂を退場させたことで憔悴したまま、次の候補の鏑坂世衣良に篭絡された上、実憂が無実であり、退場が渚によって仕組まれたことに絶望した浩太は自暴自棄になり、渚だけでなく障害を排除したことで勢いづいたアキとも身体を重ね、境遇の似た皆川奈々子の退場を誘導させられる。が、この惨状を見かねた浅見が実憂を復帰させた。今度こそ本当に浩太を守るために戻ってきた実憂は自分の純潔を捧げることで無実を証明し、本当に愛してくれる女性と母を得たことで浩太は精神の安息を得て、ガーデンの奪還を決意するとともに実憂を正式なミストレスにする。
ガーデン奪還
俺は彼女らから、このガーデンを奪還する……!
実憂を正式なミストレスにした浩太は最大の強敵の渚よりも先に、当面の敵である世衣良を排除するべく、実憂の復帰に協力した日高末愛のネグレクト解消も試み、二人目の正式ミストレスとする。そして、世衣良の狙いを読んでアキも味方につけて、世衣良を完全に叩き潰し、正式に愛人選抜を辞退した奈々子とお互いに成長を確かめ合い笑顔で別れて、浩太は自分の居場所を得るためにも会長になる決意を固める。しかし、世衣良が最後に言い放った斑鳩の忌み子が長らく、浩太を悩ませることとなる。
学園制圧
ポーン・ストームを始めようじゃないか。
世衣良を撃退した後、浩太は媚びを売ってくる生徒に愛想よくしながら自分に不足する社交界の知識を得るコマを探す傍らで虐めていた戸村薫への復讐を遂げ、標的の生徒会長白嶺亜莉亜の生徒会選挙の不正疑惑を副会長の貴嶋零一がでっちあげるように仕向ける。
当初はそれを弱みに生徒会長になった貴嶋を操って、斑鳩の忌み子を探るつもりだったが、亜莉亜の思わぬ弱みを見つけたことで計画を変更する。生徒会長選挙では土壇場で貴嶋を裏切り、教師への憎悪を織り交ぜながら、亜莉亜をフォローして彼女を生徒会長にする。その後、苛めを知りながら助けなかった欺瞞を追及された亜莉亜が愛人選抜への参加を希望、思わぬ強力なコマを得ることに成功する。
東西砦崩し
決まっているさ。勝たせてもらうよ。
亜莉亜の参加から間もなく、十年ぶりに雪哉と摩耶に再会。東山と西河の伝統東西砦崩しで互いのミストレス達を競わせることとなる。その一方で、雪哉のミストレスのリーダー桜田門志津から雪哉と本気で戦ってほしいと頼まれている。
一回戦は十年ぶりに会う摩耶の変貌に戸惑い、自ら負けを選ぶ形で渚を引き抜かれる。二回戦は最も信頼している実憂の奉仕力と心遣いに長けた能力と人間性を最大限に活かして早川千歳に勝利して摩耶を引き抜く。三回戦は夜伽に不慣れな亜莉亜がプロの堂丸沙菜に食い下がるも敗北して摩耶を連れ戻されるが、アキに並んで信用していなかった亜莉亜をある程度信用するようになる。四回戦では末愛の抱える家庭の不和を逆用して、真谷飛鳥の弱みを逆に握らせる形で勝利し、再び摩耶を引き抜く。五回戦では夜の相手の経験は豊富でも五人中、最も信用していないアキによる奉仕だった。
その中、彼女とのギブアンドテイク以上の関係にも心地よさを覚えていたことを自覚、雪哉が自分自身がまだ至っていない境地に浩太が達していたことを認めて敗北宣言、渚を連れ戻すと共に摩耶を引き抜く形で勝利するとともにアキを正式なミストレスにする。
斑鳩の忌み子
時々俺の中で思い起こされる記憶。俺の中にあった優しい記憶……
摩耶の参加後、斑鳩の忌み子が自分の腹違いの姉で渚の同母姉斑鳩星架であることを思い出す。姉の旧友南十字花芽理と転校生の熊井真央が候補として参加し、ミストレス達と激しく交わる中、浩太は花芽理の過去を調べ上げるとともに彼女を篭絡して正式なミストレスにする。そして、自分が渚に惹かれたのは自分と渚、二人にとっての姉である星架の幻影を求めていたと自覚して渚を退場させる。
しかし、その一方で摩耶が不穏な動きを見せ始めていた。
ミストレス達
当初は浩太が人間不信になっていた上に渚を残す以外考えなかったが、実憂の復帰で持ち直してからは徐々に正式なミストレスを増やす。母親役の実憂や妹同然の末愛など疑似家族に近い人間関係でもあるために西側ミストレスには仲良しグループと揶揄される。夜の相手には全員が積極的で、隙あらばガーデンでも学校でも浩太と交わるほど浩太を熱愛している。
