この夜を尽くして、我輩が貴方に教えて差し上げましょう……。
概要
不思議な本を開いた先で出会った青年。
愛するハロウィーンのことを、なによりも大切にしている。
人物
ツイステハロウィーン2024「Lost in the book with Tim Burton's The Nightmare Before Christmas ~始まりのハロウィーン~」イベントで登場。
一人称は「我輩」。敬語口調で、礼儀正しい紳士的な性格。
初対面の人に対しては、手に挨拶のキスをする。尚、感情が高ぶった時(曰く「感謝の気持ちを表す時」など)にも相手にキスを迫るので、ファンからはキス魔認定されている。
長身とその紳士的な態度から大人っぽい印象を与えるが、その実エペルやセベクと同じ16歳であり、余裕がなくなると年相応の泣き虫な地が出てくる他、リアクションは非常に豊か。
テンションが上がると「ヒヒヒ…」「イーヒャッヒャッヒャッ!」と画面が揺れる程の高笑いを見せる。
魔法士の学生だが、マジカルペンや世界的に有名なマレウスの事も知らず、どこか浮世離れした雰囲気を持つ。
逆に本人は自身の学校についてあまり語らず、「話す価値も無い」と鬱憤を溜めている様子。
10月31日の祝祭は本作では基本的に「ハロウィーン」と呼称されるが、彼は一貫して「ハロウィン」と呼んでいる(これはジャック・スケリントン達ハロウィンタウンの住民も同様)。
ハロウィンに対する熱意は本物だが、楽しむよりも伝統を大切にしている。
その伝統とは【静寂】【素朴】【清貧】。決して騒がず静かに厳かに過ごし、黒一色の部屋でカボチャを頼りに夜を過ごし、ご馳走もお菓子も無しに質素な食事を摂るというもの。
曰く「ハロウィンとは皆を骨の髄から恐怖させるもの。己を行いを反省し、贖う為のもの」。ゴーストに対して良い印象を抱いてない様子も見られ、ハロウィンは悪質なゴーストを消し去る為でもある発言をしている。
しかしこれらの思想は、普段からゴースト達と交流して彼らを持て成し、寮対抗でその出し物の完成度と満足度の高さを競い合うNRC生達には受け入れがたいものだった。
容姿
癖っ毛な白髪のショートヘアとオレンジの瞳(よく見ると木の断面のような瞳の形になっている)、血色が感じられない程に白く乾ききった肌と隙間のある歯並びが特徴。
目元を覆い隠す程に大きな丸いサングラスと、ひし形を円状につなげた様な黒いヘアアクセサリーを身に付け、服装は黒地に細く白いストライプが入った吸血鬼の様な継ぎ接ぎのスーツと、指の骨の様な模様がある手袋を着用している。
が、これは本来の服装ではなく、こちらの世界に飛ばされた際に変わった格好らしい。
身長について明確な数値は明かされていないものの、エペル曰く「大柄なセベククン(188cm)より大きい」らしい。
立ち絵では耳は隠れているが、バトルやリズミックのデフォルメ絵では丸い様子が確認できる。
モチーフ
ティム・バートン原案の映画作品『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の主人公であるジャック・スケリントンがモチーフ。
ネージュ・リュバンシェ同様主役モチーフのキャラクターだが、ジャックは作中行為も併せてみるとありがた迷惑なダークヒーロー寄りで、ある意味ではヴィランと言えるかもしれない。
だが単なるインスパイア化という訳ではなく、本イベントは元ネタの本人も登場・共演するという特異性があり、スカリー本人も『NBC』の大ファンである。
ただし、今作において『NBC』の物語はごく一部の地域(彼の故郷の村)ぐらいでしか語られていない伝承であるらしく、同じ世界から来たとされるNRC生達も、ハロウィンは知っていてもジャック・スケリントンの名は全く知らない(しかし悪ガキ3人組の事は知らなかった模様)。
それは村の外へ出て入学した学校においても同様であり、誰に話を振っても自分の憧れに理解や興味を示してもらえず鬱屈していた。
故にイベントにおける「ハロウィンタウンへの来訪や住民達との共演」という、ファンにとっては夢にまで見た事態には、本人も興奮冷めやらぬ状態となっていた。
ただしハロウィンに「変化と革新」を望むジャック本人の思想には、若干の解釈違いが生じている様子で……。
着ているスーツはジャックそのもので、脇腹の白いベルトは肋骨、蝙蝠型の蝶ネクタイは吸血鬼のイメージへ変換され気品と豪華さが加えられている。大きな丸いサングラスは眼窩、頭部のアクセサリーは「パンプキン・キング(かぼちゃ畑の王)」と称えられている事から王冠としての意味合いに加えて、特徴的な口もデザインに落とし込まれていると思われる。隙間のある歯並びも、ジャックの欠けている歯を表したもの。
