概要
谷甲州のSF小説航空宇宙軍史シリーズに登場する架空の軍事組織
西暦2020年代に国連安保理下の宇宙空間における警察及び救難活動を行う組織として発足しており、当初は軍と名が付いていても軍事組織としての色は薄かったようである。
だが、太陽系における人類の活動域の拡大とそれに付随する各地の宇宙植民地と地球間の緊張の高まりに伴い実戦部隊としての性質を濃くしていき、第一次外惑星動乱前夜の2090年代には多数の戦闘艦や基地、研究機関、諜報機関等を保有する立派な軍隊となっている。
一応、地球‐月連合に属しているらしいのだが国家内国家ともいうべき独自性を有している模様。
組織
軍令部をトップに各種研究機関や諜報機関等もあるが概ね内宇宙艦隊と外宇宙艦隊とに分かれている
内宇宙艦隊
太陽系内において航空宇宙軍が発足した当初からの任務である警察及び救難活動や宇宙植民地、特に木星系と土星系の衛星国家群で構成された外惑星連合を仮想敵とした軍事作戦を主任務としている。
2099年に第一次外惑星動乱という人類史上初の宇宙戦争を経験し、2140年代には第二次外惑星動乱を戦った。
人類の太陽系外移民が本格化する頃には戦闘部隊としての色は薄れ、発足当初の警察及び救難活動を主任務とする部隊になったようである。
外宇宙艦隊
太陽系外、つまり恒星間宇宙や他恒星系での活動を主任務としており、内宇宙艦隊同様時代とともに役割を変えていく。
この世界では航空宇宙軍発足以前の1990年代から無人探査船ダイダロス・シリーズ(構想自体は実在)による外宇宙探査が行われており、それを引き継いでいる様だ。
2040年代に有人探査艦イカロス・シリーズによる太陽系近傍宙域の探査と他恒星系行の探査機の射出、2050年代には恒星間ラムジェットを搭載した有人探査艦オディセウス・シリーズによる恒星間探査が行われ系外惑星に有人探検隊を送り込んでいる。
タグボートの様なブースター替わりの艦はともかく外宇宙艦は出港すると年単位で太陽系に帰還出来ないのが普通なためか乗組員の確保に苦労しており、従軍中の些細なミスや問題行動を理由に刑罰代わりに配属される者もおり、中にはジョー・シマザキの様に生まれる前の親の借金(高い機材を壊したらしい)を理由に170年の勤務を命ぜられる者も居る。(客観時間でなので亜光速の艦内ではウラシマ効果でもっと短期間で済む)
志願で配属された者も任務後は除隊して20世紀から光景が変化しないネパールの街に引っ越したりする者も居るが、反対に再び長期の外宇宙勤務に志願する者等様々である。
太陽系外植民が盛んになると探査に加えて植民地の警察及び救難活動、そしていざという時の制圧作戦の為に多数の艦載機を搭載するカンチェンジュンガ級宙域制圧戦闘母艦等を保有し実戦部隊化していく。
超光速航宙技術を実用化してからは汎銀河世界の探査と制圧のために更に組織の拡大と武装に力を入れていく。
保有艦艇
内宇宙艦
巡洋艦とも、航空宇宙軍の主力を務める強力な戦闘艦。
ゾディアック級
第一次外惑星動乱時において最新鋭にして最大最強のフリゲート艦。
従来のフリゲート艦の4~5倍の40人を超える乗組員が搭乗する大型艦であり、平時なら冷凍睡眠を利用した交代で無寄港で年単位の航宙が可能。
当初は6隻の建造予定(第一次外惑星動乱末期までに6隻が就役している)だったが最終的にはその名(黄道帯)から連想される通り12隻が建造された。なお、ゾディアック級という級名でありながらゾディアックという名の艦は存在しない。
戦後は改装されて艦体の延長と複数の艦載機の搭載、増加した質量に対応したエンジンの強化が行われた艦もある。
同級の一隻であるタウルスが記念艦として地球の衛星軌道上のコロンビア・ゼロ軍港に係留展示されていたが、第二次外惑星動乱直前に行われていた再就役のための作業中に奇襲攻撃を受けて他の展示艦と共に破壊された。