正式ミストレス
幾島実憂――音大生。一時は彼女に母性を求めるが、渚の父にスパイを命じられた上に不倫疑惑まであった事実に絶望し、渚とアキに騙されて退場させ、人間不信をより悪化させた。しかし、浅見の配慮で復帰し、潔白を証明するために処女を捧げた彼女と愛し合ったことで精神が安定し、以後は母親役として全幅の信頼を寄せている。
山田アキ――同級生で虐めの主犯格。当然ながら、信用は皆無で渚の横槍が入らなければ即退場させるほどに恨んでいた。が、紆余曲折でアキ本人が浩太に本気で惹かれ、砦崩し以後は浩太も一定の信頼をするようになる。
日高末愛――最年少の中学生。建築家の父がグラビアアイドルと不倫した挙げ句に再婚したことで母共々捨てられ、その母も男遊びにのめり込んでネグレクト状態だった。境遇が似通っているため、やや甘やかしがち。
南十字花芽理――医大生。異母姉星架の同級生でもあったが、在学中に彼女のやり方に異議を唱えてそれが原因で喧嘩別れ、そのまま死別してしまう。その後、星架のことを調べる浩太に篭絡され、ミストレスになる。が、実際のところ浩太は南十字病院が本命で彼女はついで。
ミストレス候補
白嶺亜莉亜――生徒会長。苛めを知りながら、助けなかった恨みでアキ同様に当初全く信用していなかったが、砦崩しで本気で勝ちに行こうとした姿勢である程度信用する。
西河摩耶――幼馴染。幼少時の浩太の写真をスマホに保存し、夜這いを仕掛けるほどに一途な想いを寄せている。しかし……
熊井真央――転校生。業績が低迷したロボット事業の令嬢で、浩太のミストレスになることで会社を傘下に入れてもらおうとする。が、自作ロボットはただのポンコツな上に本人も性的免疫は皆無で、居合わせるたびに失禁して、浩太どころか全ミストレスが存在は認知しても、眼中にない存在。
脱落者
斑鳩渚――同級生で想い人。学校で唯一の味方だったこともあり、当初は彼女をガーデンに残す以外考えなかったが、間もなく彼女の危険性を認識。それでも残したのは姉の面影を求めていたからだと自覚し、退場させる。
皆川奈々子――動画配信が趣味の女子学生。苛めで不登校になっていた。何ら能力も持たないが、実憂と並んで一般的な良識とモラルを持ち合わせ、そこだけは認められていた。鏑坂世衣良の謀略も相まって自主退場し、その後も復帰を勧められながらも自分が役に立てないことを自覚して辞退、浩太と互いに精神的な成長を確かめ合い笑顔で別れた。
ミストレス以外の人間関係
西河雪哉――幼馴染。本人曰く浩太を弟のように思っており、成長後は傲慢にも見える態度を取るようになった。しかし、会社同士を除けば浩太との仲は良好で良きライバルになっている。
斑鳩星架――渚の同母姉でもある異母姉。母の解任後も会っており、彼女を心の支えにしていた。死後はしばらく忘れていたが、後に彼女を思い出した浩太は自分が渚に姉の代わりを求めていたことを自覚し、渚の退場を決める。
浅見奈緒――父の秘書。浩太の女性の好みを把握し、好みの少女をガーデンに連れてきている。砦崩し以後は浩太に身体で奉仕することが増えてきている。
両親
一般的な家庭の繋がりは皆無で、父は他人同然。母はなくしたアイデンティティを要求する始末で、総じて浩太のマザコンと人間不信を作り上げた元凶。
東山慶三――五十人の愛人を持つ、実父。親子として接した記憶は殆どなく、他人同然。病を患った浩太の母を問答無用で解任させるように冷徹な経営者。一方、何でもないチェス、持ちコマ同士の持ち店舗の売り上げを競い合い、負けた店舗を撤退させるミストレスを傷つけるようなことも含め、どんな勝負も手を抜かなかった模様。冷徹なようだが裏を返せば勝負には真摯かつ誠実で、ミストレス達も彼を熱愛している。しかし、一方で活動に支障がでればミストレス達を解任し、浩太の母もそれによって解任されており、浩太にとっては人生を狂わせた張本人。
どんな勝負にも真剣勝負で挑む=子供が相手でも手を抜かないチェスで彼に勝ったのは浩太だけの模様で、経営をチェスの戦略に例えていたこともあって、浩太に後継者としての白羽の矢が立つことになる。