イラスト担当の枢やな先生曰く「遠目で見た時に髑髏に見えるようなデザインにした」とのこと。
ユニーク魔法(ネタバレ注意)
「ランタンに火を灯せ『10月31日(スケアリーナイト)』」
魔法名 | 【10月31日(スケアリーナイト)】 |
---|---|
効果 | 人の姿をジャック・オ・ランタンに変える |
他者を別のものに変化させる魔法。
本人曰く「ユニーク魔法はまだまだ未熟で、一度使ってしまうとしばらくは使用することが出来なくなる」との事(また本人の言から、時間経過で元に戻る可能性もある模様)。
だが、相手を無傷で無力化させたり意表を突くという点に於いては、充分に強力な魔法である。
魔力の程はレオナの見立てでは「エペルと同程度」との事だが、彼も相手を無力化させるユニーク魔法を持っている(あちらもまだ未熟ではある)のでその点に於いても共通している。
尚、魔法士ではあるものの、魔法石を内蔵したアイテムを所持している様子は見られない。
余談
- ジャック
ツイステには既に「ジャック」がいるため、「NBCのジャック」そして「ジャックモチーフのスカリー」を含めて、3人のジャックがいるとネタにされることも。
現にレオナがジャックを呼ぶ際、「犬っころと混ざってややこしい」という理由で「スケリントン」と姓呼びしていた。
尚、本家ディズニーで「ジャック」という名前のキャラクターはモブ含め10人以上は居るので、ファンには珍しくない事かもしれないが。
- 反響
彼の初公開は従来のハロウィンイベントとは異なり、此方のPVのチラ見せでの登場であった。そのビジュアルとモチーフ元作品の人気の高さも相まってかその反響は大きく、名前もCVも判明していない段階からファンアートが多く制作されていた。
また、過去のハロウィンイベントに登場したロロ・フランムやフェロー・オネスト同様に、イベントリメイク時にユニット化すると期待する声も早速出ている。
ちなみに名前が判明する迄ファンの間では我輩くんと呼ばれていた。
- 声優情報
声優を務めている山口勝平氏はミッキーマウスシリーズのキャラクターグーフィーの息子であるマックスの声を演じている。
関連イラスト
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ここから先は『Lost in the Book with Tim Burton's The Nightmare Before Christmas〜始まりのハロウィーン〜』の重大なネタバレが含まれます!未読の方はブラウザバックを推奨します
ハロウィン前日となった3章終盤、しばらく姿を見せずにいたスカリーはジャックの家へとその姿を現していた。そして淡々と目の前の憧れに問いかける。
「……ジャック様は、今年は賑やかなハロウィンにするとおっしゃいましたね」
「そうだね。明日はそれでいくつもりだ」
「伝統を守るばかりではつまらないともおっしゃいました」
「うん言ったね」
「そして、ハロウィンは1人で過ごすものではないとも……」
「もちろんそうさ!」
「……では、ではジャック様は、あの者たちが言ったように……大勢で騒ぐだけのハロウィンが素晴らしいと、本当に思っていらっしゃるのですか」
「これまでジャック様がなさってきた、厳かで尊い……我輩があれほど焦がれたハロウィンよりも……彼らと作っている新しいハロウィンの方が優れていると……心からそうお思いなのですか?」
「ああ。新しいものは大好きだよ!ツイステッドワンダーランドのみんなが来てくれて本当に良かった」
「明日は誰も見たことのない、『最高のハロウィン』になるはずだ」
それを聞いてどこか諦めたかのように一瞬だけ目を伏せたスカリーは笑顔で「おかげで大切なものが分かり、踏ん切りがついた」と感謝の言葉をジャックに告げ、食事前だった彼に一緒に持ってきた飲み物を飲むことを提案する。
そして、
「……ハロウィンとは恐怖。ハロウィンとは憧れ。ハロウィンとは悪夢」
「これぞハロウィン……本物のハロウィンなんだ」
「だから……」
スカリーの前には飲み物の中に含まれていたイヌホオズキの毒によってすやすやと眠るジャック・スケリントンの姿があった。
「だから、あんな奴らの言うことなんて聞かないでくれよ!ジャック・スケリントン!!」