後に修復再就役し、それを知った外惑星連合軍の提督は「亡霊艦隊(ファントム・フリート)」と呼んだ。
紡錘形をしていて突起物は少ない等、航空宇宙軍史の宇宙船としては具体的な形状やサイズが記されている。
なお、これ程の大型艦でも艦内スペースの有効利用のため乗員食堂は調理場と通路を兼ねる。
ゾディアック級の値段は米俵2000万俵分という説がある。
第一次外惑星動乱時に就役していた艦は以下の6隻
スコーピオン
開戦前にカリストと、タイタンへの査察を行おうとした。(拒否された)
タウルス
艦内部の描写は全く無いが作中においてよく名前の出る艦であり、作中世界でも有名な武勲艦である様だ。第一次外惑星動乱時の艦長はシュミット大佐。
第二次外惑星動乱勃発時には予備役になり記念艦としてコロンビア・ゼロ軍港に係留展示されていた。
アクエリアス
開戦前にガニメデとエウロパ、イオへの査察を行おうとした。(拒否された)
第一次外惑星動乱後に改装され艦体の延長、有人艦載機の搭載、改装による質量増加に対応したエンジンの強化が行われた。
エリヌスでの対テロ作戦では乗組員による陸戦隊が編成され実戦投入された。
エリヌスでの作戦時の艦長は武田大佐。
アリエス
第一次外惑星動乱時に内宇宙艦隊第三戦隊旗艦であり、サラマンダー追跡の指揮をとった。
第一次外惑星動乱時の艦長はラーマン大佐。
サジタリウス
カプリコーン
ファンサイトである青年人外協力隊での考察で公式な設定ではないが作中の記述から考えると、ゾディアック級6隻の合計乗組員数は当時存在した従来型のフリゲート艦16隻前後の合計乗組員数の2倍以上は必要であった模様。警備艦等を含めた航空宇宙軍の艦隊勤務者とほぼ同数ではないかと思われる。
外惑星動乱時は特設砲艦等一時的とはいえ保有艦艇が急増しているので予備役召集をしたとはいえ良くそれだけの人員を確保出来たものである。それが航空宇宙軍と外惑星連合との地力の差だったのかも知れない。
オフィユキ級
第一次外惑星動乱時には既に旧式化しつつあったフリゲート艦、防御力は高いらしい。
乗組員は7人
なお、オフィユキ(Ophiuchi)はへびつかい座であるオフィユクス(Ophiuchus)の複数形の事。
黄道に存在するが12星座には含まれない。
オフィユキ
オフィユキ級のネームシップ。小惑星帯での強行偵察任務中に機雷に触雷しメインエンジンとメインコンピュータを損傷し艦隊から離脱、基地へ後退した。
後退する事を羨む者も居たが、事実上の切り捨てであり危険宙域を単艦で無事に帰還出来た可能性は低い。
ジェミニ
小惑星帯強行偵察任務の次席旗艦。艦長はアチット大佐。
オリオン
小惑星帯強行偵察任務に参加した。
警備艦
フリゲート艦よりも小型で加速力も低い戦闘艦、船団護衛等に使用された。
投射ミサイル(機動爆雷とほぼ同じ)とレーザ砲を主武装とする。
作中では1号級警備艦というのが名称だけ出るが砲戦距離一二〇〇〇で主人公達が乗っていたのが同級艦かは不明。
艦名は警備艦四四号という様に番号でつけられる模様、乗組員は三人程度。
特設砲艦
比較的大推力の小型民間船を徴用し武装を施したもの。船団護衛等に使用された。
武装はレーザ砲のみ。
レニー・ルーク
色々逸話の有る艦、乗組員は三人。
アーロン・ゲート
水星の哨戒部隊に10隻程所属、10日程の哨戒任務に就く。
主武装は爆雷や機動爆雷、レーザ砲であるが平時は非武装な艇も多く、第一次外惑星動乱開戦時に武装している哨戒艇は少数だった。
爆雷なら4発、機動爆雷なら1発を搭載出来る。
与圧されている区画がコクピットしかない、乗組員は二人。
オルカキラー
外惑星連合軍の投入したオルカ戦隊に対抗するために開発されたサイボーグ艦。
複数の無人艦載機で戦闘を行う宇宙空母、指揮通信機能やセンサに電力を取られているため母艦に武装は無い。