東山志津加――23番目の愛人で実母。元々息子より意識が会長に傾いていた傾向が強かったが、病を患って解任された。それ以後は情緒が不安定になって、なくしたアイデンティティを息子に要求するどころか会長が自分に会ってくれないのは浩太のせいと罵倒したこともあり、親子関係は完全に破綻しており、浩太の深刻なマザコンの最大の要因。加えて、彼女の有様をネタに社交界の大人と子供から狙い撃ちで虐められる原因にもなる。
敵
戸村薫――苛めのボス。妾の息子と度々虐めてきたが、世衣良を撃退して成長した浩太にとっては「打ち筋なんかなく、下地さえ作れば簡単に潰せる相手」に過ぎなかったためにコンプレックスを逆に煽られて復讐された。
鏑坂世衣良――和風ファッション企業の経営者。ミストレス候補の一人としてガーデンにやってくるが、実際は浩太を操るのが目的であった。一度は色香を駆使して、浩太を篭絡するが実憂の献身で持ち直され、以後は次々に先手を打たれ、最後の一手も逆用されて完全敗北する。
貴嶋零一――白嶺学園の生徒会副会長。生徒会長の座を狙う野心家で、教師の投票数を不正操作して亜莉亜を陥れて会長の座を奪おうとする。しかし、結託していた浩太の裏切りに遭うばかりか集計システムを操作した弱みを握られ、縮こまる。これ自体、貴嶋が不正をするように浩太が誘導した結果で、亜莉亜は気付いていた。この時点で既に貴嶋の実力が浩太と亜莉亜に到底及ばないことが証明されており、戸村に並ぶ家柄だけの輩である。
関連タグ
マザコンと人間不信の類似キャラクター
ルルーシュ・ランペルージーー父への憎悪と物事をチェスに例える天才的な頭脳が共通。また、母に起因する幼少時のトラウマ故に人間不信も共通。こちらは本当に愛してくれる女性がいたが、一人の例外を除きそれぞれ離別している。
シャア・アズナブルーー母の愛に飢え、それを求めた女性がいる共通点がある。ただし、死別して十年以上経った後もそれを引きずるシャアに対し、浩太は最終的にそれが満たされている。
上記の二人と同じ年齢の頃にはいた本当に心を開ける友人どころか打算と本音が入り交じった複雑な感情を抱いた友人さえいないという二人よりも悲惨な環境にある。
2024年10月号までのネタバレにつき注意
渚を退場させた後、修学旅行は摩耶の提案で京都に決定した。浅見は白嶺学園の修学旅行は使用人も同行可能という事で、自分も行くと願い出た。
浅見が着いてくるという事は、摩耶が提案した修学旅行先の京都は西河の総本山があり、他に何かがあるという事=摩耶が何かを隠していることにも気付いていた。その予感は的中し、二日目に一瞬の油断を突かれて摩耶が裏切り、浅見はカルト教団南方睡蓮寺と結託した西河善吉の元へ連れていかれてしまう。
そこで初めて、浩太は摩耶が浩太達どころか雪哉と志津達さえ長らく騙していたという恐ろしい真実を知った。
ガーデンに残った花芽理の情報から、睡蓮寺の保養所を見つけた浩太は独断で着いてきた亜莉亜と乗り込もうとするが、そこは違っていた。東山の重役達も次期会長の命令でも思い通りにならない、社内機密を漏らさない教育をしているから問題なく、助ける必要などないと取り合わず、更に代わりの秘書までも手配されて、手詰まりになりかけていた。
直後に浅見が連絡をしてきたことで場所の推測はできるが、人手も時間が足りない。そう思われた時、東山にいるある女から電話がくる。
…俺は、何をしたらいい?
話が早くて助かるよ。
簡単に言うとね、私の命令も聞いてくれたら協力してあげられるよ?
ただ、''使い方''は君が決めてくれ。次期会長の手腕も見せていただきたいのでね。
東山の社員の女と取引をした浩太は東山の兵隊達を借り、浅見の監禁場所も特定した。亜莉亜の必死の説得も拒絶したのを見て、今の摩耶を説得し、本心を聞くことはできないと悟った浩太は意を決する。
ふっ、面白い。簡単に反省されるより、この方が良い……
話し合いは諦めるよ。
反撃開始だよ、摩耶。
浅見の奪還と摩耶の真意を聞き出すべく、浩太は反撃に出た。