スカリーはついに自らの焦がれ、想い続けてきた『最高のハロウィン』を守るためにジャック・スケリントンの誘拐という強行手段に走ったのだ。
ちなみにNBC本編でジャックもスカリーと似たようなことをしていたりするのだが……
先程の問いかけは『ジャックがそう思っているのは何かの間違い』だと信じたかったスカリーのどこか歪んでしまった憧れの気持ちによるものだったのだろう。あるいは、このような行為に及んでしまう前に止めてほしいと心の中で思っていたのかもしれない。
弁当と甘酸っぱい空気が欲しいと思ったが為にたまたまその場に居合わせてしまった監督生とグリ厶を巻き込み、悪ガキトリオと共に計画を実行に移したスカリーは1人妖しげな笑い声を漏らしてその場を後にしたのだった。
時は流れ5章序盤、ついにゼロの嗅覚を頼りに後を追ってきたセベクの前に立ちはだかる。ちなみにスカリーは心のどこかで何故かセベクが最初に来ると思っていたらしい。
一時はその場で熟達したユニーク魔法によってジャック・オ・ランタンに変えることに成功し勝利を収めたかのように見えたスカリーだったが、途中で参戦したレオナと悪ガキトリオを手中に収め一泡吹かせに来たジャミルの高度な魔法によって拘束されてしまう。
抵抗しようとするスカリーにジャミルは性格の悪さが滲み出た悪辣な笑み(セベク談)を浮かべながらとどめの言葉を無常にも告げた。
「叫ぶのは勝手だが、いくら助けを求めても無駄な足掻きだぞ。だって……
ここにお前の味方は、1人もいないんだからなあ!」
その言葉に絶望したスカリーは幼子のように泣き叫びながらオーバーブロット一歩手前の状態で暴走を始めてしまう。(どう考えてもジャミルはボロクソに言い過ぎだった上に、それ以前にしていたレオナやセベクとのやり取りも踏まえて考えればこうなってしまうのも当然といえば当然である)
「ずるい!!!ずるいぞ、ずるいずるいずるい!!!!」
「セベクさんはずるい!!!」
「……僕!?」
その強い感情は何故かセベクに向かった。それは何故か?理由は明白だった。
セベクには、マレウスのような憧れの人がいる。
ゼロのような手助けをしてくれる友がいる。
レオナやジャミルのような仲間がいる。
それはスカリーがどれほど願っても手に入らなかったものたちだった。
「我輩だけがひとりぼっちだ……どこでも……ここでも……いつも……いつも!」
どうやらハロウィン・タウンに来た当初から見せていた紳士的な丁寧口調はジャックへの憧れからしていたものだったらしく(つまり素ではない)、口調を取り繕うことも忘れ涙を流しながら目につくものをなりふり構わずセベクたち3人に投げつけ続ける。
そして目の前のセベクに囁くように、静かに語りかける。
「君みたいに、理想を信じ続けていたかった」
「でももう無理なんだよ………」
「だって……ずっと思い描いていたハロウィンも!ジャック・スケリントンも!」
「全部全部、間違いだったんだから!」
「このっ……分からず屋があ!」
そこまで聞いたセベクが周囲の警告を無視しスカリーに対し再びユニーク魔法を発動。自身も反動によってダメージを受けながらも誰かを信じるというのは願いを押し付けるものではなく、どんなことでも受け入れるという覚悟のことをいうのだと、説き伏せようやくスカリーは正気に戻ることができた。
ジャックに嫌われたかもと落ち込むスカリーだったが、すぐにやってきたジャックは彼のハロウィンにかける熱意は本物だと感動し、むしろ尊敬までされていた。自分とスカリーはきっと似た者同士だという最上級の褒め言葉までかけてもらっている。
そこでやっと、スカリーは反省と心からの謝罪の気持ちを口にしたのだった。
ついにハロウィン数分前、セベクが誇らしげに掲げたNRC生が作った校章と7つの寮章、そしてゴースト、猫、人間の意匠で彩られた旗を初めて目にしてなにかに気づいたスカリーはサバナクロー、スカラビア、ディアソムニアの3つの寮とナイトレイブンカレッジの名を口にすると我輩と素敵な皆様がここで出会ったのはきっと運命だったと何故か嬉しそうに呟いていた。
ちなみにこの理由は後々痛いほど思い知ることになる。
輝くような賑やかな町の人の声、誰もが思わず舌鼓を打つような豪華な食事、皆が歌って踊る魅力的な音楽。それが、ハロウィン・タウンで過ごした最初で最後のハロウィン。
それらはスカリーの理想とは程遠く、かけ離れたものだった。しかし、スカリーは思案する。今までにこれほどまで胸が踊った経験を果たしてしたことがあっただろうか?