乗組員はシャチ一匹(頭脳のみ)
工作艦
損傷した宇宙船を修理する装備を持った艦。
間宮
第2次外惑星動乱時に就役していた工作艦。乗組員は艦の操艦をする艦長と工作ユニットのオペレーターの計2人。
直接的な修理作業は工作ユニットに搭載されている複数のロボットが行う模様。
外宇宙艦
主として太陽系近傍宙域から他恒星系等の外宇宙で運用される艦の総称。
初期は純粋な観測艦や探査艦ばかりであったが時代が進むにつれ戦闘艦が主力となっていく。
観測艦或は探査艦
外宇宙艦隊の初期の主力艦。太陽系外での観測探査が主任務である。
ダイダロス級
正確には航空宇宙軍発足以前に運用された恒星間無人探査船。
元ネタは1970年代にイギリスで研究されたダイダロス計画で50年ほどかけてバーナード星系へ探査機を送る計画であった。
作中世界では複数建造されていくつもの恒星系に送り込まれ、それらから送信されて来たデータを元に以後の探査計画が策定された。
イカロス級
有人外宇宙探査艦。太陽系外には出るが他恒星系には行かず、弧を描く様に太陽系を周回して観測活動や複数の恒星間無人探査機の射出を行った。乗組員は9人。
性質上、太陽系から1光年も離れる事はないが、恒星間ラムジェットエンジンを搭載したオディセウス級以降の艦と違い推進剤は全て自前である為推進剤タンクを含めた巨大なサイズと質量を持つ。
具体的な数字は不明ながらも推進剤タンクを含めたサイズは1/10のレプリカですらダイダロス級を超えるらしい。(ダイダロス級は全長195.3m、推進剤を含めた質量は54000tである)
第二次外惑星動乱では複数のイカロス級が戦闘艦として再就役した。この時再就役した内の1隻の乗組員は3人で内1名は書類上はロボットだった。(実際はもちろん人間である)
オディセウス級
有人恒星間探査艦。試作機を含め7隻が建造された。恒星間ラムジェットエンジンで宇宙空間に存在する水素原子を推進剤とする。乗組員は9人。
2隻1組で運用され先行の艦が系外惑星に有人探検隊を送り込み後続の艦が回収するという手法が取られた。後続艦が第二次探検隊を運ぶ事もあった様だ。(第二次探検隊の回収をどうしたのかは不明)
全艦任務を達成して帰還したが、それまでに余りに長い年月が過ぎていたためか乗員達は故郷との断絶を感じ、その多くが外宇宙勤務に再志願したという。
艦も改修が行われ多くが支援艦として再就役した。
オディセウス-0
オディセウス級の試作機。表向き存在しない事になっているが超光速空間流、通称シャフト観測の為に発進し消息を絶った。
通信途絶後はシャフトに沿って銀河中心方向に加速し続けている。
ユリシーズ
オディセウス級を改修した観測艦。太陽系に近付くSG(射手座重力波源)観測のため発進した。
第一次外惑星動乱以後初の外宇宙観測艦。乗組員は書類上は9人
オルフェイス級
観測艦や探査艦というよりも超光速航行の実験艦という性格が強い艦である。
4隻以上建造されたが建造中であった艦を除いたオルフェイス1~3が超光速航行実験中に相次いで遭難し失われた。
支援艦
観測艦の支援を行う艦の総称。ブースター代わりに外宇宙まで牽引するタグボートから太陽系の辺境でひっそり観測業務をしている艦、主力艦に匹敵する外宇宙航宙能力を持つ艦まで多岐に渡る。
シビル-11
オディセウス-0の異常を察知したため2076年に外宇宙へ向け緊急発進した。ラムジェットエンジンを持つ大型艦でかなり本格的な外宇宙航宙能力を持つ。乗組員は9人
艦尾に折りたたみ式減速用レーザ反射板を装備していたが太陽系側のレーザ発振機はまだ設計段階であった。建造中止になったのか少なくとも2123年にはまだ完成していなかったらしい。
支援艦のためか艦長はイカロスやオディセウスと違い1階級低い中佐であったが、感情抑制程度の処置とはいえサイボーグ化されていたらしい。
ユリシーズⅡ
設計はオディセウス級がベースであるが改修ではなく新造の最新鋭艦。消息を絶ったオルフェイス1~3の調査のため発進した。
超光速航行能力は無いが同じ技術を使った高加速システムを持つ。乗組員は9人。
オルフェイスと同じ原因で遭難しかけたが164年(艦内時間では数年)かけて太陽系に帰還した。
敷設艦マカッサル
建造及び活動時期が不明の艦。描写から推測するに汎銀河世界と本格的に接触する前の恒星間植民時代で100年近く前に植民地星系との恒星間戦争乃至武力紛争があった時代と思われる。乗組員は少なくとも2人以上。
恒星間宇宙の星間物質(ラムジェットエンジンの燃料)が比較的濃密な宙域に航路標識を設置する為にやって来た。
戦闘艦
カンチェンジュンガ級宙域制圧戦闘母艦
太陽系外の植民地星系に派遣される大型宇宙空母で多数の各種艦載機を搭載している。
西暦2250年時点で3番艦アコンカグアが就役しシリウス星系に派遣されている。
恒星間航宙能力を持つがその能力は太陽系から赴任先の星系までの航宙のためであり、赴任後は改めて他の恒星系へ行ったり太陽系へ帰還したりという事は基本的に無く、艦も乗組員もその星系で生涯を終える。
現地での役割は宇宙空間における警察及び救難活動の為の拠点と反乱等が発生した際の制圧任務であり、単艦でかつての内宇宙艦隊の任務を担う事が出来る能力を持つ。
全長500m程度だが(航空宇宙軍史ではかなりの大型艦、内宇宙艦隊の戦闘艦は大型のゾディアック級でも100m程度)極めて高度な閉鎖系環境システムを持っているらしく艦内の食事は多種多様な物が出る様だ。同じ能力を持つ太陽系の木星に有るガリレオ・ステーションはそのために2000kmの小惑星の体積のほぼ全てを食い潰しているとの事。
重力制御システムは搭載している様だが超光速航行能力は無い。
搭載している艦載機は100機程度で機種が全部で何種類有るのか不明だが、シャイアン級、アパッチ級、グルカ級の最低3種類がてい有る事が判明している。単座や複座である前2級と違いグルカ級は機内で砂糖とミルク入りのコーヒーが作れる。(砂糖とミルクは私物らしい)
甲州画報66号によれば2番艦以降はK2、アコンカグア、キリマンジャロ、デナリ、ダウラギリ、ヴィンソン・マシヴの7番艦まで建造されたらしい。
名称不明のサイボーグ艦
恒星間戦争で使用されたサイボーグ戦闘艦。
運用されていた時代は不明だが母艦が撃破された為か戦争が終結しても回収されず最後の命令に従って100年ほどずっと敵艦を待ち伏せしていた。
制御中枢として搭載された人の脳は休眠状態であったが敷設艦マカッサルの接近を感知して覚醒し活動を再開した。だが艦内のクロックが停止してしまったので時間経過が分からずまだ戦争が続いていると思っている。
武装は爆雷が確認出来る。
非番の際は母艦に残された本来の身体に脳を戻すらしい。
グルームブリッジ
2290年代に汎銀河世界との接触の為に派遣された第1艦隊の旗艦。超光速航行能力を持つ。
ラランド2
最初に接触した汎銀河世界である惑星バラティア以外の調査の為に第1艦隊から分派したロックウッド分遣隊の旗艦。超光速航行能力を持つ。
上記2艦を始めとする第1艦隊の艦は厳密には探査艦であり戦闘艦とは言えないが、武装しており対地核攻撃を行える能力が有る。
時々超光速航行から通常航行に戻り地球に通信を送っていたので第1艦隊は太陽系からバラティアに到着するまで外部時間で50年ほどかかった模様。(内部時間では数年ほどと思われる)
サハラ級強襲着陸艦
文字通り宇宙から直接惑星上に着陸して部隊を展開させる艦。汎銀河世界の惑星ジャヌーでの作戦に参加。(詳細な時期は不明)
とはいえ流石に完全な敵前着陸が出来る訳ではなく、着陸地点の宇宙港は兵員輸送仕様の往還機で事前に降下した137機動旅団が確保していた。