____ハロウィンはみんなのものだ。1人で過ごすためのものじゃない。ハロウィンは誰もが等しく恐怖するためにあるんだ。
____国中が震え上がり、誰もが怯えてひざまずく……そうじゃないとつまらない。そのために、ハロウィンは絶えず進化し続けなければならないっ。同じことの繰り返しではなくね。
憧れのパンプキン・キングの言葉を思い返し、スカリーは決意する。ツイステッドワンダーランドに帰ったら人生を懸けて必ずジャックの思い描くハロウィンを広めてみせるのだ。
賑やかで、派手で、豪勢な、最高のハロウィンを____
こうして、完全にスカリーのハロウィンに対する考えは変わったのだった。
そして、ハロウィンを無事成功させた監督生たちはハロウィン・タウンでの記憶を失ってしまったものの港の街に無事帰還した(Lost in the Book恒例)がそこに何故かスカリーの姿はなく、NRCの面々の記憶からも消えてしまっていた。その理由はNRCに帰ってすぐに会ったクロウリーとの会話によって明らかになる。
クロウリーは物置を整理している際に、ある古い肖像画を見つけハロウィンの期間だけでも飾ろうと準備をしていたようだ。ここまで聞いて察した人がほとんどかもしれない。
その肖像画に描かれていたのはつい先程までハロウィンを共に楽しんでいたはずのスカリー・J・グレイブスだった。
正体はナイトレイブンカレッジの卒業生にして、ツイステッドワンダーランドにハロウィーンを知らしめた『ハロウィーンの王』。
在学していたのは遥か数百年前であり、劇中登場したスカリーはNRC在学時の彼。
NRC生や他の魔法士養成学校に通う学生ならば常識であるマジカルペンや、世界的に有名なマレウスの存在を知らなかったのも、彼らとスカリーでは生きた時代が違うためである。
前述したハロウィン・タウンでNRC生が準備した旗を見た際に、スカリーはひとり「この世界で出会った学生たちが、遥か未来の時代を生きる後輩である」という事実に気付く。(寮章を見て時代の違いまで悟ったことから、彼の生きた時代と現代では寮の構成が異なっていたと思われる。またこのとき、マジカルペンの存在やハロウィンへの価値観の違いにも合点がいった可能性が高い)
彼は誰にも言わずひとり感極まった後、NRC生に別れの言葉を告げ最後までその真実を胸にそっとしまったまま元いた時代に帰還していたのだ。
憧れのジャックとの衝突と和解を経て、「ハロウィンとは、賑やかで派手で豪勢であるもの」「たくさんの人と恐怖と喜びを共にできるから、ハロウィンは素晴らしい」と知ったスカリーは、元の時代に帰った後もその感動を持ち帰り(ハロウィン・タウンでの記憶が完全にあったのかは不明)、それまでとてもマイナーであったハロウィーンを、祝祭という形でツイステッドワンダーランド中に広めた。
閉じこもっていたそれまでから一転して生涯世界中を飛び回り、毎年各所でハロウィーンを楽しむことに全力を尽くしたと伝えられている。
「始まりのハロウィーン」の副題が示す通り、彼はツイステッドワンダーランドに『ハロウィーン』を作り上げた男だったのだ。
NRCが誇る偉人の1人ではあるものの、表舞台に立つことは好まなかったため、写真や肖像画の類はその生涯で殆ど残っていない。百年以上生きるマレウスですらスカリーの存在を知らなかった程である。
劇中一貫して「ハロウィーン」を「ハロウィン」と呼んでいたスカリーだが、彼が文化を広める過程で、あるいは彼の没後から長い時間が経つ中で、ツイステッドワンダーランドでは「ハロウィーン」の呼称が一般的になったと考えられる。
スカリーが学生時代に所属していた寮は劇中語られていない。
ユーザーの間では、既に現代では廃された寮か、オンボロ寮(の前身にあたる寮)に所属していたという予想がされている。
ちなみにこの結末を見届けたユーザーもとい、監督生たちはスカリープレイアブル化希望の声を涙を流しながらより一層強くしたという。