甲州画報66号によれば2番艦以降は、ゴビ、タクラマカン、モハベ、タール、カラハリ、ただし7番艦以降が存在するかどうかは不明。
ガンガ級主力戦闘艦
汎銀河連合との戦争が激しくなった西暦2670年代に就役した大型恒星間戦闘艦。
高度な重力制御システムを搭載しており激しく艦が回転していても乗組員は気付かない程。
従来の超光速空間流を使用した物とは違う回転するブラックホールの集合体を使用した超光速航行機関を持つ。
甲州画報66号によれば2番艦以降はアマゾン、ナイル、ミシシッピ、レナ、インダス、長江、ザイールの8番艦まで建造されたが歴史によっては6番艦までしか作られなかった。
旗艦となった1番艦と共に第1機動艦隊の中核を成した。
グリーンランド級高加速戦闘艦
ガンガ級同様2670年代の恒星間戦闘艦。
その名の通り加速力に優れた艦と思われる。
2番艦以降はミンダナオ、バフィン、マダガスカル、ハルマヘラ、コテルヌ、イスマトラ。
甲州画報66号によればおそらく7番艦まで建造されたとの事。
ミンダナオは第2機動艦隊の旗艦。
その他にタンカーやセンシング・ピケット艦等、多種多様な有人無人の艦艇が存在する模様。
艦艇以外の装備
クロノス
宇宙船ではなくタイタン仕様の航空機であり航空宇宙軍唯一の戦闘航空隊であるタイタン航空隊(フライング・タイタンズ)に所属(他の航空隊は地球の輸送部隊のみ)。単座機。
第一次外惑星動乱時に運用された。
ジェット機だが燃料の代わりに酸素を搭載しタイタンの濃密なメタンの大気を燃料として燃焼させ飛行する。(大気が希薄な高空用に通常燃料も少量搭載している)
タイタンは濃密な大気を持っているため宇宙からの直接的な対地攻撃が難しく、タイタンを艦隊で包囲しても降伏するかは未知数であったため、確実にタイタンに圧力をかけ屈服させる手段としてタイタン航空隊の創設と地表都市を爆撃可能な航空機であるクロノスの開発が行われた。(航空宇宙軍も木星系攻略の拠点として出来れば無傷でタイタンを手に入れたかった)
着陸脚は有る様だが地上基地は持たずタイタン仕様のシャトルを改造した母機によって空中で発進及び回収される。クロノス発進後に母機は土星周回軌道に入り7日後に戻ってクロノスを回収する。その間は衛星軌道に配置された無人タンカーを降下させ補給と通信の中継を受けながら飛行を続ける。
巡航時はほぼオートパイロットで飛行し、タンカーとの邂逅や高度な判断が必要な作戦時以外はパイロットの肉体は殆ど仮死状態になっており精神活動も最低限にしてパイロットの消耗を抑えているが非常時には数秒で活性化する。
爆装は出来るが機銃等の固定武装や空対空兵装は無く、滞空性を最優先した設計で最高速度や運動性も低いため超音速飛行も出来るタイタン軍の迎撃戦闘機相手に戦闘を行う事は自殺行為である。
第一次外惑星動乱での実戦投入までタイタンの空を飛んだ事はなく、ダミー会社経由で入手したタイタン仕様のエンジン以外はコンピュータシミュレーションのみで設計され、パイロット達はシミュレーター以外では金星で金星仕様の航空機で訓練を行った。
予備機も含めて6機が製造され、予備機は2機が最初に試験代わりに無人で投入されたが消息を絶った。後にタイタン軍の迎撃戦闘機に撃墜されていた事が判明した。(新・航空宇宙軍史 コロンビア・ゼロ収録 ザナドゥ高地)
V型戦闘員
通称ヴォルテ。
航空宇宙軍が異星での戦闘に投入する為に開発した人造人間。開発時期は不明だが恒星間戦争が想定される時代と思われる。
外見は人間と変わらないが人間よりも高い身体能力や感覚、耐久力を持ち、教育や訓練の成果か直接脳に刷り込んでいるのかは不明だが様々な知識や高いサバイバル能力を持つ。(某作品の自称新人類と違い明確に人間の領域を逸脱している描写が有る)
動物と意思疎通が可能なテレパシー等、所謂超能力も保有している。